第8話メイドのフララ

ー ゴゲラート領主邸 応接室 ー



 それから,2時間後,ゴゲラート領主邸に,飛び入りでメイド希望の女性が来た。その女性は,そのあまりの超巨乳姿で,歩くのも不安定な様子だった。両方の乳房で40kgにもなる,超超ウルトラ爆乳だった。ぴったり合う服などなく,町中で浴衣着を数着調達して身支度を調えた。美容院で髪型を変えて,化粧によって年齢を25歳程度に変えた。


 彼女のこの肉体は,最初の使用した肉体で,ケンに1週間ほど貸し与えた霊力の肉体だ。そして,その霊体には,もちろん,雪生の霊体が収まっている。雪生は,自分のベースとなる場所を確保したかった。それが,ここ,ゴゲラート領主邸だ。


 飛び入りでメイドの面接希望者は,ほとんどないと言ってよい。普通なら断るところだが,今の状況では,大変ありがたい状況だ。それに,圧倒的な超爆乳のメイド希望者だ。男なら面接を断るという選択肢はない。だが,面接には,かならず奥様も参加する。その点をどうクリアするかが問題となる。


 急遽,臨時の面接が行われた。参加者は,ゴゲラート領主,タルベーラ夫人,護衛隊長,筆頭執事の4名だ。


 ゴゲラート領主「まず,自己紹介をお願いしたいのだが?」


 雪生(フララ)「はい。名前はフララです。以前の職場では,ここに勤めていた雪生様と一緒でした。雪生様から,今日,急に連絡がありまして,今なら,メイドとして雇ってもらえると言われました。それで,慌てて,ここに来た次第です」


 ゴゲラート領主「フララ?どっかで聞いた名だな?もしかして,雪生の生前の名前?偶然の一致か??まあいい。以前の職場とは,どこかな?」


 フララ「言いにくいのですが娼館です。私は,娼婦の仕事から,しばらく足を洗いたかったのですが,この体ですので,歩くのもままなりません。楽な,住み込みのメイドの仕事を探していました。


 幸いにも数時間前に雪生様から,この屋敷を紹介されました。こちらのご子息のダン様のお世話程度であれば,私にでもできると言われました。ぜひ,ダン様のお世話係として採用いただけないでしょうか?お願いします」


 フララは,重い体を持ち上げるようにして立ち上がって,深々と頭を下げた。そのとき,胸元がさらに大きく開いた。その40kgにもなる超超ウルトラ爆乳の輪郭,かつ,直径7cm長さ7cmにもなる乳首が微かに見えた。


 その爆乳による色気を振りまく姿に,タルベーラ夫人は雪生に対するのと同じ嫌悪感を感じた。


 タルベーラ夫人は,自分がいくら反対しても,フララは採用されてしまうとわかった。そこで,給金の面から攻めることにした。


 タルベーラ夫人「ここは娼館ではないのよ。なんで,そのおっぱいが見えるような格好をするのよ。色仕掛けが通用すると思っているの?それに,ここに務めるにしても,日当は,金貨1枚にもならないわよ。銀貨5枚,いえ,銀貨2枚がいいとこね」


 筆頭執事「奥様。それは,いくらなんでも低すぎるのではないでしょうか?」


 タルベーラ夫人の,その言葉の意味は,『採用するにはするが,ただし,,,』という意味に理解した。


 フララ「私は,こんな体ですので,歩くのもしんどい状況です。労働するにも,午前中と,午後3時くらいまでが限界です。午後3時以降は,自分の時間をいただきたいと考えています。そんなわがままを聞いていただけるのであれば,奥様のご提案いただいたお給金で充分でございます」


 ゴゲラート領主「妻よ。ダンの勉強時間は,たしか,午後3時までだったな。ダンの自由時間に,フララがいないのであれば,色仕掛けは通用しないから,問題ないのではないか?」


 タルベーラ夫人「ふん!!なかなかいい言い訳ね。いくら私が反対したって,雪生さんの時のように,むりやり採用してしまうのでしょう?どうぞ,採用してください。ダンさんの成績が大幅に下がってもいいのならね」


 ゴゲラート領主は,ダン本人の希望も聞くことにした。もっとも,聞かなくても答えはわかっていたが,,,


 5分後,ダンがこの場に来た。ダンは,超美人の,かつ,超超ウルトラ爆乳のお姉さんを一目みて,先ほどからの『雪生がいなくなったという大ショック』から,すぐに立ち直ってしまった。


 ダン「お母様,お父様。雪生がいくなったので,勉強が手につかなくなっていました。でも,このお姉さんを採用してくれたら,また,勉強の意欲が出てきます。ぜひ,採用してください。これまで以上に,一生懸命,勉強します。魔法の訓練も頑張ります」


 タルベーラ夫人「ダンさん。フララさんは,午後3時までしかお仕事はしないのですよ。それでいいのですか?」


 ダン「そうなのですか??フララさんと,もっと交流する時間がほしいと思います。午後からの勉強時間を午後3時からに変更していただけませんか?そうしていただければ,これまで以上に,何倍も勉強します。一生懸命,勉強します」


