第10話 ラスボス登場!


つぅる~つぅる~~つぅるるる~♪

つぅつぅるつぅつぅつう~♪

つぅるるる~つぅるるる~♪

「さめ殿、それは呪文ですかな? 」

オサキさんは鋭い眼光を放ち、森の中を飛びぬけていきます。

「 keiさんがよく日記に音楽を入れているので、真似をしてみました」

keiさんがネットのテレビで見ているスパイ大作戦の音楽です。

敵に気づかれずに、敵のアジトに忍び込む時よく使われているメロディーです。


あと500メートルも登れば秘密の沼の休憩舎です。

オサキさんは妖怪に気づかれないように、沢の上を右へ左へ素早く飛び回ります。

真っ白な白狐の姿は雪に隠れ、自らは雪煙すらあげません。

妖怪たちのすぐそばを通り過ぎたとしても、風がよぎったぐらいにしか思わなかったでしょう。

途中でkeiさんの姿を探したのですが、使い魔として魔法使いの気配すらを感じられませんでした。

それと不思議なことに妖怪たちの姿も見かけないのです。

カレー爆弾も見当たらない。

「 keiさんは妖怪たちに捕まったとみて、間違いなさそうですね。 」

オサキさんはじっと休憩舎の方を眺めながら、 keiさんを心配しています。

さめも心配でいろいろと想像をしてしまいました。

妖怪たちに捕まったkeiさんは 「カレーっ怖いよー!そんなもの食べさせないでくれ! 」なんてウソ泣きをしながら、カレーをバクバク食べていそうです。

うふふっ。

休憩舎を睨み付けるオサキさんの怒りに満ちた目見ていると、さめは不謹慎な想像してしまったかのように思います。

でも、 keiさんにいちばんにありそうな想像だと思います。

命にかかわるような危険がkeiさんに迫っているのなら、使い魔のさめにも緊張が伝わってくるはずです。

なんか本当に「カレーが怖い!」とか言ってそうです(-。-;

オサキさんは鼻から上、目と耳を出して深い雪の中をこっそりと進んでいきます。


「大変だ、さめ殿みてください!」

オサキさんは見ている先の方をさめも眺めてみました。

なんとkeiさんが妖怪たち取り囲まれているのです。

でも、なんかちょっとおかしい(・_・;)

「すぐに助け出しましょう。さめ殿、しっかりつかまっていてください! 」

オサキさんの毛が妖怪たちへの怒りで逆立つの感じました。

「ちょっと待ってくださいオサキさん! 」

恐ろしい形相のままオサキさんはさめのほうを振り返りました。

わぁ~本当に怖い顔(゜O゜;)

「よく見てみください、ちょっと様子が変じゃないですか? 」

それにkeiさんに、これほど近づいているのに、やはりkeiさんから緊張が伝わってこないのです。

いくらのんびりしたkeiさんでも、魔物に取り囲まれれば、恐怖を感じるでしょう。

その恐怖が使い魔のさめに伝わってくるはずなのです。

「確かにおかしいですね、妖怪からも悪意というものが感じられませんな。 」

そうなんです、なんかのんびりした雰囲気なのです。

「いったいkeiさんは何をしているんでしょうか? 」

さめはなんとなく違う意味で心配になってきました。

オサキさんを失望させるような。

「オサキさん、もう少し近づいてみましょう。 」


keiさんの周りには数十もの妖怪が集まってます。

2足歩行の獣たちです。

近づいていくにしたがって.さめはだんだんと馬鹿らしくなってきました。

やっぱりオサキさんにも申し訳ない想像どおりのようです。

オサキさんはきっとkeiさんに失望すると思います。

おどろおどろしい妖怪たちは、手に手にクマザサを持ってkeiさんの前に集まっています

keiさんはそのクマザサにご飯とカレーを盛り付けているんです。

妖怪たちもkeiさんも楽しそうな笑顔。

予感は的中、馬鹿らしくなってきました(;^_^

「あれは何か. keiさんの作戦でしょうか? 」

オサキさんの先ほどまでの恐ろしい形相は、驚きと疑問符に変わっていました。

「何の作戦でもないと思います。 keiさんはみんなで朝ごはんを食べようとしてるんだと思いますよ。 」

「なんという大きな器、 keiさんは敵の陣地で敵に朝食を振舞うのですか。 」

いや、たぶん何も考えてないだけだと思います。

「みんなで食べると美味しいね(ニコっ)」なんて言う、keiさんの笑顔を思い出してしまいました。

仕方がないので、オサキさんと一緒にしばらくkeiさんの様子を見ていることにしました。



いまは風も雪も止み、とても静かです。

妖怪達がカレーを食べている間、しばし休戦です。

吾妻きつねたちも登山道入口の陣地でカレーを食べているんだと思います。

keiさんと猫猫スキー場のリフトに乗っていて大雪にあいました。あれから約1日が経ちます。

生活は一変して、戦の最中にいます。

keiさんの言う通り、こんなことがなければスタートレックのDVDでも見ながら、朝ご飯でも食べたんだと思います。

正直なところ、今ここで何が起きているのか、 keiさんはもちろん、さめにもわかりません。

オサキさんにしても、不都合を排除するために戦おうとしているだけで、何が起きているかを把握していないと思います。

keiさんの好きな(さめも好きな)秘密の沼で戦争起きているんです。

猫猫スキー場にも、想像を絶する大雪でスノーボードどころではありません。

日常に現れた、突然のハプニング!

ハプニングで済めば良いのですが、勝敗は社会を揺るがすような大きな出来事になるはずです。

でも、さめの感情の中には怒りや恐怖や不安とは、ちょっと違った違和感を感じるのです。

そう、不愉快な感情!?


なんでkeiさんは楽しそうに妖怪とカレーを食べてるんでしょう?

なんか認識が甘いと思うのです(・_・;)

オサキさんの白いふわふわした毛の中に潜っていると、とってもあったかいです。

いろいろと考えていたら、ちょっぴりさめは眠くなってしまいました。

本当に悪夢のような事実!今はその事実を否定してしまいたい気持ちを、睡魔が包み込んでいます。

眠ってしまえば全てが終わり楽になります。

いや、それは違う~


何分ぐらいか、さめは睡魔と戦いながらまどろんでいたんだと思います。

オサキさんがピクリと身体を動かすのを感じ、正気に戻りました。

「さめ殿、何かを感じませぬか? 」

確かになんかが近づいてくるのを感じました。

そう。その感じとはまさしく魔力と同じ種類の力です

「どんどん近づいてきますな。 」

圧迫感を感じる大きな力です!


ついにラスボス登場ですね。!

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