第14話 挨拶 〜やらかしたぁ(汗)〜

皆様みなさま、おあつまりいただきありがとうございます、王女のウミでございます。本日は私ととなりにいるリクさんから、大切なお知らせがあります」


 ウミは、りんとした顔つきのまま言った。

 しっかりと、国民の方を見ながら言った。


 ぼくもウミに続かないと!


 ウミの合図あいずたずに、ぼくは言葉ことばつむいだ。


「はっ、初めてましてっ! わたくし異国いこくからまいりました、リクと申しますっ!! えっと……あの……ぼ、ぼくたちっ、突然ですがっ、結婚します!!!!!」


 ザワザワザワザワザワザワザワザワザワワワッ!!!!


 むらがる国民が、ぼくたちの告白にざわつく。

 こうなってしかるべきだ。

 国王の娘であるウミが、どこの馬の骨とも知らないやつと、いきなり結婚すると言い出したのだから。誰だって驚くし、非難ひなんの声だってこの先わんさかあるだろう。


 しかし、ぼくはもう、後戻あともどりしないっ!

 元の世界にいたぼくは、落ちぶれていた。

 そんなぼくとはおさらばだっ!!

 ぼくは、ウミと結婚するっ!!!

 結婚だけじゃない!! ぼくが——。


「ぼくが、この国の介護を変えます! 介護革命かいごかくめいこしますっ!!!!!」


 ザワザワザワザワザワザワザワザワザワワッ!!!

 ザワザワザワワンザワワワワッ!!!!

 ザザザザザワザザワザワワワワッ!!!!!!


 ぼくの発言を受けて、さっきよりもさらにざわつきが増してしまう。


 ま、ま、ま、ま、ま、ま、ま、ま、ま、まずいっ!!!!


 完全に言い過ぎたっ!!!!!


 変なテンションになって、自信もないのに、介護革命だなんて言っちゃった!!!!!!


 んだっ!!!! 異世界でもオワタッ!!!!!


 今すぐ訂正ていせいしないと!!!

 失敗した後に、「何の成果せいかられませんでしたっ!」なんて言っても誰もゆるしてくれないよっ! もはやこの世界に存在することすら許してくれなくなるよっ!!!!


「いやっ! 今のはっ! やっぱり、言い過ぎ——」


 ぼくが前言撤回ぜんげんてっかいしようとすると、


「私たちは、必ずげます! 介護改革で、ローレライ王国をいくつになっても楽しく生活できる国にしてみせますっ!!!」


 ウミがそうたからかに宣言せんげんした。というか、宣言してしまった。


 ちょちょちょちょっ! ウミちゃん?! ウミさん?! ウミ様?! あなたは何をおっしゃているの? ウミウミウミウミ先生っ!?!?!


 ……やばいな、これ。やばいな、ぼく。

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