 タルベーラ夫人は,溜息をついた。


 タルベーラ夫人「これだから,男どもは!!大きなおっぱいしていれば,何でも許されると思って!! フララの給金はなしです!!ダンさん!フララの給金は,自分の小遣いから出しなさい!それに,もし少しでも成績が下がったら,すぐにフララさんを首にします!!」


 タルベーラ夫人は,さっさとこの場から去っていった。


 母親の怒った後ろ姿を見たダンは,父親の顔を見た。


 ダン「ぼく,,,何か悪いこと,言ったのでしょうか?それに,私の小遣いなんて,微々たるものです。お父様,どうしましょうか?」


 ゴゲラート領主「小遣い全部をフララさんに渡しなさい。私も自分の小遣いを少しは分けたいと思う」


 かくしてフララは,タルベーラ夫人の怒りを買ったものの,無事採用された。フララは,雪生のいたメイド部屋を使うように指示された。仕事は,明日の朝8時から始まることになる。午後3時から自由時間ということは,夕食は不要ということを意味する。


 もっとも,フララは,まず,40kgにもなるおっぱいを縮小させる必要がある。ありあまる精力・寿命エネルギーを取り込んだので,いくらでも実践形式で修行ができた。それとは別に,残り9名の娼婦の仲間のところに,毎日,順番に訪問する必要もあった。もっとも,フララも,千雪のルーズな性格を受け継いでいるのか,今日のところは,勝手知ったる自分の部屋だったこのメイド部屋で,のんびりと過ごすことにした。


 だが,世の中,そうのんびりとさせてもらえなかった。


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 隣国のメランブラ女王国のクルゲラ王都にある南領のセロジル領主のところでメイドとして務めた娼婦仲間のヌナーラから,SOSの連絡がフララの携帯に入った。フララは,ヌナーラにフララの状況を説明後,急遽,セロジル領主邸に中庭で待っているヌナーラのところに転移した。


 ヌナーラは,この屋敷で,22歳になる領主の長男セルバに,何度もセクハラを受け,性交渉を断り続けると,今度は,魔法石の指輪が無くなった原因をヌナーラに押しつけて,その賠償として,性奴隷として過ごすように命じられたのだ。


 さすがに,耐えきれずに,ヌナーラの後見人であるフララに連絡がいったというわけだ。


 ヌナーラは,フララからの状況説明を受けて,早速,この屋敷で一番の実力者であるセロジル領主を訪ねることにした。


 フララは,いったん,この屋敷の外側に出てから,この屋敷の門を叩いた。


 この屋敷には門番がいた。その門番は,フララの美貌と超爆乳の体に驚いたが,雇われたメイドの件で領主に会わせてほしいという要望には,素直に答えることは出来なかった。


 門番「個人的には,あなたの要望に答えたいのだが,それは出来ない。申し訳ないが,出直してほしい」


 フララ「どうしたら,領主様に会わせていただけますか?」


 門番「無理でしょうね。たとえ,あなたが,娼婦でもそれは無理だ。身元が不明な人とは会えない。なんせ,セロジル領主様は,女王様の兄上に当たられる方だからな」


 フララ「女王様の兄上なのですか,,,では,メイド紹介所の管理者の資格でしたら,会う事は可能ですか?」


 門番「それなら,筆頭執事には会うことができる。なんせ,メイドの採用は筆頭執事が担当するからな」


 フララは,ヌナーラたちをメイド紹介所に推薦したときに,フララは,高額の賄賂を使って,ヌナーラたちを王族の屋敷にメイドとして採用させてもらった経緯がある。


 世の中,色仕掛けが通じない場合は,金がものをいう。


 フララは,金貨3枚を門番に渡した。


 フララ「門番さん。すいませんが,筆頭執事の方に会わせていただけますか?メイドのヌナーラさんの件でご相談があるのです」


 金貨を出されては,断るわけにはいかない。門番をするメリットは,このような副収入があるから面白い。


 ー 筆頭執事室 ー


 門番に連れられたフララは,筆頭執事室に案内された。筆頭執事は,フララの美貌と超超ウルトラ爆乳に見とれてしまった。


 筆頭執事「門番?このお嬢様は何かな?」


 門番「執事様にご相談があるとかで,お連れしました」


 門番は,そう言って金貨1枚を筆頭執事に渡した。筆頭執事は,ニヤッと笑って,フララを受け入れた。


 フララは,メイドのヌナーラが領主の長男セルバによって,いじめに遭っていることを伝えた。そして,ヌナーラを安全にここでメイドとして生活させてほしい,というお願いをした。


 筆頭執事「そうでしたか。でも,セルバ様がいじめているのでしたら,領主様を説得する必要があります。ですが,その,,,領主様に会わせるにも,ただというわけにはいかない,,,」


 フララ「何を望みですか?この体ですか?」


 筆頭執事「物わかりがいいな。その爆乳を抱かせてくれたら,領主様に会わせてやろう」


 フララ「・・・,残念ですが,あなたは,私を抱くことはできません」


 筆頭執事「何?え?体が,,,体が動かない,,,」


 筆頭執事は,そう言ったが最後,もう声を出すことはできなかった。


 フララ「残念でしたね。あなたを殺すことなど,簡単です。私は,殺人犯『チユキ』です」


 シュー!シュー!


