第7話ゴゲラート邸

雪生,マイラ,そしてナタハル領主の3名は,マイラの息子ケンのいるところに転移した。そこは,ナタハル領主邸から,北西方向に30kmほど離れた荒野だった。ケンは,この地区では最強といわれている大型寄生スパイダーを追っていた。


 幸いにも,ケンはブラック・ウルフの姿をしていた。もし,ヒト型だったら,転移に失敗して,もとの場所に戻っていたことになる。


 ケンは,狩りの途中で休息をとっていて,野ウサギを串焼きにして食べているところだった。


 ボァーー!!ボァーー!!ボァーー!!


 ケンの目の前に,裸体の雪生,マイラ,ナタハル領主の3名が出現した。


 ケン「え?雪生様?お母さん?何?これは??」


 雪生は,すぐにナタハル領主に霊力を注入して魔力封じを行った。この状況では,ナタハル領主は,雪生たちの敵だからだ。


 雪生は,自分の記憶をケンに渡した。ケンは,一瞬で状況を理解した。雪生とケンは,お互いの記憶を追体験することができる。つまり,お互いの能力が使えることを意味する。ただし,雪生独自の能力,悪霊大魔王として得た霊体自体に宿した能力は,ケンに伝えることはできない。


 雪生「領主様,あなたもここに転移するとは予想外でした。一応,敵という認識ですので,魔力を封じさせていただきました」


 ナタハル領主は,自分の体に魔力を流して見た。だが,まったく魔力の制御ができなかった。


 ナタハル領主「何?これは?これがお前の能力なのか?」

 雪生「そうよ。私の能力のひとつよ。これがあるから,接近戦では,私は無敵なの」


 ナタハル領主「なるほど,,,そういうことか,,,」

 雪生「せっかく,領主様がここにいるのですから,契約しないといけませんね」

 ナタハル領主「契約?宣誓契約のことか?」

 雪生「そうです。私と領主様とマイラ3名の契約です」


 雪生は,そう言って,雪生のアイデアをナタハル領主に伝えた。


 雪生「領主様は,マイラに対して,そして,マイラのお腹の子供に対して安全を保障すること。私,雪生に対して,敵対行動をしないこと。どう?この程度であれば,契約してもいいんじゃない?」


 ナタハル領主「なるほど,,,この程度であれば問題はない。宣誓契約してもよい。でも,圧倒的に有利な立場なのに,意外と要求が少ないのだな」


 雪生「領主様には,いろいろとアドバイスをいただきました。感謝しています。私の中では,領主様は,すでに私の仲間です」


 ナタハル領主,雪生,そしてマイラの3名は宣誓契約をした。その後,雪生はナタハル領主から霊力の封印を戻して魔力を使えるようにした。


 雪生「領主様,もう魔力が使えるようになりましたよ。あなたは,もう,私の仲間です。無理に私に協力しろとはいいませんが,マイラの子供,つまり,あなたの子供がいずれこの国王として君臨できるように,環境を整えてもらいたいと思います。でも,私には,あまり時間がありません。アドバイスをもらったように,策士を探してじっくりと地盤を固めていく,という時間もありません」


 ナタハル領主「というと?何は,策があるのか?」

 雪生「いいえ。ありません。ですが,領主様は,私の居場所を国王軍に伝えてください。彼らに私を襲わせます。返り討ちにして,国王軍を弱体化させます。わたしは,ただ,待てばいいだけです」


 雪生は,ガルベラ女王国の領土にあるゴゲラート領主の屋敷で,メイドとして働いていること,自分の素性は,ひとり息子のダンだけが知っていることをナタハル領主に伝えた。


 ナタハル領主「わかった。そんなことなら,まったく問題ない。だが,もう,敵はあなたの能力をかなり把握したはずだ。今度,あなたを襲う時は,必勝の態勢で臨むはずだ」


 雪生「そうでしょうね。でも,いい機会です。それで,私が負けるようであれば,それまでです。私は,もともと臆病な性格です。自分から襲うという発想はなかなかできません。でも,襲われるなら,それを撃退する行動は積極的に取れると思います。領主様,お話は以上です。マイラをよろしくお願いします」


 ナタハル領主「わかった。その情報は流そう。マイラのことは了解した。一生面倒を見ると約束しよう。子供が国王にするかどうかは約束できないが,その方策は模索しよう」


 ボァーー!!


