第15話 最終決戦…そして裏切り者?

もう、時間は午後4時ごろです。

3月になって、いくら日が延びたといっても、邪悪な力が満ち溢れた空模様です。

じきに真っ黒になってしまいます。


今ごろkeiさんは猫魔ヶ岳の封印の前で、途方にくれてるんだと思います。

壊せはいいじゃん!なんて大見得きって出かけたものの…

容易に壊れるものでなく、きっと恥ずかしくて帰って来れないんだと思います。

今頃はオサキさんに、あれこれ言い訳をしてるんだと思います。

「おいさめ、あれを見ろ!」

そう言いながら猫魔王さんは猫魔ヶ岳を指差しました。

そこには、ぼんやりと光るものが2つありました。

こんな時でもなかったら、あれっUFO?みたいな未確認飛行物体なんですが(*- -)

「keiさんが何かしたんでしょうか?」

ひょっとしたらkeiさんが、封印を解いているかもしれません。

あの光るものが解放された和石??

まさかですね(^^;

けれども、なんとなく周りの殺伐とした雰囲気が和らいだような気もします。

「おいっ、1つが動きはじめたぞ!」

2つあるうちの1つは雲の中を移動し始めたのです。

しかし、だんだんと消えてなくなりました。

猫魔ヶ岳に残った光も、消えてなくなりました。

ですよね、 keiさんがあの封印を解くなんてww

でも、ちょっぴり和らいだ雰囲気になったのは変わりません。

「keiはきっと封印をといたんだ!」

猫魔王さんは本当にそう思っているようです。

本当に封印を解いたんですかねぇ~?

さめは半信半疑です。


さめはゆっくりと後ろに振り返り、広場を眺めました。

気配を消して、きつねさんや妖怪さんが潜んでいます。

でっ!

嫌なものを見つけてしまいました。

暗雲の中に、ひときわ黒く暗いものが揺らいでいます。

「猫魔王様、あいつが近づいてきている。と報告がありました。」

「本当か!」

猫魔王さんてば、聞き返さなくても、何となく見えているんですが…

「3方向から連絡が入っています、間違いありません。」

猫魔王"様"ですって、さすが魔王ですね。

「猫魔王さん、あそこに見えている黒い煙のようなものがそうじゃないですか?」

「あー、確かに何かいるな。でも近づいて来る様子が無いな。」

その漆黒の影はやはり止まったままのようです。

こちらの様子を伺っているのでしょうか?

さめも目を凝らして見ていました。

すると、遠くで揺らいでいたものが突然大きくなり、目の前にあいつさんが現れました。

あいつさんの目は怒りに満ちていて、さめたちを見下ろし睨んでいます。

「突然現れるな。びっくりするじゃないか!」

猫魔王さんは慌てた様子です。やっとの思いで、あいつさんに声をかけたみたいな感じです。

「猫魔王、猫魔ヶ岳の封印を解いたな。」

「やったな、kei!」

えっ!keiさんは本当にあの強い魔力の封印を解いたようです。

「あの魔法使いが封印を解いたのか、同じ魔法使いのよしみで仲間に加えてやろうと思ったが!お前らもろとも、この世から消し去ってくれる!」

あいつさんの魔力も、解放された和石のせいで少し弱くなっているみたいです。

ということは、猫魔王さんの妖力も弱まっているはずです。

ピンチなのは何も変わってない!ということです^^;

「あの魔法使いと九尾のきつねはどこに行った。」

「しらんね、金沢峠の封印を解きに行ったんだろうよ。」

猫魔王さんてば嘘をついてます。

でもですよ.猫魔ヶ岳の封印が解けたんだから金沢峠も解けるはずです。

本当に金沢峠に向かっているのかもしれません?

「なにやら潜んで、俺を狙ってるな。雑魚どもが俺の周りを囲んでいるのは、先刻承知だ!何を企んでいる?」

「kei達は潜んでなんていないさ。周りを囲んでいるものは、お前を打ち倒し、手柄を立てようとしている俺の手下たちだ。」

「また、カレーでもたくさん仕込んできたか?同じ手が通用するとでも思っているのか!片腹痛いわ(笑)」

あいつさんはこちらをにらんだまま、大きく口を開けて大げさに笑い始めました。

あっ睨んでいた目をつむり、マジお腹を抱えて笑いはじめましたw

「そんなにおかしいか?」

猫魔王さんまで笑い始めました(;^_^

雪で氷結した沼に2人の大きなバカ笑い声が響いています。

ところが...