 フララは,そう言って,近くにある花瓶の花を,枯らしてみせた。


 フララ「信じてくれましたか?今から,あなたにある魔法陣を植え付けます」


 フララは,筆頭執事の胸に標的魔法陣を植え付けた。


 フララ「この魔法陣がある限り,あなたは私の奴隷です。今後,ヌメーラに少しでも虐待,いじめがあれば,その都度,あなたの責任として,罰を与えます。このように!!」


 フララは,筆頭執事に植え付けた標的魔法陣に,鞭うちの痛みを送った。


 バチーン!!


 筆頭執事『うっ!!』


 筆頭執事は,声にならない痛みを覚えた。彼は,この魔法陣の恐ろしさを理解した。痛みを送れるということは,ナイフでも送れるということだ。生死与奪の権利を握られてしまうことを意味した。


 筆頭執事が状況を理解したと判断したフララは,筆頭執事の体を自由にした。


 フララ「筆頭執事さん。もう体は自由になりましたよ。私のお願いは,最優先で聞いていただきたいと思います」


 筆頭執事「フララさん,いや,フララ様。なんなりとお申し付けください。ですが,あまりに理不尽な依頼は,いろいろと破綻をきたします。その点はご理解ください」


 フララ「わかりました。私の目的からすれば,どのようにすれば,一番いいと思いますか?」


 筆頭執事は,しばらく考えてから言った。


 筆頭執事「そうですね。フララ様の能力があるのでしたら,領主様を経由しなくても,直接,セルバ様と交渉するのがいいと思います。そうされてはいかがですか?」


 フララ「わかりました。では,セルバ様との面談の手配をお願いします」


 筆頭執事は,セルバとの面談を30分後にアレンジした。



 ー セロジル領主邸の会議室 ー


 セルバとの面談は,会議室で行われた。セルバは,専属の護衛3名と一緒に出席した。なにせ,セルバは,王位継承権3番目であるため,それなりに警護レベルが高かった。また,セルバと面談するには,セルバに対して,一切の被害行為,敵対行為をしてはならない,という宣誓契約をする必要があった。


 フララは,宣誓契約をした。フララにとって,このような宣誓契約など,意味のないことだった。被害行為と敵対行為をしなければいいのだ。フララがそのように認識しなければいいだけのことだ。


 セルバは,卑しい目で,フララを見た。25歳になる化粧を施しているとはいえ,絶世の美人で,かつ,その圧倒的なおっぱいは,セルバだけでなく,3名の護衛の目を,フララの爆乳に釘付けにした。


 セルバ「では,フララさんだったかな?どんな用事かな?」

 フララ「私は,メイドのヌナーラさんの後見人です。ヌナーラさんの行動の責任は,すべて私が引き受けます。それで,セルバ様。ヌナーラさんは,どのような賠償責任を負ったのですか?」

セルバ「なるほど。そういうことか。あやつは,魔法石を無くしたのだ。金貨5000枚もするものだぞ!!ヌナーラには,俺の性奴隷として過ごしてもらうことにした。だが,フララさんが,その責任を肩代わりするのだったら,喜んで,その提案を受け入れよう」


 フララ「わかりました。私が引き受けましょう。ですが,私は,午後9時からしか時間がありません。その点を考慮して,宣誓契約の文言をお願いします」


 セルバ「わかった。では,こんな文面でどうだ?」


 ーーー

 契約案

1.ヌナーラの負うべき金貨5000枚の借金は,フララが代わりに負うものとする。

2.その借金は,以下の行為をすることによって,帳消しとする。

セルバは,フララを性奴隷として,1ヶ月間,毎日午後9時から2時間奉仕すること。

3.セルバは,ヌナーラに対して,いじめ,セクハラ,その他,ヌナーラが不快に感じるような行為を行わない。

4.セルバとフララは,今後,いなかなる場所,いかなる時も,お互いに対して殺傷行為をしてはならない。

5.上記の契約は,セルバからは解約することができるがフララからは解約することはできない。解約した場合,上記に記載の借金は 帳消しになったものとする。


 フララは,一読して,自分の勝手な解釈をした。曖昧な表現が多く,そのような解釈もできた。


 フララは,この内容で宣誓契約した。セルバは,天にも昇る気持ちだった。これから1カ月間,セルバはフララを自由にできると思い込んで,午後9時になるのが待ち遠しかった。