 ナタハル領主は転移魔法を起動した。そして,マイラを連れて自分の屋敷に転移した。


 雪生は,亜空間収納から,1体のスペアの雪生の体を出した。最初に使用した体だ。おっぱいが24kgにもなる,おっぱいおばけの体だ。だが,亜空間からその体を取り出すと,さらにおっぱいが大きくなっていった。


 もともと,この体をダンに使わせて,魔力操作を扱ってもらう予定だった。だが,予想に反して,その体の胸に刻まれた呪詛は,ポスターやネット画像で射精された精子から奪った精力を吸収しようとしていた。だが,亜空間に阻まれて吸収できないでいた。それが,今,亜空間から出てきたことで,一気に大量の精力を吸収した。


 24kgにもなっていた超巨大なおっぱいは,どんどんと吸収していって,とうとう,片方だけで,30kg,両方で60kgもの,超異常なおっぱいに変化していった。乳首は直径15cm長さ15cmものウルトラ乳首に変化してしまった。もう,おっぱいと呼ぶことはできなかった。


 その変化を見た雪生は,閉口した。


 雪生「・・・,どうしよう??とんでもないおっぱいになったわね。でも,この体でないと,ケンは扱えないわね,,,」


 ケン「雪生様,もともと何をするつもりだったの?」


 雪生「ケンに霊力を扱えるようにしてもらうこと,そして,私の身代わりを務めてもらうことよ」


 ケン「???つまり,どいういうこと?」


 ケンは,まったくわけがわからなかった。


 雪生「今から1週間後に,私に会いに,ガルベラ女王国の領土にあるゴゲラート領主のところに来なさい。ケンは,1週間で,このスペアの体に宿した霊力を使えるようにしてちょうだい。精子や寿命エネルギーを吸収する能力は,その霊力の体自体の能力だから,ケンが修得しなくてもいいわ。とにかく,私が経験した霊力の使い方を,この1週間で追体験してちょうだい。それと,もし,この肉体が殺されたら,すぐにほかの体に移れるように,準備してちょうだい。理解しましたか?」


 ケンは,目の前の,超絶美人で60kgものおっぱいお化けの体を見て,逸物が勃起した。この体を自由にしていいということは,好きに犯してもいいということだ。


 ケン「雪生様,この体の中に入る前に,何度もこの体を犯してもいいのでしょう?」


 雪生「生身の肉体なら,精気を奪われて寿命エネルギーも吸収されてしまうけど,ケンは魔体だから大丈夫ね」


 ケン「へへへ,今ほど魔体に感謝したことありません。だけど,霊体格納魔法陣の形状が雪生専用になっているのでしょう?」


 雪生「それが大丈夫なのよ。その魔法陣の核には,私の霊体の抜け殻が収まっているの。その抜け殻は,ケンにもピッタリ合うはずよ。なんせ,私とケンの霊体は,接触したことがあるからね,,,うふふ」


 ケン「なんと,,,それは恐れ入った,,,」


 雪生「魔法因子を元に体を構築する場合,霊体の形状も一緒に記憶されてしまうから,他人の霊体が入ることはないわ。この霊体の体も基本的はそうなの。千雪様の霊体しか受け入れないの。でも,私は,悪霊大魔王出身の霊体は別なの。霊体の形状を自由に変形できる能力があるのよ。どんな形状の霊体格納魔法陣でも,合わせられるの。ふふふ」


 雪生「ケン,がんばってね。あなたが頼りよ」


 雪生は,そういって,標的魔法陣を起動して,ダンのいる場所に転移した。ダンの元を去ってから,1時間も経過していなかった。



 ー ダンの勉強部屋 ー


 ダンは,雪生が抱けるものと思って,ずーっと待っていた。30分経過したのに,いまだ,戻ってこなかった。


 ダンは,何度も独り言を言った。


 ダン「雪生,雪生,まだ来ないの?早く来てちょうだい。せつきーーーー!!」

 ダンは,自分の逸物を何度も勃起させた。写真を見ると,死んでしまうから,頭の中のイメージだけで,雪生を何度も抱いて時間を潰した。そうすることで,時間の経つのを忘れることができた。


 雪生が消えてから約1時間が経過した。ダンのすぐ前に標的魔法陣が出現した。


 ボァー!!


 ダンは,これが標的魔法陣だとは知らなかった。標的魔法陣を植え付けられていたことも知らなかった。


 雪生が,全裸の姿で現れた。雪生のおっぱいは,両方の乳房で4kgになるIカップのおっぱいだ。巨乳ではるが,両手で握りしめるには,握りごたえのあるおっぱいだ。乳首は,長さ2.5cm,直系2.5cmもの大きさだ。大きいとはいえ,常識を超えない範囲だ。魅力的なおっぱいだ。



 全裸の姿で現れた雪生を見たダンは,待ちに待った気持ちを抑えきれず,雪生に抱きつこうとした。


 だが,その行為は,ダンを死なせる行為だ。雪生は,とっさに,霊力の層を起動して,ダンの突進を防御した。


 ドン!


 キャー!!


