第15話 前進 〜よくぞ言いましたね〜
「
コンコン。
ノック音がぼくの耳に届く。
ぼくがすかさず「はい、どうぞ」と返事をするも、
コンコン、コンコンコンコン、ココココンッ!
ノック音が返ってくるだけで、扉の向こうに立つ者は入室してこない。
もう。誰のいたずらだ。
ぼくは、わざわざ扉の前まで行って、ガチャリと
「今、お時間いただけますか?」
「うん、もちろん。入って入って」
「ありがとうございます」
ぼくは、自然な流れでウミに
……よくよく考えてみたら、この
何はともあれ、ウミは話したいことがあるはずだ。
ぼくは、これまた自然にベッドに腰かけて
「どうかしたの?」
そう訊くと、ウミは体を
「先ほどのお言葉、最高でしたっ! 介護革命最高でしたっ!」
と言った。
「……ううん、最悪だよ」
ぼくは、立ち上がって、窓辺に向かう。そのまま、オレンジに
そして、ぼくは続けた。
「頑張るつもりだけれど、
「伴わなければ、また頑張るのみです! 私たちなら
ははっ。本当、ウミの前向きさには
ぼくは、聞きそびれていたことを思い出す。幸せをひしひしと感じながら、思い出す。幸せだからこそ、思い出す。
「……ウミ。どうしてぼくをこの世界に呼んだのかな?」
「え……? それは前にも説明したように、ローレライ王国の介護問題を解決するために——」
「この国の問題を解決するだけなら、ぼくじゃなくても良いだろう? いや、むしろぼくじゃない方が良い。ぼくよりも介護について詳しい人は山ほどいるんだから……」
そう、何故ぼくなのか。それをまだ聞いていない。
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