 ー セルバの部屋 ー


 午後9時になった。フララは,セルバの部屋に現れた。セルバの部屋には,セルバだけでもう護衛はいなかった。宣誓契約しているのだから,護衛は必要なかった。


 セルバ「ふふふ。時間通りだな。では,さっそくだが,全裸になれ」

 フララ「はい。ご主人様」


 フララは,全裸になった。そのZカップをも超える片側で15kg,両方で40kgにもなる超超ウルトラ爆乳のおっぱいが露になった。直径7cm長さ7cmにもなる大きな乳首もその姿を現わした。


 セルバも自分の服を脱いで全裸になった。そして,フララに抱きつこうと,体を動かそうとした。だが,体は,まったく動かなかった。魔力も封じられた。


 セルバ「な?なんだ?これは?お前のしわざか?」


 フララ「はい。私のしわざです。これは,セルバ様の安全のためです。私の体は危険です。私の体は,不幸に満ちています。私に触ると死んでしまうと言われています。セルバ様。私は,セルバ様の性奴隷ですが,それ以上に,セルバ様の安全を優先したいのです。それが,宣誓契約を守ることなのです。どんないやしいポーズでもしますので,どうぞ,命じてください」


 セルバ「そんなこと,一言も聞いていないぞ!!これでは,性奴隷の意味がないではないか!!」


 フララ「でも,殺傷行為をしてはならないと契約にあります。セルバ様,どうされますか?」


 セルバ「ひとつ聞く。俺に危害を与えないで,お前を抱く方法はあるのか?」

 フララ「今の契約では,その質問に答える義務はありません」


 セルバ「・・・,そうか。宣誓契約に不備があったのだな,,,わかった。私の負けだ。この場で,先ほどの宣誓契約を解約する」


 フララ「ありがとうございます」


 フララは,服を着たあと,セルバの体の自由を解放させた。


 フララ「もし,今後,何かあれば,ヌナーラに連絡してください。午後3時までは,仕事していますが,午後3時以降であれば,時間がとれます。これも,何かの縁です。今後とも,よろしくお願いします」


 フララは,この部屋から出ていった。


 セルバは悔しかった。抱けると思っていたのだが,まったく抱けないのだ!!だが,まあいい。隠しビデオを撮っておいたのだ。せめて,それを眺めてオナニーをすることにした。



 ー ガルベラ女王国ゴゲラート領主邸内のフララの部屋 ー


 フララは,すでにゴゲラート領主邸に戻っていた。午後3時以降は,フララの自由時間だが,でも,ダンは,しょっちょう,フララの部屋に来てフララを探していた。ダンは,雪生と性行為をすることを覚えたので,なんとか,フララと性行為をしたかった。もちろん,宝物庫から,貴重な宝石を何個か盗んできた。それを褒美にフララの体を抱くつもりだ。


 やっと,フララが部屋に戻ってきたのを見て,ダンは,フララの部屋に入って来て,正直に自分の願望を伝えた。


 ダン「フララさん。私,前にメイドにセックスの味を覚えてしまいました。もう,下半身が爆発しそうです。ここに,宝石があります。売り払えば,金貨100枚以上にはなるでしょう。これで,フララを抱きたいです。抱かしてください。お願いします。お願いします」


 ダンは,何度も頭を下げた。


 フララは,ニコッと笑った。


 フララ「私の体は,このように超超ウルトラ爆乳です。こんな体は,他の女性では味わうことはできません。その宝石では足りません。その3倍の宝石を持ってきてください。それなら,30分だけ,この体を抱かしてあげます」


 ダン「わかった。すぐに宝石を持ってくる」


 ダンは,また宝物庫に行った。



 ー 宝物庫 ー

 宝物庫では,筆頭執事とタルベーラ夫人がいた。宝物庫の定期在庫検査の日だ。ダンは,彼らが中に入っているのは知らなかった。というのも,宝物庫の出入りは,パスワード魔法陣を起動することで入れるのだが,誰が中に入っているのかは,外からではわからなかった。