 ダンは,防御層にぶつかって倒れた。その防御層があまりに硬かったため,ダンは,その場で意識を失ってしまった。


 雪生は,溜息をついた。


 雪生「まったく,童貞はこれだから困るわね,,,」


 雪生は,ダンをそのまま放置して,この部屋からでて,メイド服をとりにいった。メイド服を着たあと,またダンの部屋に戻った。その時,ダンは頭を左右に振り廻して,意識を取り戻そうとしていた。


 雪生「ダン様?意識は戻りましたか?素手で私に触ると死にますと何度言ったらわかるのですか?手袋をしてください。薄手の布製の手袋でしたら,感覚は伝わると思いますよ」


 ダン「雪生,ごめん。すっかり我を忘れていた。全裸の雪生を見たら,すべての記憶が飛んでしまった。雪生,そのメイド服を脱いでおくれ。その美しいおっぱいを見せてほしい」


 雪生「ダン様。私への褒美は何ですか?ただではお見せできませんし,抱かしてもあげれません」


 ダンは,宝物庫から盗んだ宝石を頂いた匕首を雪生に渡した。


 ダン「雪生,受け取りなさい。両親には内緒だ。雪生にはちょうどいい武器だと思う」


 雪生は,その匕首を見た。鞘付きの匕首だ。確かに業物だと思った。宝石のように見えたのは,宝石ではなく,魔法石だった。それも,かなり大きな魔法石で,膨大な魔力が込められていた。


 雪生「ダン様。確かにちょうだいしました。では,服を脱ぎます」


 雪生は,匕首を亜空間収納にしまった後,一枚のメイド服を脱いだ。それだけで雪生は全裸になった。両方の乳房で4kgになるIカップのおっぱいが露わになった。


 その全裸姿の,圧倒的な美貌と巨乳を見て,ダンの逸物は再び勃起した。ダンは少し慌てて月本国製のコンドームを装着させて,薄手の手袋をして,恐る恐る雪生に近づいた。このコンドームは,以前,ダンがこっそりと父親の寝室から盗んで来たものだ。父親がどうやってこのコンドームを入手したのかはわからない。


 雪生「ダン様。くれぐれも,直接,肌と肌が接触しないように気をつけてください」


 ダンは軽く頷いて,雪生のおっぱいを手袋をした手で触った。そして,乳首をクリクリとネジを回すようにつねっていった。


 ダン「雪生,逸物を挿入したい。どうすればいい?」


 雪生「では,四つん這いになります。後ろから入れてください。入れる場所は,私の指で指示します」


 雪生は四つん這いになって,右手で,膣の部分を示して,膣の穴の位置を明確にした。


 ダンは,逸物をその穴に合わせて,挿入していっていった。


 「うっ!!うっ!!うーーーー!!気持ちいいーー!!」


 ドバーーー!!


 ダンは我慢できなくて,すぐに射精してしまった。


 月本国のコンドームは貴重品だと風のうわさで聞いたことがある。父親ももう入手できないかもしれない。そこで,ダンは,コンドームを再利用することにした。


 コンドームを反転させて,精子をちり紙でふきとり,反転させた状態で,ふたたび勃起した逸物になんとかかぶせることができた。


 それを見た雪生は,ダンにやさしく言った。


 雪生「ダン様,私が霊力の層で,逸物を覆います。ですから,もうコンドームを使わなくていいですよ。それに,ダン様の全身を覆いますから,手袋もしなくていいです。ダン様の口でおっぱいや乳首を吸ってもいいですよ。でも,その代わり,追加の褒美がほしいです。匕首では,足りません」


 雪生は,そう言って,メイド服を着た。


 ダン「雪生,もう逸物が勃起しているんだ。先に抱かせてくれ。必ず褒美を持ってくるから」


 雪生は同意した。雪生は服を脱いで全裸になった後,ダンの全身に霊力の層を展開した。その層は,口の中まで覆った。ただ,呼吸はできるようした。


 雪生は,床の上に仰向けになった。


 雪生「ダン様,もう挿入する場所がわかったでしょう。おっぱいも吸っていいですよ。自由にしてください」


 その言葉に,ダンは狂気した。夢心地で,ダンは雪生の体の上に馬乗りになり,思いっきり,そのおっぱいを握った。そして,長さ2.5cm,直系2.5cmにもなる乳首をおもいっきり頬張った。そして,元気いっぱいになった逸物を雪生の膣の中に思い切り挿入した。


 2回目の性行為のピストン運動は,かなり長かった。ダンは,なんとか15分間持ちこたえてから果てた。精子は,ダンの皮膚と霊力の層の中間部分に流れた。


 雪生は,その行為によって,特に快感を感じることはなかった。というのも,快楽を遮断していた。まだ,戦闘の余震があったのかもしれない。


 あまりに気持ちよかったダンは,すぐに服を着て,雪生に言った。


 ダン「今から褒美を持ってくる。たくさん持ってくるから,何回もしような!!」


 ダンはそう言って,すぐに部屋から出ていった。


 雪生は,別に褒美などいらないのだが,ただで体を提供するのはいやだった。娼婦的発想があったのかもしれない。世界制服せよという命令はあるものの,この体でまともに男女の感情みたいなものを,一度感じてみるのもいいかと思った。男女の感情の相手がダンのような小僧でいいのか??雪生にとって,それは誰でもよかったのかもしれない。