どちらが先というわけではなく、2人とも笑うのをやめてキョロキョロしています。

なんと!

どこからか、ほら貝を吹く音が聞こえてきたのです。

2人とも不思議そうな顔をしてキョロキョロしています。

さめには大体察しがつきました。

そうです、上杉謙信さんがやってきたのです!

公魚湖の方から2つの白い光が飛んできます。

しかし、誰がほら貝を吹いているんでしょうね?

まずはオサキさんが見えてきました。

「毘」という文字が書かれた旗を口にくわえ、ものすごいスピードで飛んできます。

そのままの勢いであいつさんに頭突きを食らわしました!

そしてkeiさん、いえ謙信さんが、なんか金東雲のようなものに乗ってやってきました。

謙信さんはあいつさんの前に立ちはだかると、大きな刀を振り上げました。

「待たせたな、俺が相手だ!どこからでもかかってこい!

頭突きを食らいよろめきながらも、あいつさんはニヤニヤと謙信さんを見ています。

「B級魔法使い!先ほどと違って、随分と勇ましいな。」

あいつさんは同じkeiさんでも、中身が違ってることに気づいていないようです。

あの形相、あの言葉遣い、あの気迫、全く違う人格だと気づきそうなものですが...

「わしの名は上杉謙信だ!貴様の名前も聞いておいてやろう。」

「お前のような下っ端が、俺の名前を知ってどうなる。」

あ~、あいつさんてば上杉謙信さんに、"下っ端"なんて言っちゃいましたよ(汗)

戦国武将のことは知らないようです?

「名乗らぬのか、まぁ良い!討ち取った際は無縁仏としてどこかに弔ってやろう!」

上杉神社の神様が無縁仏として弔うんですか?

いや、謙信さんは仏教の神様、毘沙門天様でした!

神仏習合ということで?

謙信さんは刀の柄を握り直すと、素早くあいつさんに切りつけました。

慌てて後ろにのけぞったあいつさんに、深手ではありませんが刃は届いたようです。

胸の辺りに血が滲んでます。

あいつさんも手のひらから炎のようなものを連射して謙信さんに対抗しています。

謙信さんは素早く、その炎のようなものを刀で交わしています。

そして、隙を見ては切りかかる。

あいつさんの頭上では、オサキさんは出番を待っています。

あいつさんは進むことも退くこともできません!

「さっきみたいに瞬間移動のような魔法でに逃げればよいものを?」

猫魔王さんが不思議に思うのも当然です。

でも「速射系の攻撃魔法と違って、移動系の魔法は呪文を唱えなければいけないのです。」

「呪文を唱える一瞬は無防備になってしまうわけか、魔法使いってのはめんどくせえんだな。」

謙信さんはチラリとこちらを見ると、「いまだ、猫魔王!」と号令をかけました。

「いくぞ、みんな! 」

猫魔王さんはそう叫ぶと、あいつさんに向かって走り出します。

周りで潜んでいたきつねさんや妖怪さん達も、一斉にあいつさんに向かって走り出します。

そして、あいつさんのマントに潜り込み、足元からどんどんと体によじ登っていきます。

あいつさんも気になっているようですが、謙信さんから目を離すことが出来ません。

とうとう、きつねさんたちは、火の玉を連射している右手の先にまで登っていきました。

慌てたあいつさんは腕を振って、きつねさん達を振り払おうとします。

その隙に謙信さんの刃が、あいつさんの首元から胸にかけてを切り裂きます。

「みんなスクラムを組め!」

きつねさんも妖怪さんも、みんなで手足を組み始めました。

焼き豚を巻く紐のように、あいつさんの腕や足、腰や胸を締めつけていきます。

あいつさんの体は壁に縛り付けらるように、だんだんと大の字を描くように広げられていきます。

きつねさんや妖怪さん達の気合いが伝わってきます!

