第27話 アダマンタイトタートル

 4階層のボスだ。

 現れた姿を見て難敵だなと思った。

 メタルタートルのようだが、輝きが違う。

 あれはアダマンタイトだと思う。


「物理攻撃は通らないと思う。ダリアの火力が頼りだ」

「任せて、上級火炎魔法、ファイヤートルネード」


 炎の竜巻がアダマンタイトを包み込む。

 アダマンタイトタートルは炎に包まれたまま突進してきた。


 ベロニカが剣を振るいけん制する。


「【絶対貫通】、てや」


 アザミが投げナイフを投げる。

 投げナイフはアダマンタイトの甲羅に穴を開けた。

 だが、急所ではなかったようだ。


 このままだと俺達が蒸し焼きにされちまう。

 もしかして、氷系が弱点だったのか。


「ダリア、氷系の魔法だ」

「私、氷系は苦手。これでどうよ、上級電撃魔法、サンダーランス」


 電撃は甲羅に吸収された。

 効いてないようだ。

 くそっ、そうだ。


「初級氷魔法」


 床を凍らせた。

 アダマンタイトタートルは転がって腹を見せた。


「アザミ、腹をぶち抜いてやれ」


「【絶対貫通】、とりゃゃゃゃあ」


 アザミの突きが深々とアダマンタイトタートルの腹にぶち込まれる。

 アダマンタイトタートルの腹に大きな穴が開いた。

 アザミが3連突きを繰り出し、アダマンタイトタートルは死んだ。


「素材のアマダンタイトが実に良い金になりそうだ」


 そうだ、あれを作ろう。

 ポータルで地上に帰る。


 俺は鍛冶屋を訪ねた。


「鉄球を注文したい」

「スリング用か」

「いやもっと大きいの」

「こんくらいか」


 鍛冶屋が手で大きさを示した。

 大体、10センチぐらいだ。


「おう、それぐらい。それとさび付いた所に注す油をくれ」

「明日までに出来ると思うぞ」


 何に使うかと言えば、秘密だ。

 アダマンタイトタートルの攻略法だと言っておく。

 アマダンタイトの素材を速攻で売ってしまおう。

 きっと値下がりするぞ。


「アマダンタイトタートルの素材を買いとらないか」

「精錬が手間なんだよ。質はそれほど良くないからな。今なら金貨10枚だな」

「売った」


「解体はそちらでやってくれ肉なんか貰っても困る。皮は使い道があるがな」

「ベロニカ、アザミ、解体だ。ダリアは精錬だ。炎魔法は得意だろう」

「ええー、またぁ」

「そんな事を言うなよ」

「ご褒美ほしいな。みんなも欲しいでしょ」

「切望」

「ほしいわね」


「分かったハグしてやる」

「やった」

「ホクホク」

「師匠に今まで、ハグしてもらった記憶がありません」


 3人を順番にハグしてやった。


「ああ」

「充填」

「生き返ります」


「よし、ちっちゃとやろう」

「頑張るわ。【聖剣】」

「解体する。【絶対貫通】」

「上級火炎魔法。ファーニス」


「精錬するんだから、色を付けてくれ」

「金貨1枚プラスだ」


 肉はモンスターの毒餌にしよう。

 駆け出しにまた売らせないと。


 ダンジョンも少し手ごわくなった。

 まあ、アザミ一人でもアダマンタイトタートルはやれたと思う。

 ただ削るのに時間が掛かるだけだ。


 4階層制覇の打ち上げをやる。


「お疲れ」

「疲れてないわよ。ボス戦は活躍できなかったし」

「炎が通用しない敵に何か考えないといけないみたいです」

「貫通無敵」


「ダリア、今まではどうしてた」

「電撃魔法を使ってたました。ゴーストなんかだと、光魔法が効くからそれで対処ですね」

「アダマンタイトタートルは電撃も効かなかったな。土魔法の打撃でボコボコにするしかないだろうな」

「時間が掛かりそうだけど仕方ないですか」

「でも確実だ。反省会はこれぐらいにして、明日またアダマンタイトタートルに再挑戦するぞ」


「アダマンタイトタートルの攻略法が見つかったのね」

「ベロニカも活躍できる攻略法だ」


 翌日。

 再びボスに挑んだ。


 油を塗った鉄球をアダマンタイトタートルの足元に転がす。

 アダマンタイトタートルは転がって腹を見せた。


「よし、タコ殴りだ」

「【聖剣】」

「上級石魔法、ストーンランス」

「【絶対貫通】とりゃあ」


 瞬く間に息の根が止められた。

 これは良いな。

 だが、ボスをやるのは他の奴に任せておこう。


 鉄球を金貨1枚ぐらいで売ってやろう。

 他の奴の上前をはねた方が、儲かりそうだからな。

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