第3話 信用 〜心を開いて〜

「け、結婚!?!!???」


 ぼくは、異世界に召喚された直後、ウミという猫耳銀髪美少女に、結婚を申し込まれていた。


 ウミのほおが赤らんでいるし、彼女のお父さんにあたるのヴィシュヌさんも涙ぐんでいる……。


 本当に?! 本当に、ぼくは結婚を迫られているのか?!?!!!


 お、落ち着けぼく。


 二人がぼくに対してドッキリをしている可能性もないことはない!


 ……それに。ぼくなんかが、プロポーズされるなんて、あるわけないじゃないか。


 ぼくは、深く息を吐いてから言った。


「からかうつもりなら、やめてほしいな……。ぼくに、こんな素敵な美少女が結婚してくださいなんて言うわけないんだからさ……」


 そう言うと、ウミもヴィシュヌさんのように、瞳に涙を浮かべ始めた。


「……からかうつもりは毛頭もうとうありません。本気です。本気で、結婚してほしいのです!!」


「ウミ……」


 ぼくには、ウミが嘘をついているようには見えなかった。表情、言動、その全てが、本気に思えた。


 信じよう。ウミを、信じよう。


 意図はわからないけれど、せっかく異世界に来れたんだ。


 せめて、この世界では、信じてみよう。


「ウミ、ごめん。ぼくが間違ってたよ」


「えっ……それでは……」


「結婚しよう」


 ぼくは、震える声でそう言って、震える腕でウミを抱きしめた。


「リク……さん……」


 ぼくらをはたから見ていたヴィシュヌさんが、フォフォフォと笑う。


「ハッピーウェディングじゃな。これで、始まる」


 始まる? ……って、何が始まるの?


 ヴィシュヌさんは、ぼくの疑問をき消すように、うなずきながら言った。


「ローレライ王国の介護は、ようやく始まるのじゃ!」

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