あいつさんはもう身動きがとれません!!

オサキさんはものすごいスピードで、あいつさんの頭に頭突きを食らわしました。

謙信さんの刃があいつさんの体を切り裂きます。

猫魔王さんも如意棒を使って足に攻撃を加えてます。

猫魔王さんは大木に斧を入れるように、あいつさんの足を如意棒で打ちのめしています。

その度にあいつさんはよろめいています。

きつねさんたちに動きを奪われたところへ、三位一体の攻撃!

あいつさんにかなりのダメージを与えているはずです。

さめにも何かできないかな。って思うんですけど、ん~(._.;)ゞ

「あいつ何を始めたんだ!」

猫魔王さんが戻ってきました。

あいつさんは手の平を宙に向け、満身の力を込めて気を集めているような様子です。

容赦なく謙信さんの刃が切り付けています。

痛みに耐えながら呪文を詠唱しています。

「何か呪文を唱えているようだが、瞬間移動で逃げようとしているのか?」

「手のひらの感じが、移動の魔法とは違う様子ですね。」

でも、何かの力を集めているのは間違いありません。

「もう少し唇の動きを見られれば、どんな呪文を唱えているのかわかるんですけれど。」

あいつさんをにらんでいる猫魔王さんも、これから起きることに不安を隠せないようです。

「あっああ~!!」

さめは叫んでしまいました!

「どうしたさめ!何かわかったのか!」

「逃げてー!」

さめの小さな声ではみんなに届きません。

「猫魔王さん、みんなを早く逃がしてください。」

「みんな逃げろー!」

それはそれはものすごい声でした。

「何が起きてるんだ?」

「あいつさんは焦土の魔法を使おうとしているんです。早くみんなをあいつさんから、遠ざけてください。あいつさんの周りのすべてものは焼き尽くされてしまいます。」

猫魔王さんは「えーっ」と、びっくりした顔をしたかと思うと、みんなの方へ走っていきます。

「みんな離れろ、みんな離れろ!魔法であいつに焼き尽くされるぞ!」

きつねさんや妖怪さん達は、あいつさんから飛び降りどんどんと逃げていきます。

あいつさんはさらに気を集めているようです。


そして、焦土の魔法は発動されました...

四方から紫色の稲光が、あいつさんの頭上に集まったかと思うと、大きな紫色に光る柱が落ちてきました。

あいつさんを包み込む直径30メートルくらいの大きな柱です。

オサキさんは、その柱にはじき飛ばされダメージを負ったようです。

幸いきつねさんや妖怪さん達は逃げられた様子です。

「keiはどうした!」

「あっ!」

猫魔王さんはあたりをキョロキョロと探しています。

さめもkeiさんに意識を集中してるんですけど、気配を全く感じることができません。

謙信さんに憑依されているからでしょうか、それともあいつさんの魔力のせいか?

「まさか、keiは焦土魔法から逃れられなかったのか?」

猫魔王さんが如意棒を振り回しながら、紫の柱に突進してきます。

「九尾、keiはまだ中だ!」

オサキさんも紫の柱に向かって走り出しました。

二人とも紫の柱の中に入ろうとして体当たりをするのですが、びくともしません。

それどころか、その度にはね返され、かなりのダメージを受けているようです。

とにかく、ものすごい魔力なんです。

まさかkeiさんは焼き尽くされてしまったのでは、さめも心配になってきました。


その時です。

「うぉ~」という大きなうめき声とともに、紫の大きな柱は消えてなくなりました。

そして、見えてきたものは...

あいつさんの鳩尾(みぞおちってこんな漢字なんですね)のあたりに、刃を差し込んでいるkeiさんの姿、いや謙信さんでした!

そして、なおも満身の力を込めて刃を押し込んでいます。

ピコンピコンピコンピコンピコン

「 keiはなんとか生きていたようだな。まだ謙信が憑依しているのか?」

謙信さんが憑依していなかったら、ひょっとして...

