第45話 浮気 〜魔王様が好きなのかぁぁあああ!〜

魔王様まおうさまは、マジでカッコ良すぎるのよ〜。頭からいさましくび出た二本角にほんづの邪悪じゃあく魔王服まおうふく、それを着こなすスタイルの良さ、そしてきわめつけはイケすぎな顔面っ!! もーーーー、さいっこぅっ!!!!」


 鼻息はないきあらくして主張しゅちょうするココム教育大臣きょういくだいじん。その姿すがたは、どう贔屓目ひいきめに見ても、教育きょういくおさには見えない……。ぼくとウミと何ら変わらないヲタ。いやいや、ぼくたちよりもヘビーなヲタなのかもしれない。


 一大臣いちだいじん醜態しゅうたいともべる言動げんどうの当たりにしたウミは、まぶたじて、こめかみに手をえた。

「あなたという者は……。良いですか、ココム教育大臣。大臣がよそ者にうつつをかすなど、言語道断ごんごどうだんなのです!」


 ウミの糾弾きゅうだんを受け、魔女ウィッチさんは立ち上がり……何故かぼくのとなりの席にこしかけて……何故かぼくの耳元みみもとささやくように言った。

「王女様だけ、よそから来たリクくんにうつつを抜かすのは反則はんそくじゃないかしら? というか……ウミ王女だって、昔はれてたじゃない、ま・お・う・さ・ま・に」


 な、な、な、な、な、な、な、なにこの状況じょうきょうっ?!!??!!?!!


「リクさーん」


 すみませーん! 読者様の中に、この状況を説明できる方はいらっしゃいますかーー?!?!?!!!!!??!?!!


「おーい、リクさーん」


 ……くそ。ぼくにはウミという心に決めた女の子がいるのに……この魔女ウィッチめ……う、美しいじゃないか……。


「聞こえてますかー、リクさーん。ココム教育大臣にれたとか言い出しませんよねー?」


 ……。


 …………。


 ……待て。待ってくれ。


 うそ……だろ……?!


 ウ、ウミ……ぼくという者がありながら……。


 腹部ふくぶ奥底おくそこがメラメラとねつびていく。


 バンッ!!!


 ぼくは、つくえたたいて、魔女ウィッチさんのように立ち上がった。

「ウミ!!」


「は、はいっ! や、やっとしゃべっくれましたね……」


「ごめん、何か聞こえていたけれど、それが何なのかはわからなかった!」


いきおいがラスボスをたおす前の勇者ゆうしゃくらいありますが……どうされました……?」


「魔王様が好きなのかーーーーーーーーっ!!!!」


 ほとんど絶叫ぜっきょうだった。もしかしたら、城中しろじゅうに聞こえたかもしれない。もしかしたら、日本中にもとどいていたかもしれない。ぼくの心情しんじょうはまさに、ヒロインをうしなった時の勇者のようだった。

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