 雪生は,そろそろ快楽を感じていいと思った。雪生は快楽の遮断を解き,快楽としての性行為を楽しむことにした。



 ーーー


 -ガルベラ女王の執務室-


 数日後,ガルベラ女王の執務室では,女王が2つの大きな問題に頭を抱えていた。ひとつは,雪生問題だ。雪生がゴゲラート領主の屋敷で,メイドとして働いており,ダンの専属メイドであるという情報が入ったのだ。


 もうひとつは,北部防衛戦線から緊急援軍の要請問題だ。これに答えないと,この国が北部領域の魔獣どもに占領されてしまう。



 ガルベラ女王は,緊急会議を開催した。参加者は,国王軍のバーミラン隊長,US級魔法士のウラバーレ,TU級魔法士のトレーランの3名だ。



 ウラバーレは,メランブラ女王国のナタハル領主邸で行われた雪生襲撃作戦について詳細に説明した。また,バーミラン隊長からは,北部戦線からの緊急援軍の要請の件を報告した。


 ガルベラ女王「前面のトラ,後面のオオカミという感じですね。まず,雪生問題から片付けましょう。雪生がゴゲラート領主の屋敷邸にいるという情報は,隣国のナタハル領主からの情報なのね?ということは,雪生自らがその情報を流したことになると理解していいの?」


 ウラバーレ「そう理解していいでしょう。罠の可能性が高いです。われわれの戦闘員を着実に削ぐのが狙いと思われます」


 ガルベラ女王「でも,雪生の肉体を急ぎ破壊するという必要性は,ネットの遮断などでほとんどなくなったのでしょう?」


 バーミラン隊長「はい,女王様。現在は,全国に戒厳令を敷いていて,かつ,男性には,携帯使用禁止とネット閲覧の強制禁止を施しています。かつ,政府専用のサーバー以外,運用を中止しています。これ以上,若者の死亡事故は増えることはないと思います」

 

 ガルベラ女王「でも,雪生が『どうぞ,襲ってください』と言ってきているのに,襲撃しないのもしゃくにさわるわね」


 国王軍のバーミラン隊長がありきたりの提案をした。


 バーミラン隊長「女王様,当初の女王様の提案通り,ビデオカメラを設置した魔獣に襲わせてはどうでしょう?我々の戦力低下には繋がらないと思いますが,,,」

 


 ガルベラ女王「われわれが飼い慣らした魔獣を雪生にぶつけるにしても,ゴゲラート領主邸の住人には被害が及ばない方法が必要になります。その対策は?」


 ウラバーレ「われわれが雪生を襲うのは,雪生がよく知っていることですから,場所を指定して,正々堂々と宣戦布告をすればいいと思います」


 トレーラン「どうせなら,雪生を北部領域に誘って,北部地域の魔物と戦わせてしまうのはどうでしょうか?一石二鳥だと思うのですが」


 ガルベラ女王は,ポンと手を打って,その提案に乗った。


 ガルベラ女王「トレーランの提案は,グッドアイデアね。そのアイデアでいきましょう。でも,どうやって,雪生を北部戦線に参戦させるかだわね。 各自,具体的案を3通りくらい考えてちょうだい。明日,各自の案を検証して,方針を決定するわよ」



ーーー

 かくして,翌日の会議で各自の案が披露された。


 だが,予想通り,その案の内容は,ガルベラ女王をがっかりさせるものだった。だが,そのことは,口には出さなかった。せめて,ここに,国王軍の軍師がいれば,ガルベラ女王が自ら行動しなくてもいいのだが,軍師は,今,北部防衛戦線で陣頭指揮を取っており,圧倒的な不利な状況で,なんとか持ちこたえている状況だ。北部防衛戦線では,娯楽がまったくなく娼婦もいない。そのため,雪生の画像が戦士間で拡がってしまい,なんと7割もの兵隊が死亡してしまった。そんな状況でも,ぎりぎり持ちこたえているのだ。援軍を求められても,送るべき援軍など皆無だ。


 ガルベラ女王「あなた方の提案は,それなりにメリットがありますが,欠点も多いと思います。残念ながら,すべて不採用とします。明日,ゴゲラート領主に会いに行きます。バーミラン隊長,ウラバーレ,トレーランの3名は,私と一緒についてきてください。以上です。散会」


 会議が終わり,女王の執務室から出たあと,副隊長はバーミラン隊長に,ボソッとつぶやいた。


 副隊長「最初っから,われわれのアイデアなんぞに期待していないのだがら,今の会議に何の意味があったのですかね?いつものように,ぱっぱっと,命令してくれればいいのに。使わなくていい頭を無駄に使ってしましました」


 隊長「まったくだ。だれも女王様の頭脳に勝てないって,よくわかっているのに!!女王様は,いったい,われわれに何を期待しているのか,,,私にもよくわからん」


 ウラバーレも,その会話に入ってきた。


 ウラバーレ「その意見に同感よ。われわれは戦闘員なのよ。無駄な会議をするくらいなら,戦闘訓練をするほうがよっぽどましよ!!」


 トレーランだけは,女王を擁護した。


 トレーラン「でもですよ。あの,,,きっと女王様は,私たちに,少しは戦略的な思考を身につけなさいって,思ってのことだと思います,,,はい,,,でも,,,私,バカだから,いいアイデアでなかったですけど,,,」

