11 王太子、まさかこんなになるとは
子供の頃からの婚約者、エリザベートは伏し目がちの陰気な女だった。
能力はあるようだが、そんなのは文官がやればいいのだ。
王太子の妻はやはり見栄えのする女がいい。僕はそんな女を見つけることができた。
そして偶然彼女は婚約者のエリザベートの妹だった。それなら面倒はない。
同じ侯爵家の令嬢だからな。両親も賛成してくれた。宰相は反対だったが文官を増やすと父上が約束していた。
エリザベートには先に言っておいてやろうとわざわざお茶会を開いて告げてやったのだが、遅れてやってきて、婚約のことを聞いたら普通におめでとうございますと言った。
なんなら、そばにおいて執務の手伝いをさせてやっても良かったが・・・・普通に紅茶のおかわりをして、味に不満があったのか入れ直させていた。なんてやつだ。
そしてさっさと帰って行った。あとで聞いたら執務室を片付けて去って行ったそうだ。
その後仕事が大変だったので、迎えの馬車を出したが行方がわからないと帰ってきた。
シャーロットに確認したら侯爵家と縁が切れたそうだ。どういうことだ。僕はそんなこと、聞いてないぞ・・・・
こっそり宰相に聞いたらマクバーディ公爵の世話になっているらしい。あの年寄りがと驚いたが、ちょうど同じ日に劇場に来ていた。
王太子の僕より公爵が注目を集めていて、あのエリザベートとは思えなかった。
あんなに見栄えのするという言い方は違うな・・・とても美しかった。
シャーロットが薄っぺらに見えた。着ているドレスも上質で、シャーロットの目立つだけのものとは比べようがなかった。
そして婚約祝いの夜会は最低だった。なぜか四公爵家が意地悪をしているようだった。
何というか、王家に寄って来る貴族より公爵達に挨拶する貴族のほうが多いのだ。
エリザベートもよく宰相に確認したら公爵の愛人というのはうわさで孫だというのだ。それってと思ってよく確認したらエリザベートとシャーロットは母親が違うというのだ。
知らなかったのを逆に驚かれた。エリザベートが王太子妃になると公爵の孫ということで公爵に権力が集中するからと公爵は遠慮していたらしい。
でもそんな心配がなくなって遠慮なく可愛がっているらしい。
そんなことも知らなかったのだ。隠されていることじゃないから普通に話していたら・・・・・
そしてエリザベートがダサいのは侍女のせいって?
なんということだ、そして今、賑やかに話しているのはお揃いのドレスについてだ。
シャーロットが怒りのあまり涙ぐんでるよ・・・・ドレスのデザインが同じだと言われても・・・・どうなだめればいいのだ。
お揃いでもいいじゃないか・・・なにがいけないんだ。あちらは公爵たちがお揃いを褒めているじゃないか・・・楽しそうにしてるぞ・・・混ざれよ!!
ぼくはエリザベートの隣で脳天気に笑ってる男を睨みつけた。睨みつけながらも思った。
あいつの服と俺の服、殆ど同じだよな。男の服なんて似たり寄ったりの色合いで同じような形でつまり同じ服、お揃いじゃないか。誰も泣いてないぞって・・・・
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