 ダンは,勝手知ったるパスワード魔法陣を起動して,宝物庫の中に入った。


 「あーーー!!お母様!!」


 タルベーラ夫人「ダンさん!こんなところで何をしているのですか?どうして,パスワードを知っているの?」


 筆頭執事「奥様,宝石が10個,匕首が1刀,なくなっています。先週には,在庫があったので,ここ1週間で,亡くなったものと思います」


 タルベーラ夫人は,ダンを睨み付けた。ダンは,観念したように,下を向いたままだった。


 タルベーラ夫人「ダンさん?あなたが盗んだのね?何に使ったの?」


 ダンは,正直に答えるしかなった。


 ダン「雪生さんにあげました」


 「はーーーあーー!」


 タルベーラ夫人は,大きく溜息をついた。


 タルベーラ夫人「これだから,もう,,,,ダンさん,フララさんを抱きたいから,また盗みにきたのね?」


 ダンは,下を向いたまま,何も言わなかった。


 タルベーラ夫人「お父様に言って,すぐにフララさんを解雇してもらいます。このままでは,この宝物庫は,すぐに空っぽになってしまいます!!」


 タルベーラ夫人は,ゴゲラート領主に状況を説明して,フララを解雇させた。もちろん,宝物庫のパスワードは変更して,ダンの勝手にさせないようにした。


 フララに解雇通知を出すのは,筆頭執事の役目だ。


 筆頭執事は,フララの部屋に来た。そして,申し訳なさそうに,フララに解雇通知を伝えた。


 筆頭執事「フララさん。残念ですが,ダン様があなたのために,宝物庫から宝石などを盗んだことが判明しました。残念ですが,ダン様のお世話係の仕事は首になります」


 フララ「あの,,,他の仕事はないのでしょうか?」


 筆頭執事「奥様が大変立腹です。あなたが,この屋敷にいるだけで問題なのです。フララさんが悪いわけではないので,一応,慰謝料として一時金がでています。お納めください」


 フララ「・・・,そうですか,,,でも,私,ほかに行くところはありません。今晩,泊めていただいて,明日の朝,屋敷を出ることでいいですか?」


 筆頭執事「それくらいないならいいでしょう。できるだけ朝早く屋敷を出なさい。門番には,その旨,言っておきます」


 筆頭執事は,フララの部屋を出ていった。その後すぐに,ダンが入って来た。ダンは,泣きべそを書いていた。


 ダン「フララさん!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!お母様に,宝物庫で見つかってしまいました!!でも,この宝石だけは,まだ,ここにあります。これで,許してください!!」


 ダンは,隠し持っていた宝石一個をフララに渡した。


 フララは,その宝石を亜空間収納にしまって,ダンに言った。


 フララ「ダンさん,夜になったらいいことしましょう。今は,その時ではないわ」


 ダンは,泣きべその顔から,喜びの顔に変わって言った。


 ダン「うん。わかった。夜の11時になったら,こっそり,この部屋に来る」


 フララは,ダンに,標的魔法陣を植え付けた。そして,ダンに言った。


 フララ「ダン様。いいえ,ダン様が歩くと見つかるかもしれません。私がダン様をこの場所に転移させます。夜の11時まで,おとなく待っていてちょうだい」


 ダン「はい。待ってます!!」


 ダンは,笑顔になって,フララの部屋から出ていった。


 ーーー

 ーーーー


 ー 北部防衛の最前線 ー


 北部防衛の最前線では,地上戦で戦っていた。敵は,ほぼ,ヒト型の魔物だ。魔力の高いものは,ヒト型に変身することができる。もっとも,皮膚までは,ヒトの肌に変更できないので,魔物だとすぐに分かる。


 魔物の姿は,千差万別だ。カエル,ヘビ,トカゲ,カメレオン,カメ,ウサギ,トラ,ウルフ,サイ,などなど,一見して,それらしいと分かるのだが,身長が,ヒトと同じ程度であること,ヒトと同じように歩き,ヒトと同じ言語を操り,ヒトと同じ魔法を扱うことができる。それに加えて,動物独自の特殊能力を持っていて,明らかにヒトよりも高い戦闘能力を有していた。


 ガルベラ女王国側にとって幸いなのは,彼らの魔法力がさほど高くないということだ。せいぜい,上級かS級魔法どまりだった。SS級クラスは,指揮官クラスの魔物だ。


 それでも,北部戦線の兵隊が7割も減ってしまっては,防御することもままならず,苦戦を強いられていた。



 そんなところへ,雪生の体を支配したケンが北部戦線に合流した。ケンは,ケンをサポートするS級剣士2名とS級魔法士2名の5名チームを編成して,S級の指揮官の魔物だけを選定して,撃退するという戦法を取った。SS級レベルの魔法士や剣士でなくてもよかった。というのも,敵は,魔力を封じ込まれてしまうのだ。そのため,SS級剣士やSS級魔法士を,ほかの激戦地に配備することができた。


 この作戦は,即日,すぐに実行された。


 SS級魔法士が,敵の指揮官の場所を捕捉して,転移して,SS級剣士が敵と抗戦する間に,ケンが,敵の魔力を封印してしまうのだ。つまり,5秒後には,リスクを犯さずに,ケン・チームが勝利を収めることができた。


 指揮官クラスの魔物が5名,いともたやすくやられたことで,魔物軍は,全軍が一時,撤退していった。


 その様子を,モニターでみていた北部防衛の作戦室にいるガルベラ女王は喜んだ。ケンが来てから,わずか数時間で敵である北部領域の魔物が一時撤退したのだ。喜ばないはずはない。


 ガルベラ女王の隣には,小さい頃,一緒に兵法を勉強した軍師がいた。軍師は,ガルベラ女王のように,喜んではいなかった。逆に,敵に,別の戦略を与えてしまうことを懸念した。


 軍師「女王様。あの,ケン様は,確かにすごい能力を持っています。あっという間に,指揮官の魔物を,S級剣士とS級魔法士だけで倒してしまったのですから。賞賛に値します。ですが,魔物も,われわれと同じように知恵を持っています。このままでは終わらないでしょう。しばらく,ケン様をお借りしていいでしょうか?」