 

 ウラバーレ「女王様の考えはわかるのだけど,,,でも,女王様は,軍師様と同じく,小さいころから軍事戦略を専門に勉強された方でしょう?どちらが成績が一番かをお二人が争ったらしいわよ。そんな天才と私たち戦闘バカを同じ土俵で議論することに何の意味があるのよ!!」


 その言葉に,トレーランは反論できなかった。トレーランは,反論できるほど頭がよくなかった。


 トレーラン「うーー,ううーー,でも,,,頭を少しは使わないと,,,ほんとにバカになってしまうかも,,,」


 ウラバーレ「私たちバカは,考えてもダメなの!実践訓練で体で覚えていくものよ。ウラバーレ!今から,女王様を守るTU級レベルの結界構築の特訓するわよ!!」


 ウラバーレ「はい,お姉様!!」


 トレーランとウラバーレは姉妹だ。妹のほうが魔法の才はあったものの,常に姉の後ろについて行くという依存性の高い性格だ。さきほど,姉の意見に反対したのは,実は,とても勇気のある発言だったのだが,相変わらず,姉の容赦ない反論にズタズタに切り裂かれてしまった。



 ーーーー

 ー ゴゲラート領主邸 貴賓室 ー


 翌日,ガルベラ女王一行は,ゴゲラート領主邸の貴賓室にいた。打ち合わせに出席しているのは,女王の従兄弟であるゴゲラート領主だ。


 ゴゲラート領主「これはこれは,女王自らこんなところに来ていただいて,何事ですか?賄賂の調査にでも来られたのですか?」


 ガルベラ女王「今は,小金をちょろまかす賄賂のことなどに構っていられない状況です。あのコードネーム『チユキ』のことは知っていますね?」


 ゴゲラート領主「ああ,知っているが,それがどうしたのだ?」


 ガルベラ女王「その『チユキ』は,ゴゲラートさんの一人息子ダン君のメイド,雪生です」


 この暴露に,ゴゲラート領主はさほど動じなかった。


 ゴゲラート領主「やっぱりそうですか。似ているとは思っていたのですが。その後,ネットで『チユキ』の画像がすべて削除されてしまったので,もう確認がとれませんでした。それに,本人に聞いて,逆上されても困ります。もっとも,雪生は,われわれには危害を加えないという宣誓契約をしていますので,われわれの安全は保障されています」


 ガルベラ女王「なるほど,,,宣誓契約しているのですか,,,ちょっと,びっくりですね。世界征服を考えているような人がする行動ではありませんね,,,」


 ゴゲラート領主「世界征服??なんのことだ?」


 ガルベラ女王「雪生は,魔界で大騒ぎを引き起こした千雪のことは,よくご存じだと思います。雪生は,『この世界を征服せよ』と,その千雪に命じられて,この世界に来たのです」


 ゴゲラート領主「なんと,,,それはほんとうか??まったくそうは思えん。雪生は,毎日ダンをかいがいしく世話をしているだけだぞ」


 ガルベラ女王は,溜息をついた。


 ガルベラ女王「ほんとうに,そうしているだけなら,どれだけこの国は平和だったのでしょう。この国の人口は,およそ300万人程度です。でも,すでにその1割の30万人が命を落としてしまいました。すべて男です。それも,若い男性が中心です。被害は,隣のメランブラ女王国にも飛び火してしまいました。幸い,ネットや携帯,サーバーの使用禁止の措置が早くて,被害は,1万人程度ですんでいるようです。まったくもって,雪生は,,,その美貌と裸体が,とんでもない殺人兵器になったのです」


 ガルベラ女王は,この話をきっかけに,これまで雪生が行ってきた虐殺行動を詳細に説明していった。その説明の時間は2時間にも及んだ。


 ゴゲラート領主「・・・・,雪生の美貌と裸体が30万人も殺してきたのか,,,知らなかった,,,」


 ガルベラ女王「もっとも,宣誓契約があるから,あなた方は,雪生の脅威からは外されていることになります。いわば,特権階級と言えるかもしれません。でも,問題は,そんなところにはありません。雪生に征服される前に,北部領域の魔獣どもに,この国が侵略されるかどうかという瀬戸際なのです。すいませんが,詳細は,雪生に,いや,今は,雪生様と呼ぶ方がいいのかもしれません。雪生様に,私から説明させていただきたいのです。雪生様をここに呼んで来てもらっていいですか?」


 ゴゲラート領主「わかった。雪生をすぐに連れてこよう」


 20分後,ゴゲラート領主は,雪生を連れてきた。雪生は,胸元がぽっかりと開いたワンピースを着てた。下着はつけていない。ちょっとした動作で,両方の乳房で4kgになるIカップのおっぱいの全貌が顕れてしまい,長さ2.5cm,直系2.5cmもの大きな乳首が見え隠れした。


