第27話 外食 〜ギミックがダイナミック〜

 読者様、聞いてください。緊急事態きんきゅうじたいです。

 ぼくことリクは、くら部屋へやめられてしまいました。さいわ身動みうごきはとれますが、いかんせん暗くて何も視認しにんできないのです。


 読者様の感じていることは大体だいたいわかります。

「このリクってやつ、何言ってんの?」とか、

著者ちょしゃ、何言ってんの?」とかでしょう。


 いやもう本当、そう思う気持ちは痛いほどわかります。痛感つうかんというやつです。


 ですが、ぼくだって、説明してほしいんです。ここはどこなのか、どうやったらここから抜け出せるのかを。

 

 そうですね。いて、ことの経緯けいいを話しましょうか。とは言っても、ここまで読んでくださった方々でしたら、「説明されなくても何となくわかるよ!」と思われるかもしれませんが……。


 ぼくは、日本というところに住んでいました。そこでは、介護の仕事をしていて——。

 ……え? ああ……そんな前からさかのぼって話さなくても良いと……?

 それもそうですね。いやしかし、この物語ものがたりにおいては、結構けっこう重要じゅうようだったりするんですが——。

 ……え? ああ……しつこいと。わかりました、わかりましたとも。くだいて話します。


 ぼくは、ウミとランチを楽しむために、まちへとり出したんです。街路がいろならんで歩いている時に、「どのお店にしようか」「何が食べたいか」と、そんな話になりました。

 あーでもない、こーでもないと言っていたら、ふと、とあるお店が目に入ったんです。どうして気になったか。答えは単純たんじゅんで、特徴的とくちょうてき外観がいかんをしていたからです。屋根やね外壁がいへき看板かんばんさえも、真っ黒のお店だったんです。

 不気味ぶきみでした、もはやお店かどうかあやしいくらい不気味でした。


 でも。

 ウミは、こう言ったんです。

「私、ここが良いですっ!」


 びっくりしました。ええ、びっくりしましたとも。

 屈託くったくのないみをかべながら言うんですよ。ぼくとしてはことわれないでしょう?


 だから、その店に足をみ入れたんです。


 中は普通でした。普通の、日本にもあるレストランでした。


 ぼくは、安堵あんどしましたよ。ぶっ飛んだ外装がいそうをしているものだから、てっきりあぶないお店かと思っていたので。


 思わず笑っちゃいましたよ。考えすぎだって。


 ……そう、笑った瞬間しゅんかんでした。突然、目の前が真っ暗になったんです。


 フワフワフワフワフワワワワーン!


 暗転あんてんしたと思えば、今度はフワッとちゅう感覚かんかくおぼえました。そしてその数秒後には……。


 ボフッ!!!


 フワッフワの何かに着地ちゃくちしたんです。


 ここまでがことの経緯です。


「長えよ、結局けっきょく何が言いてえんだよ。オチは何だよ」


 そういった意見が出ることはわかっております。それは次回のお楽しみに。


 ってか、ウミちゃーん!! どこ行っちゃったの???

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