第13話 開会 〜国民多すぎだョ〜

 テー、テレレレレーンッ!!

 ズチャズチャズチャズチャ、テッテテテッテッテーンッ!!!

 テレステテテテテテーンッ!!!!


 ファンファーレが城下じょうかから高らかにひびく。地上ちじょう鼓笛隊こてきたい演奏えんそうをしているのだ。もちろんぼくは、この曲を知らない。が、洗練せんれんされたものでることはわかる。舞台裏ぶたいうらひかえるぼくも、身が引きまる思いだ。


 城のすぐ近くに、国王からの通達つうたつ傍聴ぼうちょうできるスペースがある。そこには、あっという間に

人溜ひとだまりならぬ国民溜まりができていた。


 こんな群衆ぐんしゅうの前にも関わらず、国王は平然へいぜんとしている。これが一国いっこく|の頂点ちょうてん君臨くんりんする者の威厳いげんなのかもしれない。


「リクさん、聞いてください。最近のことなのですが……」


 舞台袖ぶたいそでで心臓が破裂はれつしそうなくらい緊張きんちょうしているぼくに、ウミは他愛たあいもない話をしてくれる。けれど、全く話が頭に入ってこない。


 ドクンドクン。

 緊張に緊張を重ねていると——。


 デデデデデデデデデデンッ!!!!!


 鼓笛隊による演奏は華麗かれいに終わり、拍手喝采はくしゅかっさいこった。


 そして。


静粛せいしゅくにっ!」


 国王のその一声で、喧騒けんそうは一気に鳴り止んだ。


「まずは、ご足労そくろういただいたことに感謝を申し上げる、ありがとう。今回、みなに報告したいことがある。二人、出てきなさい」


 合図あいずがあり、ウミが面前めんぜんに出て、ぼくもそれに続く。


 ブルブルブルブルブルッ……。

 ぼくは、ウミのとなりに並ぼうとするも、あと一歩というところで、足がふるえて一歩がみ出せない。


 ううっ……。やっぱり無理だ。こんな大人数の前に立つなんてできない……。


 スッ——。


 ぼくに、細くて長い色白の手が差し出される。その手の主はもちろんウミだ。


 銀色の髪がキラキラと光りかがやく。


 ウミは、目を細めて、口角こうかくゆるやかに上げて、

「大丈夫ですよ。リクさんなら、大丈夫」


「……ありがとう! 行くよ!」


 ぼくは、ウミの手を取って、一歩前に踏み出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る