「しかし、なんだあれは!keiの胸のあたりが音を立てて光っているぞ?」

ピコンピコンピコンピコンピコン

「あれはウルトラマンのカラータイマーのようなものです。」

「謙信の魂が現世では3分間しか活動できないとか言う話か?」

「いえ、謙信さんの強い精神では、脆弱なkeiさんが3分しかもたないんです。これ以上憑依していると、keiさんの心も体もバラバラになってしまうんです。」

それでも謙信さんは刀を握る力をゆるめません。限界まで頑張るつもりなんでしょう。

「 keiの体はもうダメだ。体と心をもっと鍛えろ。とkeiに言っておけ!後は頼んだぞ。」

謙信さんの声が聞こえてきました。

そしてkeiさんの体が金東雲の中に倒れていきます。


「おのれ!」

このときを待っていたかのように、あいつさんは大きな雄叫びをあげると、keiさんをつかみ雪面に叩きつけました。

心配してきつねさんや妖怪さん達がkeiさんに集まっていきます。

「私もkeiさんの様子を見てきましょう。」

「謙信がかなりダメージを与えてくれたようだが、これからどうする?」

さめにもどうしてイイのかわからないのです。

「・・・」

考えている間にあいつさんが次の攻撃に出てきました。

「小癪な真似をしおって!」

こんどは手の平から、青みがかった光を乱射し始めたのです。

その光を打ち放たれた周囲のきつねさんや妖怪さん達が消えていきます。

青みがかった光を浴びた瞬間、消えてしまうのです。

「どうする、さめ!」

オサキさんが大きな炎を、あいつさんに向けて放ちます。

あいつさんはその火に焼かれながらも、オサキさんにも青い光を打ってきました。

でも、オサキさんには効かないようです。

そのかわり、オサキさんの周りのみんなが消えてしまいました。

青い光の乱射を止めようとはしません。

どんどんと周囲に向かって打ち放たれています。

きつねさんや妖怪さん達がどんどんと消されていきます。

しかし、為す術がありません。

意を決したきつねさんや妖怪さん達が、あいつさんに向かって突撃していきます。

でも、あの青い光に消されていきます。

「やめてー!」

あっ、keiさんだ!

「やめてー!みんなを消してしまうのをやめて!」

keiさんは意識があったようです。

「あいつさんが殺しているのは雑魚君たちなんですよ。雑魚君殺しなんてやめて、kei達と正々堂々勝負をしたらどうなの!」

あいつさんはそう言われてニヤニヤしています。

「殺す?あいつらは黄泉と現実の狭間に送り込んでやっただけだ。あとで召喚して奴隷のようにこき使ってやるさ。」

黄泉と現実の狭間?

いったいどんな魔法なのでしょう??

「えっ、みんな死んじゃったわけでないの?しかも後で奴隷になっちゃうの?」

「そうだ、お前みたいなB級魔法使いには想像もつかん魔法だろう。」

keiさんは、んんっとうなずいています。

「だれでも狭間に送って奴隷になっちゃうの?」

「狭間でゆっくり洗脳してもよいし、呼び戻して洗脳魔法をかけることもできる!しかし、そこの九尾のきつねにはきかんようだがな。」

焦土の魔法もですが、洗脳魔法もご法度の禁断魔法です。

しかし、そんな魔法をどこから手に入れたのでしょう?

あらっなんかkeiさんはニヤニヤしはじめましたよ。

「じゃじゃ~あの小さなさめの使い魔も洗脳できるのかしら?ほんと生意気で言うことを聞かないのね。」

「お前はまともに使い魔も扱えないのか、使い魔の扱いなど魔法を使わずとも他に方法があるだろう。っていうか、お前はそれでも魔法使いか!」

keiさんは目がキラキラし始めました。

「お師匠様、keiもそんな魔法が使いたいなぁ。」

はぁ~?

「やっと、私の偉大さに気がついたか。」

「そうそう、お師匠様のお名前はなんとおっしゃるのですか?」

はぁ~?

「ルシファーだ。お前は何と申す。」

あらっ、keiさんはルシファーと名前を聞いて、後ろに振り返り吹きだしたような?

「ルシファー様、 keiの名前はkeiと申します。」

「そうかkeiか。さぁこっちへ来い、一緒に魔法使いの世界を築こうじゃないか。」

やはり、あいつさんの目的は魔法使いが優位な世界を作ることだったようです。

「魔法使いの世界を作るために、ルシファー様は戦っていらっしゃったんですねぇ。」

keiさんは本気なんでしょうか?

