15 事件の落としどころ

テントのなかのことは誰も教えてくれなかった。

何日かしてわたしの宝石箱を見せて欲しいとお祖父様が言ってふたりで中身を見た。


宝石はどれも、細工が壊されたり石に傷がついたりしていた。


シャーロットが持ち出してはおもちゃにして、その辺にぽいっと放り出したものを拾ったんだった。


わたしの目の色だとお祖父様が言う耳飾りは留め金の部分が壊れている。これはお祖父様のお母様の物だった。その人は王室から嫁いできて、公爵の一族はわたしの目をみて一族と認めた。貴族って面倒だけどちょっとホッとしてる部分があるかな。この目の色でよかった。



それらは全部、由緒があってひとつひとつ教えてもらった。


キャサリンとももっとこう言う風にすればよかったとぽつりと言ったお祖父様はひとまわり小さくなっていた。




公式には侯爵夫人の勘違いということで終わりにした。継子の死んだ母親の形見を取り上げたことを問題にしたかったが、わたしも大人の対応をしてあげたってことね。あまりに大きいものなのでおもちゃだと思ったという言い分を認めたってことで、ネックレスはデザインを変えて(ダイヤが増えていた)返ってきた。


次の夜会はこのネックレスを引き立てるドレスをお祖父様が作ってくれるそうだ。



夏の前半はこういったことで過ぎていき、わたしはアンドリューにエスコートされて近郊の観光を楽しんだ。こういった所は皆、よく知っているところらしいけど、わたしは王太子妃教育で忙しくて遊ぶ暇がなかったのだ。


そして遊びに行った先にはたいていバージルがいて、ジェラルドが加わり賑やかに過ごすことになった。


やがて夏の終わり頃、家を訪ねてきたバージルから直接プロポーズされてわたしは婚約した。


いろんな意味で都合もいいし、貴族間のバランスもいいらしいが、なによりわたしはバージルのことを好きになっていた。


ニール公爵が夜会を主催するというので、これが婚約後の最初の2人でのお出かけとなる。


今回のドレスコードは赤だった。なんとブルークルフ公爵が秘蔵の赤い宝石をわたしに贈ってくださるそうで・・・・婚約祝いとして・・・・それを付けてらっしゃいってことでドレスコードは赤に決まりだそうだ。


今回のドレスはバージルが贈ってくれるそうなのでおまかせで。宝石は大まかな希望を伝えてこれもおまかせ。費用はお祖父様におまかせ。



さて当日ドレスを着てネックレスをあしらった自分を鏡で見て、我ながら化けたなと思った。


それにしてもこの赤い石は見事だ。宝石はよくわからないが・・・・・


この日の夜会も四公爵はいつもとおりに四人で話していたが、今回は罪のない話をしていた。






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