第三話 「イケメンが原因でイジメにあう!?」
勝家のグループに入れて一番嬉しかったことは拙者のことを『イケメン』だなんて言う者が誰もいなかったことでござる。拙者は己の心を少しでもみて接してくれる者たちがいることに感激でござった。
しかし、近所に友達ができても教室内の『イケメン』いじりは継続していた。
最近では『イケメン』と言われても何も言い返してこない拙者の振る舞いをみてガチで己のことをイケメンだと思ってるんじゃないかという噂も流れはじめていた。それが原因で拙者には嫌悪感を抱く人も少しずつ増えつつあった。拙者は己のことを『イケメン』だと思ったことなんてないのにマジで迷惑な話でござる。
ちなみに、この日のイケメンいじりは「自他ともに認めるイケメンふぁたけさん。家にお帰りになるんですか?カッケぇですね!!」というものでござった。しかし、拙者は気にすることはなかった。家に帰ったらまた勝家と遊べるんだ。その一心で拙者はすぐにでも家に帰りたかったでござる。
だけど、その下校途中のことでござった。もうすぐ家に着くか、着かないかというところで隣のクラスのクソガキ中のクソガキの小太郎がこっちを見て不気味にニヤニヤと笑っていた。
とても胸騒ぎがした。そして、無視して横切ろうとしたのだが、足をひっかけられてしまい、ドサッとズッコケてしまった。
そして、拙者は驚いて小太郎の一番気にしてるだろう「このチビ!!」と身長に関することを不意に言ってしまったのだ。
すると、小太郎は不気味にひきつり、するどくとがった高笑いを一瞬したあと「イケメンにチビって言われちゃった」と自身のうしろにいた四人の子分にそそくさと駆け寄ったのでござる。
そこにいた子分のうちの一人は「アイツ、調子にのってんな」と拙者を見下した態度をとり、せせら笑った。
小太郎は「コイツは御仕置きだな」と言って、後ろにふり向き、スタスタと歩いたと思ったら、たまたまあった砂利の駐車場から小石を拾い投げてきた。子分も駐車場へとむかい、それに続いた。大量の石が拙者に何個もある隕石のように降り注いだのだ。
それから、数時間後のこと。「おそい。・・・ふぁた弐はなにしんてんだい!?」このとき、勝家はイラついていた。拙者が時間どおりに待ち合わせ場所に着いていなかったから。
すると、次の瞬間でござった。勝家の目の前に突如、無数に擦り傷をおった拙者が現れたのだ。さすがの勝家もビックリして「ふぁた弐、お前。どうしたんだ!!」と一目散に駆け寄ってくれた。
そして、拙者は号泣しながら答えた。「・・・こけただけでござる」
友を傷つけられたと思った勝家は激高した様子で「誰がふぁた弐をこんな目にあわせたんだい!!」と怒鳴った。うしろにいた今日遊ぶ予定だった皆も心配そうにこっちをみていたでござる。
それでも、「こけただけ」とその言葉を繰り返した。ホントは言いたかった憎い小太郎にやられたと。でも、ひどいやられ方をしたことが恥ずかしくて、そんなこと言えなかった。そして、嬉しかった。拙者の心配してくれる者たちがいることに。
次の日。拙者はある作戦を決行するべく、隣のクラスに侵入することに成功した。作戦を遂行させるため小太郎の席をみつけると、拙者はニヤリとし、奴のイスの上に座り込んだのでござった。
小太郎のクラスの者が不信そうにこっちをみていると、小太郎が教室に入ってきた。さしもの小太郎も衝撃でござったろう。なんせ、己の席に昨日いじめた同級生が座っているのだから。そのような奇妙な光景を目の当たりにした小太郎は拙者に詰め寄って「ん!?なんだい!!イケメン君が俺の席に座ってんるのはなんでだ!?」と目元をケイレンさせながら、その質問をした。
そして、拙者は己でもビックリするほどの支離滅裂で滅茶苦茶な発言をした。「ここは元々拙者の席でござる!!なんで拙者は自分の席に座ってるだけなのにどかなきゃならんでござるか!?オヌシがどっかいけ!!このチビ野郎!!!」もはやこれはイカレタ奴の発言だと己でも思っていたでござる。皆さんは気づいたでござろうが、拙者の作戦とは小太郎の席を奪い、怒らせて不快な気持ちにさせてやろうという、いかにもヤバい奴、いや!?小三が思いつきそうな仕返しでござった。
そして、拙者の予想どおり、暴言をうけた瞬間に小太郎の怒りの火山がイライラとともにメラメラと大噴火した。「はぁぁあああ。なにを言ってんだ!?お前、頭狂っちまったか!!マジでどけよ。クソメガネが!!!」と小太郎の冷静そうな顔が、見るも無残にだんだんと顔を真っ赤になっていく。まあ!?拙者はそれをカチ無視してやったでござるがな。そして、小太郎は拙者の手でつかみ強引にどかそうとしてきたでござる。しかし、拙者はびくともしなかったでござる。このとき小太郎はイライラしながら「どけ!!どけ!!どけぇぇえええ」と大声を張り上げ続けていた。でも拙者はどかなかったでござる。十分後チャイムがなった。拙者は疲れ果てる小太郎をドヤリながら凝視し、己の席、いや!?小太郎の席を立ち、拙者はいうものクラスに戻り、真の己の席に悠々ともどっていった。今思い返しても、あれほど爽快な出来事が人生であったでござろうかというレベルでござる。
それから下校するとき、小太郎の一派とすれ違った。小太郎の子分の一人が「おい、おら!!」と拙者に手をだそうとすると、小太郎がそれをすかさず止めて首をふり「アイツ、ヤバい!!・・・よしとこう」と言い、スタスタと退散していった。その光景をみて拙者は高揚感につつまれた。そして、グッと体に力が入りガッツポーズをした。
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