10 おそろいのドレス

シャーロットのドレスを見て、気がついた。


あの賑やかな二人と同じデザインだ。あの二人も気付いたみたいで挨拶に行こうと言っているようだ。


席に戻った王太子達のもとに下位貴族が並び始めた。どうやらあの二人ははしゃいで


シャーロットに向かって


「お揃いですね、うれしい」とか言いそうだ。まずい止めなくちゃ


わたしは三人に事情を告げると、反応が悪いながらもついてきた。


「お二人とも素敵なドレス、こちらでみせて下さる」


「いえ、これからご挨拶を・・。せっかくドレスがお揃いで」


「えぇお揃いのドレス素敵ですね」


こう言いながら、三人が取り囲み部屋から連れ出した。


「ここは?」


「気分が悪くなった人がちょっと休むところです」


「こんな所があるんですね」


四人を座らせ飲み物をすすめて切り出した。


「お二人の衣装、お揃いで素敵ですが、シャーロット様とも同じデザインですね」


「えぇそうなんですよ。びっくりキャロルにも言わなくちゃ」


「そのことですが・・・同じデザインはまずいです」


「「「「え?」」」」


「それでここに来ていただきました」


「シャーロットも他の貴族も気づいてます。ただ口にだしてません。どっちにころぶか、わからないから」


「なかったことにもできるし・・・・首を切ることも・・・」


「「「「・・・・・・」」」」


「なかったことにできるよう・・・・」


こう言っていると公爵の使いがやって来た。


「ご友人も揃っておいで下さいとのことです」と言うと使いはにっこりと笑った。


公爵と聞いてエスコートの男性二人は真っ青になったが、アンドリューたちが力づけている。


わたしたち八人はぞろぞろと公爵たちの所に行った。


彼らはわたしたちを座らせると飲み物をすすめ


「いやぁエリザベートに友達がいなくて心配していたんだが、こんなに可愛らしい娘さんが・・・・ありがとう」

「そうだ、こいつが心配するのを聞かされていてな・・・なんとかなるって言ってもぐちぐちうるさくて、ほらみろちゃんと友達ができたじゃないか」

「お嬢さん達、そのドレス同じデザインか?」


「そうなのか?立ち上がって見せてくれ」


二人はおどおどと立ち上がるが、互いに手を繋いで支えあっていた。


それを公爵たちはぐるりと回らせたり、エスコート二人も立たせてくるりと回らせると、来週クラブで会議をするから出席するように誘ったりしていた。


わたしはほとほと疲れたけど、ほっとした。そしてちょっとだけシャーロットに同情した。


いつのまにか、マチルダとジョシーの仲間に入れてもらって三人で楽しくおしゃべりをしていて、マチルダの家を訪問する約束までしていた。


・・・まぁいろいろあったけど、最初の夜会は大成功でした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る