第41話 繁栄 〜供給が満たされていく〜

 言葉を選ぶ。ぼくにできる配慮はいりょは、それくらいだ。

「教育のめんは、なるべくスワオンさんの負担ふたんにならないよう、こちらで方法ほうほう模索もさくします。……スワオンさんの苦悩くのうは、他事業所たじぎょうしょひとしくかかえています。けれど……これからはえてもらわなければなりません。のちほど通達つうたつされますが、ローレライ王国は、合理的ごうりてき経営けいえいできる事業所以外は生き残れない仕組しくみにしていきます」


「生き残れない……? そ、そんなっ?! 話が違います! そんなことをしては、介護界は衰退すいたい一途いっと辿たどるのみです!」


「逆ですよ、これから加速度的かそくどてきに介護界は繁栄はんえいします」


「それが後ほど通達する、介護保険制度かいごほけんせいどです。要約ようやくしますと——」

 ぼくが説明しようとしたところ、ウミが自分から受け持ってくれた。流石はウミ、もう他者に説明できるくらい理解しているのだ。


 

 流暢りゅうちょうな要約を聞きながらぼくは思う。


 事務職じむしょくが情報をやり取りする手も十二分じゅうにぶんにあるけれど、それほどサービスに介入かいにゅうしていない者とっては、そのやり取りすらむずかしかったりする。また、管理者かんりしゃクラスでないと、判断はんだんできないことは多分たぶんにある。


 比較的ひかくてき簡易かんいな情報連携は事務方じむかたにお願いすれば、管理者の時間が余分よぶん消費しょうひされることはないだろう。

 一つれいげるなら……そう、ご利用者のサービス時間の変更連絡へんこうれんらくは、その内容さえ事務さんに共有されていれば、問題なくできることがほとんどだ。


 ともかくっ! 城に帰ってから、教育を考えないとっ!


 ……と、その前に掃除っ! 現状復帰だ!!!

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