 ガルベラ女王「そうね。地上戦では,われわれの防衛を突破できないことを知らしめることができたと思うわ。そうなると,空中戦になるけど,魔物は,空が飛べるの?」


 軍師「問題は,そこなのです。これまで,鳥型の魔物は見たことがありません。ですが,いないのも不自然です。これまで,いろいろな動物の魔物が姿を現したのに,何で鳥型だけがいないのか?それとも,秘密兵器として,隠しているのか?」


 ガルベラ女王「そうよね。鳥型の兵隊を投入しないのも不思議だし,彼らが転移魔法を使わないのも不思議だわ。なにか支障があるのかしら?」


 軍師「残念ながら,やつらは捕虜になるのを極力避けるのです。捕まえようとすると,自爆してしまいます。特別な秘密があるのかもしれません」

 

 ガルベラ女王「ここの研究所での,ハイパー魔獣軍団の開発状況はいかがですか?」

 

 軍師「順調ですが,まだまだです。どうしても,敵の魔物ように,ヒト型の魔獣にならないのです。何か,基本的なところで違っているのかもしれません」


 ガルベラ女王「敵の魔獣の魔法因子の解析はしたのですか?」

 

 軍師「はい。それが,解析しようにも,魔物因子がないのです。どうも,魔界出身の魔物ではないようです。それなのに,魔法がある程度,使えるというのがよくわかりません。敵の魔物は,われわれの知っている魔物とは根本的に違っています」


 ガルベラ女王「とにかく,ハイパー魔獣軍団を早く完成させなさい。北部領域をわれわれが先に征服するのです。そして,メランブラ女王国も支配下にいれるのです。わかっていますね。ケンを最前線で使い倒しなさい。サポートの隊員は,S級から上級に引き下げてもいいでしょう。しょせん,ケンは使い捨ての駒ですから」


 軍師「存じております。では,そのようにサポートの隊員のレベルを下げることにします」


 ガルベラ女王は,状況が安定したのを見て,バーミラン隊長,ウラバーレ,トレーランを連れて,王都の王府に戻っていった。


 だが,軍師や女王が危惧していたように,北部領域の魔獣の反撃は,密かに開始されていた。



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 その日,太陽が沈んだ頃,上空には,鳥型魔獣が密かに飛行していた。目的地は,ガルベラ女王国の南部地域だ。警備が比較的弱いはずと見越しての反撃だ。


 夜間のため,鳥型魔獣が飛行していることは,北部防衛の兵士たちに見つかることはなかった。


 ピューーー!!ピューーー!!ピューーー!!ピューーー!! ピューーー!!ピューーー!!


 空を切る音は微かなものだった。王都を越えて,そのまま南下していった。南下する鳥型魔獣は7体だ。


 鳥型といっても,長距離飛行が可能なオオワシの外観をしたヒト型魔獣だ。上級の火炎魔法を得意とする。


 空中の飛行では,隊長の鷲1号が先頭を飛んで,その後ろに,V字編隊で鷲2号から7号が空気抵抗を最小に抑える飛び方をした。


 


 ーーーー

 

 ー ガルベラ女王国ナトルア市郊外にあるゴゲラート領主邸のフララの部屋 ー


  夜11時頃だったので,ダンを標的魔法陣を使って,自分のところに転移させた。


 ボァーー!


 ダンがフララのそばに転移した。


 ダン「あっ!!フララさん。ありがとう。待ってました。ほんとに転移したのですね。転移って,始めてでした」


 フララ「ダン様を転送させた魔法は,あの危険な転移魔法ではありません」


 ダン「え?転移魔法でないの?」


 フララ「はい。私もよくわかりませんが,原理的に転移魔法と違うと聞いています。危険のない魔法らしいです。そんなことより,ダンさん。私を抱きたいのでしょう?はやく服を脱ぎなさい」


 ダン「はい!!」


 ダンは,さっさと服を脱いだ。その間,フララは,ダンの体表面に霊力の層を展開させて,自分の体と直接,接しないようにした。


 ダン「フララさん。その,超爆乳を吸っていいですか?」


 フララ「いいわよ。私の乳首はとても大きいのよ。たぶん,本物なら,もっともっと大きいのでしょうね」


 ダン「本物って,なんのこと?」


 フララ「ダンは,そんなこと気にしなくていいのよ。おっぱいを吸いなさい」


 ダン「はい!!」


 ダンは,嬉しくて嬉しくて,フララの直径7cm長さ7cmにもなる乳首をおもいっきり吸った。,フララはその吸われる感覚を鋭敏に感じた。どうせなら,思いっきり感じることにした。全身の感覚を鋭敏に感じるようにして,その感覚がすべて快楽として感じるようにした。それは,自分がそのようにイメージするだけで,霊体格納魔法陣がそのようにフララの霊体に感じさせるのだ。


 ダンは,おっぱいを吸いながら,すでに勃起した逸物をフララの膣に挿入させようとした。


 グイ!グイ!グイ!