このままではあいつさん、いやルシファーさんの仲間になってしまいます。

「その”様”っていうのやめてくれ、同じ魔法使いの仲間だ。」

「じゃあ、ルシファーさん。」

2人のやりとりを聞いていた猫魔王さんやオサキさんが、怪訝そうな顔をしています。

「 keiは俺たちを裏切っろうとしているのか?」

「 keiさんのことであるから、きっとお考えがあるのだろう。」

keiさんを疑いの目で見ていた2人の視線が、こんどはさめに集中しています。

さめにもさっぱり何が起きているのかわからないのです。

「窮地で寝返ったりする薄情な人ではないと思うのですが、でもあの喜びようは尋常じゃありませんね。」

「洗脳されたのか?」

猫魔王さんが心配そうにつぶやきました。

keiさんとルシファーさんは、まだおしゃべりをしています。

「 keiさんは時間稼ぎをしてくださっているのではないか?」

「そうかもしれんな。しかし、どのように打って出る。」


「ねぇねぇルシファーさん、keiは大きくなれないので、ルシファーさんの肩に乗せてもらってイイですかぁ。。」

あ~も~keiさんてば、ルシファーさんの肩にのせてもらって上機嫌。仲良くお喋りしています。

☆わ~ルシファーさん、肩の上は見晴らしがいいですねー♪

☆すべてのものを見回し、見下ろし、王様ってこんなふうに世界を見てるんですねー♪

☆えっへん、keiもルシファーさんの肩に乗っていれば王様目線だね♪

☆ルシファーさんてすごいや、魔法界の王様だね。いやぁ世界の王様(^o^)♪

keiさんてば調子のいいことを、おしゃべりしています。

あの調子の良さは絶品です。

ルシファーさんもまんざらじゃなさそうな顔をして、満足そうに笑っています(*- -)

「ルシファーさんはなんで、keiを仲間にしたかったの?」

「俺の使い魔は優秀だが、無口で何もしゃべらん。退屈でな。」

ルシファーさんの使い魔。さめも気になっていましたが、どんな使い魔を連れているんでしょう?

「 keiの使い魔はねぇ。ペチャクチャうるさいの。その上、理屈ポクて生意気だし!」

もーっ、keiさんてば、さめはどれだけkeiさんを助けているか全然わかってません!

「でも、お前の使い魔はS級じゃないか。」

「でも幼児だよ、まだ歯も生え揃っていないんですから~」

黙って聞いていれば言いたい放題です(ぷんぷん)。

「ルシファーさんの使い魔さんはどんな動物なの?」

「みみずくと豹だ。」

「わ~かっこいいかも~☆」

ルシファーさんの使い魔は定番の動物のようですね(ふぅっ)

keiさんは、時間稼ぎをしながらあいつさんの情報を聞き出してる?

「keiの使い魔はさめだよ。さめっお魚(うお)っ軟体魚類w」

時間稼ぎかなんか知りませんがイライラしてきました!

「あの九尾のきつねと猫魔王とはどんな関係なんだ?」

「 keiの式神のようなものかな。」

猫魔王さんのこめかみに血管が浮いてきました。

「さっきの上杉というのはなんだ!」

「えっ上杉謙信さんが来てたの?」

ほら、やっぱりkeiさんは何も覚えていません。

「上杉謙信さんですねぇ~、戦国の武将さんを召喚したんです。」

「おおっお前もそれくらいのことはできるのか。」

「えっへん、ルシファーさんっお任せください!keiも魔法使いの端くれ、召還魔法くらいは使えます。」

”召喚した”だなんて、嘘がばれたらルシファーさんに怒られるぞ!と、さめは思うのです。

いや、その前に謙信さんに怒られる!

「ところであいつらはどうするんだ。keiの仲間だといっていたな?」

「やつけちゃってください!あの反抗的な目を見てくださいな。」

猫魔王さんは如意棒を固く握りしめました。

その猫魔王さんを怒りを見て、オサキさんは困っている様子です。

やっぱり、時間稼ぎでも情報収集でもないようです!

