第26話 骸骨騎士と亀

 休日もとったので、ダンジョン攻略を再開する。

 4階層は荒れ地だ。

 出てくる敵は骸骨騎士と亀。

 とりあえず見てみないと対策は取れないな。

 で、一当てしてみた。


 えー、骸骨騎士はベロニカの聖剣スキルで一撃じゃないか。

 聖属性が弱点らしいな。

 俺ができる魔法で初級聖属性付与魔法というのがあるのだが、これでも大丈夫らしい。

 聖属性付与は才能がない奴は出来ない。

 ダリアも出来ないらしい。


 ベロニカは出来るが、聖剣スキルの方が使い勝手は良い。


 骸骨騎士のアーチャーが厄介だ。

 ダリアとの魔法の打ち合いでは負傷者が出る。

 それは俺だ。

 だって飛んで来る矢を武器で落とすなんて技はできない。


 踏み台の無能さを舐めるなよ。

 恰好良い真似なんて無縁だ。


 骸骨騎士には毒餌も効かない。

 そうだ、トラばさみに聖属性付与すれば。


 骸骨騎士が向かってきたので、聖属性付与したトラばさみをいくつか投げる。

 見事、引っ掛かって灰になった。


「痛い」


 アザミが罠に引っ掛かった。


「あー、味方も掛かっちまうか」


 味方が掛かっても損害の無い罠ねぇ。

 水に聖属性付与して、駄目だ。

 あー、水鉄砲か、染み込ませた何かを投げる方が早い。


 俺はやけくそになって、タライを出した。

 水を張り、聖属性を付与する。

 足洗い場の張り紙をした。


 骸骨騎士は靴を履いてないからな。


 こんなんで上手く行くのか?

 上手く行った。


 よし、売りだそう。

 聖属性の水とタライを売り出す。


「こんなので骸骨騎士が死んでいくのか」

「ああ、水が黒く濁って来たら、水の替え時だ」

「分かった試してみるよ」


 骸骨騎士は絶滅するな。

 召喚されてくる追加では間に合わないだろう。


 後は亀だな。


 小山ほどの亀が見える。

 足が遅いので走れば振り切れる速度だ。

 無視しても構わないが、魔石と素材が美味しいんだよな。

 毒餌の出番かな。


 荒野は餌はない。

 亀が何を食っているか観察したいが、観察していると襲って来る。


「亀は何を食っているんだろうな」

「さぁ」

「魔力じゃないの」

「空気」


「もしかて人間が大好物か。それだと毒餌が用意できないな」


 あの大きさだとひっくり返すのも難しい。

 魔法で遠距離からやるのが良いのかもな。


 なんか負けた気分だ。

 こういう時こそ悪知恵かな。


 そう言えばサキュバスの死骸があるな。

 これに毒を仕込もうか。

 尻尾を切れば人間に見える。


 俺はサキュバスの死骸に毒を仕込んだ。

 亀が食うのを見守る。


「食ったぞ。でも死んだのか、眠っているのか分からない」

「私の出番ね。初級探知魔法。生命反応がないわ」


「死んだのか。よし解体するぞ。胃の中に何が入っているのか興味がある」

「えー、嫌よ。物凄く重労働じゃない」

「私の役目は身体強化魔法ね」

「貫通で穴を開ける」


「ベロニカの聖剣が頼りだ。ベロニカ愛しているぞ」

「もう、こんな時だけ」


 四苦八苦して解体した。

 分かったのは、人間の他には石が胃に入っていただけだった。


 くそっ、石を食っているのか。

 そんなの気づけよ俺。

 荒野だとそれぐらいしかないだろ。


 まあ、毒石を作れば、また儲かるけどな。

 亀の甲羅は物凄くだぶついて安くなると思う。

 この階層は稼げない。

 攻略法も見つかったし、とっとと先に行こう。


「ロックタートルだったのね。亀のモンスターは見分けがつきにくいから」


 とベロニカ。


「色がみんな同じで、形もほとんど一緒だからなぁ」


「思ったんだけど、ロックタートル以外も混ざっているかもね」


 とダリア。


「あり得る。別の種類だとどんなのがいるんだ」

「メタル、アイス、ファイヤー、サンド、このぐらい」

「アザミ、物知りだな」


「アイスとファイヤーはブレスを吐くらしいから除外できるな。メタルとサンドか」

「メタルは異様に硬い。サンドは弱い」


 毒石を食わない奴がいたら、金属と砂に毒を混ぜた物で試してみよう。

 3頭ぐらいやっつけて、毛色の違うのが現れた。

 毒石に見向きもしないで襲い掛かって来る。

 移動が速い。

 ロックタートルの倍ぐらいだ。

 ベロニカが聖剣で一太刀の下に斬って捨てた。

 たぶんこいつがサンドタートルだな。


 そして足音がやけに大きくて遅いのが現れた。

 こいつはメタルタートルだろう。

 遅いので、投げナイフに毒をまぶして投げる時間があった。

 投げナイフを食う亀。

 やはりメタルタートルのようだ。


 今度こそ完全攻略だ。

 各亀用の毒餌に注意書きを書いて販売した。

 各階層の攻略グッズの販売は、駆け出しに委託。

 作るのは俺だけど簡単だからな。

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