 最初に,そのお椀状の巨乳の全貌がはっきりと見えたのは,雪生が女王たちにお辞儀をしたときだ。特に,男性であるバーミラン隊長の下半身は,すぐに反応してしまった。だが,その反応が死に繋がると思い直して,かろうじて,勃起状態を半勃起状態にまで抑えることができた。


 女王たちも,雪生に対して最上レベルのお辞儀で返した。


 雪生が着席した。


 雪生は,絶世の美女だ。おまけに,大きすぎない巨乳なので,まさに男性どもにとっては,最高レベルの性的要求の対象だった。それは,女性のガルベラ女王でさえも,雪生を一目みて充分すぎるほどに理解することができた。


 初めて雪生を見るガルベラ女王であったが,男どもが雪生の写真に没頭するのがよくわかった。もし,ネットを遮断しなければ,遅かれ早かれ,この世界の男どもは,全滅していたに違いないと悟った。


 ガルベラ女王たちと雪生が,お互い簡単に自己紹介が終わったあと,ガルベラ女王が話を切り出した。


 ガルベラ女王「私がここに来た理由は,だいだい予測はついていると思います。ですが,あなたが世話しているダンさんは,よく無事でいられますね。すでに,世の男性はあなたの呪詛魔法陣のせいで,30万人も死亡したというのに,,,」


 雪生「その件については,私も意外でした。体に刻まれた呪詛魔法陣は,私をもてあそぶ男どもへ報復するためのものです。ネットやポスターの画像で,男性が死ぬのとは思ってもみませんでした」


 ガルベラ女王「あなたにとっては,そうでしょうね。私も,ポスターを作ることで,こんな大災害を導くとは予想もしていませんでした。ですが,後で判明したのですが,指名手配に使用したポスターには,はっきりと呪詛魔法陣が写っていました。さらに,その呪詛魔法陣を起動させるに足るだけの魔力がポスターに含まれていたのです。インクを調合する時,紙の材料である木材チップを切断するとき,水との混合作業の時,その他,あらゆる混合過程において,魔法が使われていたのです。その魔力がポスターに残っていました。本来なら1,2週間でその魔力は消失してしまうのですが,消失する前にポスターは貼り出されてしまいました。そして,100万枚もの有効な呪詛魔法陣が全国に配られてしまったのです。ネットによる画像も問題でした。電波自体に魔力が使われており,携帯の画像でさえも画面に触れば,呪詛魔法陣が発動してしまうことも判明しました。これが,魔法を使っていない国でしたら,もったく問題なかったのですが,,,」


 雪生「なんともまぁ,,,,,,それで,30万人もの男性が死亡したのですか,,,ごめんなさい。この呪詛魔法陣がそんな災いを招いていたとは思ってもみませんでした。私は,解除する方法を知りません。どうすれば,解除できるのですか?」


 ガルベラ女王「男性へのネットの閲覧禁止,サーバーの停止などで対策を打ちました。雪生様には,そのことでお願いすることはありません。でも,実は,もっと別の重要な件で協力してほしいのです」


 雪生「・・・・,お話を伺います」


 ガルベラ女王「実は,私どもの国軍の兵隊が,半数以上,ポスターとネット画像によって,死亡してしまいました。その結果,北部領域から侵攻してくる魔獣どもを防御することもままないない状況です。それで,雪生様のその圧倒的なパワーで,魔獣どもを撃退してほしいのです。もちろん,ただとはもうしません。それなりの謝礼を準備しております。もし,希望であれば,女王職を雪生様に譲ることも考えております」


 ミレーニア「女王様!!いくらなんでもそれはないのでは!!」

 トレーラン「わ,,わたしも,,,そう,,おもいます,,,」

 バーミラン隊長「女王様,いくら女王でも,軽々しくそのようなことは,おっしゃってはまずいのではないでしょうか?」


 ガルベラ女王「今の状況では,魔獣どもに北部戦線が突破されるのも時間の問題です。突破されたら,もうこの国は終わりです。この国が壊滅するのです。女王職を譲ることで,この国が救われるのでしたら,安いものです」


 雪生「・・・・,女王職ですか,,,あまり,魅力がない申し出です」


 ガルベラ女王「え?だって,あなたは,この国を征服しに来たのではないですか?」


 雪生「そうです。そう命じられました。でも,女王になることではないと思っています。それに,私のこの体は半年も持ちません。私は,この国を征服しにきたのですが,その任務を完結することまでは含まれていません。この体が消滅する前に,月本国に帰ることになります。私が攻撃されるのであれば,全力で抵抗しますが,私が積極的に攻撃するようなことはしたくありません」


