第3話

 僕にソロは無理だ。歌が壊滅的だ。

 そこで僕は、ヴォーカルのオーディションして探すことにした。

 ソイツとユニットを組んでいたおかげか、僕は音楽業界で知名度があるらしく、ヴォーカルオーディションにたくさんのヴォーカル希望者が現れた。でも、そのほとんどは素人で、ミーハーな連中だった。

 でもその中で光るヤツが1人だけ居た。

 ヤツは、歌唱力はそこそこな感じだったが、僕の演奏にメロディーラインを乗せて歌うのが上手かった。

 ヤツをヴォーカルにすることにした。だけど、ヤツだけでは、足りない。ソイツと比べてしまうと天と地ほどの差があった。

 だから、演奏者を僕以外に増やすことにした。

 こちらもオーディションをやった。

 こちらはミーハーではなく、しっかりと実力を兼ね備えた人たちが多かった。

 その中で、僕のキーボードに会う演奏者を探すのは、混迷を極めた。

 この中から5人まで絞り、僕とセッションすることにしてみた。

 1人だけ居た。ぼくのメロディーに合うヤツが。

 ギター演奏者だった。

「キミに決めた」

 そうして、僕のスリーピースバンドかが始まった。

 ソイツとではない、新たな科学反応を目指して。


 2人との相性は良かった。だけど、ソイツと違い、痺れるような感じはなかった。それでも、デビューシングルはそこそこ売り上げた。


 半年後、セカンドシングルを挟んでファーストフルアルバムを出す。

 売り上げは及第点以上だった。

 その後、矢継ぎ早に7枚のシングルを出し、良いかんじの売り上げを上げる。しかし、満を持して発売したセカンドフルアルバムが、大爆死する。


 それから1年後、シングルではなく、フルアルバムでの3部作を制作する。

 その3部作は、1シーズンごとに別けて発表した。

 が、これも大爆死になった。

 僕は曲を作るのが、苦になる。楽しくない。ソイツとやっていた頃は楽しかったはずなのに。

 でもそれを僕自身の手で壊した。壊れる前に。

 また、ソイツとやりたいと考えるようになっていた。

 そこで、僕はどうしたら分からず、そのことを2人に相談して見るのだった。

 そうしたら、2人は「好きにしたらいい。俺たちは充分楽しんだ。途中から売り上げは散々だったけどな」と言って、僕を送り出してくれた。

 こうして、スリーピースバンドは終わった。

 

 それから僕はソイツになぜ、活動休止したのか、きちんと話そうと思った。

 5年ぶりの電話。

 怖かったが腹を決め、携帯電話のコールボタンを押すのだった。 


終わり リンクⅢに続く

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