第3話 困惑の緊急編成部隊

(場面:センターの外・1時間後)


兵士とGUYBACKの死体の山。

そこに、ルイーズとパトリックがいる。

ルイーズ、死体をかき分けながら物色している。

そして銃を手に取り状態を点検し、パトリックに差し出す。


ルイーズ「これ…」


パトリック、渡された銃を近くに止めてあるバギーに積み込む。

ルイーズ、物色を続ける。


ルイーズ「あんたもボーッとしていないで、弾薬を集めな!」

    「銃から、カートリッジを抜き取るぐらい出来るだろ?」

パトリック「それより、そんな普通の銃や弾丸タマをちまちま集めるんじゃ

      なくて、せめてもっと強力な武器を持って帰ろうぜ」


ルイーズ、パトリックをにらみつけ


ルイーズ「そのバギー1台しか生き残っていないのに、そんなモノ積めるわけない

     だろッ!弾丸タマが尽きたら、命も尽きるんだよ…」


パトリック、不満そうに物色を始める。


パトリック「何でこんなことしなきゃならねぇんだ」

     「そもそも、あのおっさんがあんなこと言うから…」


(場面:センター・管制室/回想・1時間前)


ラルフ「俺達は絶対に生きて地球に帰るんだッ!」


全員がラルフを見つめるが、沈黙が続く。そして


ポール「確かに、戦うしかないな…」


パトリック、驚きの表情で


パトリック「何言ってんだよ。あんた学者だろ…」

     「戦い方なんて知っているのかよ…?」

ポール「ご指摘の通り、私は戦闘員ではない。だから、彼の言うろう城戦が

    正しい戦略なのかどうかは判らん」

   「しかし戦う相手と意思疎通が図れるならば、降伏し服従するという

    選択肢もあるが、それが出来ない以上…」

JJ「残念ながら、GUYBACKあちらさんは俺たちの言葉に耳を傾けては

   くれねぇからな」

  「もっとも、聞く耳があるかどうかも分かんねえけどよ…」

エレン「でも、どこかに隠れていることも…」

ルイーズ「どこに安全な隠れる場所なんてあるんだい?」

エレン「だって、ここでこうやって生きのびているわけだから…」

ルイーズ「あんた、この部屋から外に出たかい?」

エレン「それは…」

ルイーズ「GUYBACKあいつらは、このセンター内部まで入り込んで

     いるんだ」

    「管制室ここだって、いつまでもつか分からない…」

    「だったら、戦うしかないだろッ!」

ラルフ「とにかく、管制室ここを拠点にして戦おう」

   「この臨時編成部隊の任務は、敵の殲滅じゃない。耐えることだ!」

パトリック・エレン「………」

ラルフ「まず、JJはセンター内の兵士達が持っていた武器で

    使用可能なモノをかき集めるんだ」

   「それと併せて、入口付近にバリケードの設置が可能かも

    確認してみてくれ」

JJ「はいよ…」

ラルフ「ルイーズとパトリックは、同じように武器の収集を

    センターの外でやってくれ」

ルイーズ「了解!」

パトリック「えーーーっ! 俺…?」

ラルフ「さっき、自分で言ってたじゃないか…バギーが1台無事なんだろ?」

   「2人で行った方が、より多く集められる。運転手をやってくれ」

パトリック「そ、そんなぁ~」

ルイーズ「GUYBACKヤツラ、今はお休み中だから大丈夫だよ」

    「さぁー行くよッ!」


パトリック、困惑の表情


(場面:センターの外/現在)


パトリック「まったく…」


パトリック、文句を言いながら、銃器の物色を続ける。

すると、凄惨な状態の死体を見つける。

パトリック、気分が悪くなり、嘔吐する。


パトリック「(涙目で)ハァッ、ハァッ、ハァッ」

     「一体…どうなっちまうんだよぉ~」   


ルイーズ、ジュラルミンケースを発見し、鍵を銃床で叩き壊す。

中には、多数の手榴弾。

ルイーズ、微かな笑みを浮かべる。


(場面:管制室)


ヤン、黙々と作業を続けている。

そこへ、ラルフが歩み寄ってくる。

ヤン、顔だけラルフの方に向ける。

ラルフ、スクリーンパネルを見つめ


ラルフ「話には聞いていたが…」

「これが〝1コンピューターによる1惑星の管理〟というコンセプト

の基に製作されたという『ZENONゼノン』か?」

ヤン「そうだよ。ZENONのことなら、僕が一番良く知っている」

ラルフ「彼…?」

ヤン「いつも会話しているからね」


ラルフ、ヤンの顔を見つめた後


ラルフ「ラルフ・ロレンゾだ」「君は?」

ヤン「僕はヤン…ヤン・コーウェン」

ラルフ「ヤン、訊きたいことはたくさんあるが、次の襲撃までそんなに時間がない」

   「まずは、このセンターの防御システムがどんな状況なのか

    教えてくれないか?」

ヤン「センター内の各ブロック毎を防御壁で遮断出来るようには

   なっているんだけど…」

  「大分破壊されていて、起動する箇所としない箇所がまばらだね」

ラルフ「外壁を直接破壊し、内部に侵入してくる可能性は…?」

ヤン「それはGUYBACKあいつらも結構挑戦チャレンジしていたけど、   

   あきらめたみたいだよ」

  「センターここは、あらゆる宇宙気象に耐えられるよう相当強固に

   作られているからね」

  「だから、入口から入ってきてるのさ」

ラルフ「………」

ヤン「つまり、入口のシステム破壊に戸惑った分、センターここ

   まだ何とか持ちこたえていられるのかもね」

ラルフ「分かった。とにかく、GUYBACKヤツラの進撃ルートが可能な限り

    一本化になるように修復してくれ!」


ヤン、素っ気無く


ヤン「まぁ~出来る限りのことはやるけど…」


ラルフ、いぶかしげな顔でヤンを見た後に、少し離れ無線機を手にする。


ラルフ「JJ、そっちはどうだ?」


(場面:入口付近)


JJが作業をしている。

そして手を止め、ラルフから無線に応ずる。


JJ「やはり、この残り時間でバリケードの設置は無理だ」

  「バリケードを設置するなら、次の襲撃が終わり、戻ってくるまでの間に

   総動員でやるしかない」

ラルフ『それは、また改めて考えよう』

JJ「今回はトラップを仕掛けて、少しでも時間を稼ぐしかないな」


(場面:管制室)


ラルフ「もうすぐ、ルイーズが武器を持って帰ってくる筈だ」

   「引き続き、頼むぞ!」


ラルフ、腕時計を見る。


次なる襲撃まで、残り80分。


                               <つづく>



【参考資料01】企画書・簡易版

https://drive.google.com/file/d/1FqEFjRaCUX7nAdkCCszB7fNvrilw2OVT/view?usp=sharing


【参考資料02】企画書・完全版

https://drive.google.com/file/d/1z8rwhQLt5_Sofmo3KMhOklpfB2YmOyDf/view?usp=sharing

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