 ガルベラ女王「・・・・,今,雪生様が一番,守りたいものは何ですか?」


 雪生「守りたいもの,,はあります。ダン様,,,ケン,,,マイラ,,,ほかに,娼婦の仲間たちくらいでしょうか,,,」


 ガルベラ女王「雪生様,その守りたい方々も,北部戦線の防衛ラインが突破されたら,この国は,国の住民は,みな蹂躙されてしまうのですよ。雪生様には,魔獣に対抗できるだけの力があると思っています。その力を,北部領域の魔獣討伐に貸していただけませんか?討伐が成功すれば,雪生様の望むものは,なんでも提供しましょう。その体が,半年しかもたいのであれば,魔体を準備することもできます。しかも,子宮は,実際の肉体を用います。子供だって産めます」


 この言葉に,雪生は始めて積極的に反応した。


 雪生「え?子供を生める?それって,ほんとうですか?」

 

 ガルベラ女王「そうよ。わが国の医療水準は,月本国よりも上をいっています。月本国での子宮の組織培養技術を取り入れて,それを,魔体に取り込むことに成功したのよ。卵子には,雪生様の魔力因子を入れることができるわ」


 その話を聞いて,雪生は涙を流した。


 雪生「・・・,この体は,千雪様の体です。千雪様の魔法因子はあるかもしれませんが,私の魔法因子はありません。もし,可能なら,魔界で,私の魔法因子を探してほしいのですが,,,私のほんとうの名前はフララです。15歳でリスベル様に殺されました。それまでは,両親と一緒に,南西領の小さな村,ダネルア村に住んでいました。そこにいけば,私の毛髪くらいは残っているかもしれません。もし,ほんとうに,私が自分の魔法因子で子供が生めるのなら,女王様の依頼に応えましょう。全力で答えてあげましょう」


 ガルベラ女王「魔界には,すでに私たちの調査員がいます。そのものに,至急にあなたの,フララさんの魔法因子を探してもらうように依頼しましょう。1,2週間もあれば,見つかると思います」


 雪生「ほんとうなんですね?ほんとうに,自分の子供を産めるのですね?」


 ガルベラ女王「それを可能にしたのです。もし,私の国が魔獣によって破壊されてしまうと,その医療技術さえも,失われてしまうのです」


 雪生「わかりました。すいません。ちょっと,気持ちを落ち着けたいので,30分ほど,休憩いただきたのですが,,,」


 ガルベラ女王「どうぞ,かまいません」


 雪生「ありがとうございます」


 雪生は,この場から去った。



 雪生が去ったあと,ウラバーレが口を開いた。


 ウラバーレ「雪生様は,ちょっと泣いていましたね。よっぽど嬉しかったのでしょうね」

 トレーラン「わたしも,,,そう思います。一度,死んで,,,でも,また子供を産めるのです,,,最高に嬉しいと思います,,,でも,誰の子を産むのでしょう???」


 ガルベラ女王「そんな心配はしなくていいのよ。でも,どうして,雪生様は,千雪の魔法因子の体に収納されているのかしら?おかしいと思わない?」


 バーミラン隊長「言われてみればそうですね。ぜんぜん気がつきませんでした」

 

 ゴゲラート領主「曲がりなりにも,雪生は,魔界で大暴れした千雪が任命した戦士です。かなりの異能力者とみていいでしょう」


 ガルベラ女王「そうね。そう考えるのが自然かもね」


 30分後。


 『雪生』が姿を現わした。その体は,まったく,30分前となんら変わっていなかった。だが,もし,オーラを見ることがいれば,それは,30分前の雪生と違ったオーラをしているのがわかるはずだ。


 そうなのだ。その雪生の姿をしたこの体,つまり『2体目』の雪生の体は,今,ケンの霊体が入っている。ケンが訓練用に使った60kgもの爆乳の体,つまり『1体目』の雪生の体は,今,雪生の霊体が使用している。もっとも,この1週間で,ケンは,毎日,膨大な霊力を放出して訓練に励んだため,60kgもあったおっぱいは,40kgにまで減少していた。乳首も直径7cm長さ7cmにまで縮小してしまった。


 雪生は,ケンに,『雪生として』北部領域の魔物退治を引き受けるように依頼した。雪生は,まだ,他の仲間の娼婦のサポートをする必要があった。どのみち,千雪からの『征服』せよという意味は,今回のような『女王からの譲歩・和解』ではないことは,雪生にはすぐに理解できた。千雪が望んでいるのは,王都を火の海にすることであり,酒池肉林をすることだ。でも,具体的にどうこうせよと,言われていない。


 北部領域の魔物退治をすることは,『征服』のための必要なステップであることも理解できた。そこで,北部領域の魔物退治をケンに任すことにした。


 雪生は化粧をして30歳前後に姿を変えて,残り9名の仲間の娼婦の屋敷に順番に訪問することにした。当初の方針通り,ぞれぞれの屋敷の主人を籠絡させるためだ。それは,当初の基本方針にマッチしている。そして,彼らの勢力を借りて,この国を,この新魔大陸を『征服』させるのだ。失敗しても,このストーリーなら,後日,千雪に説明しても納得してもらえると思った。おまけに,子供を産める魔体を入手できるならば,これに勝る喜びはない。