さめも少々keiさんにあきれてきました。

「あっkei、いいこと考えた♪」

keiさんはルシファーさんの耳元で、こそこそと内緒話をしています。

ルシファーさんも、またkeiさんにこっそりお話をしています。

keiさん、うんうんとうなずいています。

「kei、おぬしは極悪非道というやつだな。」

満足そうに今は仲間になったkeiさんを見ています。

「さめー!kei生意気を言って反抗していた事を、後悔させてあげるから覚悟してちょうだい!!」

keiさんたら本気のようです。

「 きゅっぴやねこねこは、おとなしい良い子の式神になるなら許してあげてもいいよ~♪」

オサキさんは「私はこの場っ」と言いかけて、言葉を飲みました。

「だいたいにして、みんなkeiに感謝の気持ちが足りなんだよね~」

「俺は何をkeiに感謝しなきゃならん!」

とうとう、猫魔王さんは我慢しきれなくなった様子です。

「ねこねこぉー、そういうことを言う悪いお口は、どのお口ですか(プンプン)」

そして、ルシファーさんの手のひらが大きく空を切りました。

「あっまずいです。ルシファーさんは自分の周りにフォースフィールドを張ったようです。」

さらにルシファーさんが手のひらを雪原に向けて念じると、先ほどのきつねさんや妖怪さん達が現れました。

みんな何起きているのか分からず、キョロキョロしています。

「さめー、これから面白いことになるんだよ。」

そう言うとkeiさんはニヤニヤとしています。

ルシファーさんは気を集中して呪文を唱えはじめました。

「さめもきゅっぴもねこねこも、お友達のきつねさんや妖怪さんたちに成敗されてしまうって言う筋書きなのです~」

ルシファーさんの呪文は、きつねさんや妖怪さん達を操る洗脳魔法に違いありません。

「こうなったら、一か八か総攻撃で行くか!」

「仕方がありませんね。」

「しかし、keiさんをどうなされる?」

この期に及んでオサキさんはkeiさんのことを心配しています。

「妖怪たちが魔法に操られる前の今だったら、俺達と一緒に戦うだろう!いまは最後のチャンスだ!」

そうです、あの魔法できつねさんや妖怪さんは操られると、さめ達は仲間と戦うことになってしまうんです(> <。)

「まぁ~、keiのことだからどんな境地も、のらりくらりと生き残るだろう。」

「確かに(汗)」

「さて行くぞ!」と叫ぶと、猫魔王さんが1番最初に走り出しました。

でも、猫魔王さんもオサキさんもフォースフィールドに弾かれてルシファーさんに近づけません。

「猫魔王さん!今です。フォースフィールドの中のきつねさんや妖怪さん達に攻撃させてください。」

それは猫魔王さんの思いつきだとおもいます!

フォースフィールドの中の、きつねさんや妖怪さんはルシファーさんと戦えるんです。

「野郎共、あいつに総攻撃だ!何でもいい、とにかく叩きのめせ!」

どうしていいのかわからず右往左往していたきつねさんや妖怪さん達は、一斉にルシファーさんに駆け寄ります

そして、みんなはどんどんとルシファーさんによじ登り始めました。

武器を持ってるものは武器で、武器を持たないものは拳で、ルシファーさんを攻撃しています。

あーあー、噛み付いちゃってるし(衛生上よくありません)。

それでもルシファーさんは顔色1つ変えず、眉間に軽くシワを寄せて呪文を唱えつづけてます。

「さめ、あのバリアのようなものなんとかならないものか?」

猫魔王さんやオサキさんが戻ってきました。

フォースフィールドに手も足も出ないようです。

「オサキさん、 keiさんの様子を見に行きたいので、サメを乗せて近くまで飛んでもらえませんか?」

「どこまで近づけるかわかりませんが、さっそく行ってみましょう。」

「じゃあ、俺はあいつらを指揮して、少しでもダメージを与えておくよ。」

オサキさんは尻尾を使ってサメを頭の上に乗せてくれました。

「それでは行ってきます!猫魔王さん、みんなをよろしくお願いします。」

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