Part6
「ペットボトル!!!!!!」
ウェンディは城の屋上まで登ってきた。
「ハァハァ、ペットボトル!起きてペットボトル!」
「……ウェンディ…さん?」
「どうしたのよ!さっきまであんなに張り切って……そして強かったのに……」
「……予想外の攻撃が来たもんで…。すみませんでした」
ウェンディは涙を流しながら、ペットボトルに頭を乗せた。
「死なないでペットボトル!まだ大丈夫だから!」
「……つ、潰れちゃいますよ。泣かないでください……。中に薬があります。体力を2000回復させる」
「え?」
「いやはい。体力を2000回復させる薬を中に入れてたんで、攻撃喰らった瞬間その薬使って、もう体力全回復したんですよ」
ウェンディが急に真顔になった。
「え?」
「え?いや、逆に僕が聞きたいんですけど…。ってか僕はペットボトルなのでこの程度では死にません」
ペットボトルは起き上がると、スマホのタイマーを見た。
「あーーーーーーっ、あと5分しかない!!!!!!やばいやばい。こんなに時間かかったRTA初めてですよ!なんとしてでも魔王を倒さなければ」
「(めちゃくちゃ気まずかった……)やっとかよ…」
魔王は2人の会話を聞きながら、気まずいと思い、少し離れたところで見ていた。
「もう必殺技を使うしかありませんね。これを使ってしまったら、かなり体に負担がかかりますが、せめて1日で魔王を倒すという、目標を達成しなければ!!!!!!」
魔王も手から電気を出しながら、ポキポキと指を鳴らした。
「あと4分……いきましょう。皆さんもコマンドの準備はできましたか?いきますよ…」
ペットボトルは大ジャンプし、空中で逆立ちした。魔王も帯電した手を前にかざした。
「スマートグリッド!!!!!!!!!」
手から発射された無数の電撃が、生き物のようにうねりながらペットボトルへ飛び交う。ペットボトルは全て空中で避け、全身を回転させた。
「メントスコーラ!!!!!!!!!!」
ペットボトルの口から炭酸水が勢いよく飛び出た。
「⁉︎」
「YouTuberの登竜門じゃァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
ブシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ
ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンンンンン…
「って感じで、活躍できたらいいなぁ……」
のどかな街の川に漂う1本のペットボトル。コーラのラベルが少しだけへばりついており、中には泥水が少し入っていた。
「……無理か…アハハハハハ。ペットボトルがそんな活躍できるわけない。まずこの状況じゃなおさら」
「でももしかしたら……、いつか……」
少し期待しながらも、ペットボトルは漂流し続ける。いつか異世界転生して、RTA走者になることを夢見て。
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