 ケンは,雪生の体で,5倍速,体の硬度をダイヤモンドよりもやや劣るが,それに近いレベルの硬度にすることができた。精力・寿命エネルギー吸収能力は,半径5メートルまでならなんとか扱うことができた。本来なら,雪生と同じ経験を追体験できたので,雪生と同じような能力を持つはずだが,霊体格納魔法陣への連結が,雪生の霊体の抜け殻を経由して操作しているので,どうしても,雪生が扱う操作よりもワンテンポ劣る結果になった。


 そのため,ケンは,防御性能を極限までレベルアップすることに訓練を集中した。この雪生の体をなんとか傷つけないようにしたい。もっとも,霊力の消費によって,修復が可能なのは知っていたのだが。


 雪生の姿をしたケンは,女王に言った。


 ケン「女王様。気持ちの整理がつきました。その北部領域の魔獣討伐に協力しましょう。ですが,私ひとりの力では,どうしようもありません。私の能力を最大限生かせるように,団体行動をうまく指揮していただきたいと思います」


 ガルベラ女王「・・・・」

 バーミラン隊長「・・・・」

 ウラバーレ「・・・・」

 トレーラン「・・・・・」

 ゴゲラート領主「・・・・」


 彼らは,みな,ぽかんとした。ケンの凜とした話かたに,びっくりしたのだ。いままでは,どちらかというと,守勢的で,非活動的なイメージだったのが,今の雪生の姿をしたケンは,積極的で,活動的なイメージだ。


 「コホン,コホン」


 ガルベラ女王は,咳をしてから話始めた。


 ガルベラ女王「もちろんです。ところで,雪生様の最大の得意技はなんでしょうか?」


 ケン「私の半径5メートル範囲に,敵を5秒間留めてくれれば,相手の魔力を封印することができます。まだ,正確には試していませんが,SS級程度の魔法士レベルまでなら,なんとか抑えることができます。それ以上の化け物になると,まだ試したことがありません」


 ガルベラ女王「なるほど,,,そんな能力があるのですか,,,では,魔獣の魔力を抑えている間に,剣士が魔獣を討伐していけばいいのですね?」

 

 ケン「はい。うまく連携できれば,かなり有効な討伐方法になります」


 ガルベラ女王「雪生様。大変失礼ですが,あなたは2重人格者ですか?」


 ケンは,いずれはバレると思った。そこで,適当に話を合わすことにした。


 ケン「・・・,やはり,ばれましたか,,,,そうです。戦闘時には,この性格になってしまいます。霊力の扱いは少し劣ってしまいますが,魔力操作は,SS級レベルになります。どちらかというと,魔力操作のほうが得意です。それに,性格がかなり男っぽくなるという欠点もあります。ご了承ください」


 ガルベラ女王「わかりました。元の性格に戻ることはできるのですか?」


 ケン「もちろん,できます。ですが,この魔獣退治が終わるまでは,戻らないと言っていました」


 ガルベラ女王「そうですか,,,では,雪生様を支配する2名の性格保持者を区別するのは,どうすればいいのですか?」


 ケン「・・・,そうですね,,,では,生前の名前を使っていただけますか?今の私は,ケンです。ケンとお呼びください。そして,もうひとりの方は,そのまま雪生とお呼びください」


 ガルベラ女王「わかりました。では,今から,あなたをケン様とお呼びしましょう。ケン様,ひとつ,確認なのですが,どうして,千雪様の霊体の体に,ケン様や雪生様の霊体が宿すことが可能になるのですか?」


 ケン「当然の疑問だと思います。ですが,これは,雪生の特殊能力としかお答えすることができません。ほかの誰にも真似することはできないでしょう」


 ガルベラ女王「なるほど,,,やはり,異能力者でしたか,,,納得しました。では,今かでも,私どもの北部戦線の作戦室に転送していただいてよろしいですか?」


 ケン「結構です。ですが,私の仕事であるダン様のお世話をすることはもうできなくなります。ゴゲラート領主様。この場で,メイドとしての仕事を中断してしまうこと,ご了解いただけますか?」


 ケンは,できるだけ,『女言葉』を使うようにした。女性としての外観と言葉のイメージを一致させるためだ。


 ゴゲラート領主「雪生,了解した。いまから,メイドとしての仕事の任を解く。北部領域の魔獣討伐をよろしく頼む」


 ケン「ゴゲラート領主様,短い間でしたがお世話になりました。ダン様によろしくお伝えください」


 ゴゲラート領主「了解した」


 ガルベラ女王一行は,ケンを連れてこの屋敷にある出発ゲートに移動した。そこから,北部戦線の到着ゲートに転移していった。


 彼らを見送ったゴゲラート領主は,かなり寂しかった。雪生のあの美貌と見え隠れする巨乳を見るのが楽しみだった。雪生があの『チユキ』であることを疑ってから,触ると,死ぬ可能性のあるので,手をださなかったが,それさえなければ,絶対に手をだしていた。ダンは,雪生にメロメロにされてしまったので,雪生がもういない,という事実をどう説明するか,ちょっと悩んだ。代わりのメイドを雇うか??


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