第10話悪い妖精さん。ヤンデレとは違うけど面倒なタイプ?
無事に期末テストは終了してテストは返却される。
平均80点の僕は全体的に及第点と言えるだろう。
自画自賛をしていると不破聖は僕の席までやってきてテストの点数を確認した。
「ふーん。私が教えたおかげね。偉い偉い」
そんな一言を残して彼女は僕の頭を撫でた。
そしてそのまま何事もなく自席に戻っていく。
(自分で頑張ったんだよ…)
そんな事を思いながら終業式を迎えて一学期は無事に終了した。
学校を抜けると不破聖は僕の後を追いかけてくる。
「ついてこないでよ…」
そんな風に素っ気なく答えても彼女は僕の後をピッタリと歩く。
(なんなんだよ…)
心のなかで一つ呟くと彼女のことは気にせずに僕は先を歩く。
先を歩いて家の近くまでたどり着くと彼女は静かに口を開いた。
「最近誰かにスマホを触らせた?」
それを耳にして僕は少しだけギクリとしたが素知らぬふりをした。
「いいや。誰にも…」
そこまで言ったところで彼女はある人物の名を口にして僕はその場でフリーズする。
「益野白」
ドンピシャな人物の名が出てきて振り返る。
彼女はやれやれとでも言いたげな表情で僕の顔を覗き込んだ。
「言っておくけれどあの盗聴アプリを私にくれたのも益野白だからね?」
それを耳にして僕は頭が真っ白になっていく感覚を覚えた。
「え?じゃあどういうこと?」
問い返すと彼女も首を左右に振った。
「それは私もわからない。それでも気を付けたほうが良いよ。今日はそれだけ。じゃあね」
そう言うと彼女は駅に向けて歩き出して僕は家の中に向けて歩き出した。
自室に入っていくとすぐに益野白に連絡を入れる。
「どういうことだ?」
そのメッセージで彼女は全てを察したらしくふざけた返事を寄越す。
「あれ?もうバレちゃった?私は悪い妖精さんなのさ!」
「何を言ってる?ふざけてないでしっかり答えてくれ!」
すぐに返事をすると相手もトーク画面を開いているらしく即既読が着く。
「何でも聞けば答えが返ってくると思うなよ?自分で考えな!」
そんな悪役のような返事が来て僕は眉根を寄せた。
「考えてもわからないんだ!教えてくれ!キミの目的は何だ?」
「だから言ったでしょ?私は悪い妖精さんなの。それだけよ。あと、ちゃんと約束のデートはしてよね?楽しみにしてるから」
何でもないように適当に思える返事が来て僕は再び眉をひそめる。
「私には何でもお見通し。アプリをアンイストールしても無駄だよ?私はスーパーハッカーだからね〜」
などと追加でメッセージが届き僕は嫌気が差した。
(普通の恋愛がしたいだけなんだけどな…)
そんな事を思うと僕は額を抑えて一つ嘆息する。
「デートは明日の早朝7時に海に集合ね〜」
それに適当にスタンプを送ると嫌な頭痛がした気がしてベッドで横になるのであった。
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