 

 ダン「フーッ,やっとフララの中に入った。最高ーーーーー!でーー出るーー!!」


 ドバッー!ドバッー! 


 ダンの精液は,膣に挿入後,すぐに発射されたが,その精液は霊力の層によって阻まれて,フララの体に接触することはなかった。


 射精を果たしたダンは,おっぱいとおっぱいの狭間で,しばらく動かないでいた。だが,相変わらず,ふたつの巨大な乳首を口の中に含んでいた。


 ダン「幸せだーーー,,,おっぱいの中を泳いでいるみたいだ,,,,フララ,おっぱいから,母乳でないの?」


 フララ「水なら出せると思うけど,母乳は無理ね。でも,母乳が出るように,頑張ってみるわ」


 フララは,どうやって母乳を出したらいいか考えた。その結果,他人のおっぱいを取り込むことにした。


 この部屋の隣もメイドの部屋だ。彼女は,年齢が22歳。形のいいCカップのおっぱいをしていた。


 フララは,霊力を地表から這わしてメイドの意識を飛ばした。次に,おっぱいを輪切りに切って,おっぱいを自分の爆乳の中に転送させた。爆乳は精力と寿命エネルギーで満ちているが,空気のようなものなので,おっぱいの中に物を収納することは可能だ。メイドに回復魔法をしておっぱいを回復させ,さらに輪切りで切りとっていた。これを6回ほど繰りかえした。メイドのおっぱいは4kgにもなるIカップに変化した。


 奪ったおっぱいを形成する細胞は,周囲の膨大な精力と寿命エネルギーによって,活発に働き,母乳を生産させていった。


 ピュー!ピュー!


 乳首から母乳が出た!!


 ダン「えーー!!母乳が出てきた!!嬉しいーー!!」


 ダンはうれしさのあまり,さらに巨大なおっぱいを両腕で圧迫するかのようにして,握りしめて,母乳を出させた。


 ピュー!ピュー!ピュー!ピュー!ピュー!ピュー!ピュー!ピュー!


 母乳は,巨大なおっぱいを圧迫すればいくらでも出た。ダンは,うれしさのあまり,号泣したくなった。


 だが,その喜びは,ここまでだった。


 ゴーーー!ゴーーー!ゴーーー!ゴーーー!ゴーーー!ゴーーー!ゴーーー!


 火炎弾による連続攻撃が,ゴゲラート領主邸を襲った。


 襲ったのは,鷲1号から7号の魔獣小隊だ。彼らは,奇襲攻撃隊だ。その場に,長く滞在することはない。数弾発射したあとは,さっさと次の目的地に移動した。


 ゴゲラート領主邸が,急に火の海のなってしまった。メイドなど一般人は,魔法が使えないか,使えても初級魔法どまりだ。屋敷が火の海になってしまっては,どうすることもできない。


 フララやダンも,この異変に気がついた。幸い,フララの部屋は爆裂弾の攻撃にはさらされていなかったが,廊下には,火が走っており,逃げ道が塞がれている状況だ。


 フララのいる部屋は2階なので,窓から飛び降りると死ぬことはないかもしれないが,大怪我するのは明らかだ。それに,メイドたちの救出も必要だ。


 フララは,ダンにすぐに服を着るように命じて,自分もメイド服を一枚羽織った。そして,初級レベルの爆裂魔法で,隣の部屋と隔てている壁を破壊した。


 ダーーーン!


 隣に通じる穴が開いた。隣の部屋には,2名のメイドがいた。彼女らは,窓を開けていて,飛び降りるかどうか判断に迷っていた。その一人が,破壊された壁の向こう側にうるフララを見て叫んだ。


 メイド「フララさんなの?あなた,魔法が使えるの??」


 フララ「はい。このフロアの壁をすべて打ち抜いていきます。一緒に来てください」


 このフロアは,メイドたちの部屋が連なっていた。そこで,フララは,壁をぶち抜くことで,他のメイドたちを救うことにした。


 ダーーーーン!!


 また,次の壁をぶち抜いた。その部屋には,4名のメイドたちが,窓を開けて,助けを求めていた。


 フララ「みなさん!!慌てないでください。もう安全です。私の後について来てください」


 フララは,さらに,どんどんと部屋の壁をぶち抜いていった。そして,最後の部屋に来た。フララの背後には,ダンとメイド15人がいた。


 超急ぐのであれば,この場から全員を転移魔法で中庭に転移するしかない。だが,夜間で,地面の状況も不明のままでは,転移魔法はリスクがある。それに,16人も一緒に転移した経験がない。転移失敗は,即,死だ。安易に使える魔法ではない。


 フララの頭は,これまで考えたことのないほどに考えた。どのような方法で彼女らを安全に救出すべきか?


 他の衛兵隊たちは,領主,夫人らの救出を優先し,その後から,メイドたちの救出に来る。それを待っていては,丸焦げになる。すでに,ドアが焼け落ちてきた。


 だが,彼女らは,まったく煙を吸うこともなく,炎の熱さを感じることもなかった。フララが,彼女ら全体をおおきなドーム状のような霊力の層で覆っていたからだ。


 「え?床が燃えているのに,熱くないわ?」

 「煙がこの空間を避けていってるみたい!!」

 「なんで??これって,神様のお恵みですか?福栄教のお導きですか??」


 このガルベラ女王国では,福栄教がよく普及してした。


彼女らの驚きをよそに,フララはやっと救出案がまとまった。


 フララは,窓から幅50cmほどの手すり付き滑り台を霊力の層で構築した。


 フララ「見えないけど,ここに滑り台があります。手で触ればわかります。ひとりずつすぐにすべっていきなさい。先に,ダン!!見本を示しなさい。恐れてはいけまん!」


 ダンは,窓に構築された滑り台を手で触って,どのようになっているかを理解した。


 ダン「フララ!わかった。大丈夫だよ。行くよ!!」


 シューー!!


 ダンは,みごとにその滑り台をスムーズに滑って,地上に着いた。


 フララ「ダン!そこで,次に滑る人の補助をお願いします!!」


 ダン「了解!!」


 それからはスムーズだった。15名のメイドが次々に透明の滑り台を,恐怖を感じることもなく滑っていった。


 最後に滑ってきたのはフララだ。あいかわらず,30kgにもなる超超ウルトラ爆乳をゆらゆらさせながら,乳首部分から溢れ出た母乳に服をびしょびしょにさせて,すべってきた。


 この救出劇は,さきほど救出されたゴゲラート領主やタルベーラ夫人らが見守る中で行われた。


 ゴゲラート領主「私は,奇跡を見ているのか?あの透明の滑り台は何なんだ??神様が造ったのか?」


 タルベーラ夫人「はい!!福栄教の神様の思し召しです!!ああ,神様!!ありがとうございます。ありがとうございます」


 タルベーラ夫人は,跪いて天を仰いだ。


 だが,現実主義の護衛隊長は,間髪を入れず答えた。


 護衛隊長「これは,あのメイドのフララさんの仕業だと思います。これほどの技が使えるとは思いませんでした。魔法とは異なる特殊な技だと思います。かなり高度な技ですので,発動条件は厳しいのかもしれません」


 ゴゲラート領主「なるほど,,,ともかくも,ダンやメイドたち全員を助けてくれたのだ。それなりの礼をせねがなるまい。ところで,他の建物は無事か?」


 護衛隊長「はい。幸い,衛兵隊の宿泊寮は,火災から免れています。当面はそこで生活することができます。また,宝物庫は,防御結界で覆われていますので無傷です。当座の生活面で困ることはありません」


 ゴゲラート領主「そうか,,,」


 ゴゲラート領主は,そう言って,南西の方面を見た。その方角には,ナトルア市街地があった。月明かりのない,真っ暗闇のはずなのに,明るく光っていた。


 ゴゲラート領主は,その明かりを示して,護衛隊長に言った。


 ゴゲラート領主「あの明かりは何だ?」


 護衛隊長は,ナトルア市街地の方を見た。護衛隊長の顔はみるみるゆがんでいった。ナトルア市には,自分の妻と子供がいるのだ。彼は,すぐに電話で妻に連絡を取った。幸い,すぐに連絡がついた。


 妻「あなたなの???そっちは無事???こっちは,いたることろ,火の海なってしまったわ。幸い,私たちは,全員無事よ。今,老人たちを避難所に誘導しているの。落ち着いたらまた連絡するわ」


 妻は一方的にしゃべって電話を切った。もともと,ちゃきちゃきとした妻なので,心配はないと思ったが,その性格が,今,いかんなく発揮されていた。


 電話の声は,スピーカーから流れていたので,ゴゲラート領主もすぐにナトルア市街地の状況が理解できた。


 ゴゲラート領主「どこかからの奇襲攻撃だな?これは,,,」


 この事件があってから,フララは,急遽,ダンの身の周りの世話係として,再度,正式に採用された。タルベーラ夫人も,フララに何度も頭を下げてお礼を述べた。この救出劇に対する謝礼として,特別ボーナス金貨100枚が支給された。フララの透明な滑り台について,いろいろと質問されたが,緊急な場合にだけ発動する特殊能力と説明するに留めた。


 屋敷に住んでいた領主,奥様,メイドたちは,皆,衛兵隊の宿泊寮に移って生活することになった。幸い,部屋の数は豊富にあったので,さほど窮屈な感じにはならなかった。ただ,ナトルア市街地も火の海になってしまったので,すぐに,屋敷を再建するのは困難な状況になった。



 この火災の原因は,不明だったが,時期的な状況から判断して,北部領域の魔獣の仕業である可能性が高いと推定されたが,証拠がなく,憶測に留まった。


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