7・台湾探検

久留利は成都市に女がいて、女の知り合いのギャング組織、龍谷団が手配してくれて、中国で暮らせることになった。

「ハル、お前もここで暮らさないか」


「いえ。ギャング団には入りたくないですから」


と、ハルは久留利と別れて、ひとり港にやってくる。

すると中国警察がやってきて、身分証を見せろと言ってくる。


「許可された滞在期間は明日までだ。明日中に出国するように」


そんなことを念押しされて、ハルはいよいよ船を探して、中国を出なければならない。

さてどうしよう、と困っているところに、船で一緒だった警備兵のひとり、ネッドがやってきて、

「台湾に潜って、お宝探しをしないか?出てきたら2割貰えるぞ。さらに言えば中国政府の船だから、永住も可能かも知れない」

と誘われ、その船に乗る。


台湾が沈んでいるあたりの海上から、ハルたちはダイブして、探検を開始する。チームリーダーは中国人のローワン。ローワンは台北のある施設の中に皆を導いていく。

その施設は台湾人が秘密裏に行っていた実験場で、大陸が海に沈むのを見越して、海水人への肉体改造をする機関であった。中国の目的は生死問わず海水人を見つけて、研究材料に持ち帰ること、であった。

ネッドはハルを餌にして、海水人を誘きだそうと企んだのだった。


ハルは独りでとある部屋に入り、そこにいた海水人に驚く。攻撃的ではなかったが、ハルとは闘いになり、数の多さからハルは逃げ出す。そして計画通りの場所までやってくる。

そこで追い詰められたような顔をしたハルがよくよく海水人を観察すると、自分に危害を加える気はないらしい。

海水人はヘルメットを脱ぐと、人間とかわりなかった。そしてハルにヘルメットを被るよう言う。するとテレパシーのように口を使わずに会話できるようになる。


「我々はドクターから隠れるよう言われていたからそうしているだけだ。何の用だ?」


「君たちが何者かは知らないが、宝物を探しに来た。君たちのものなら謝る。といってもそれがどんなものかも知らないんだけど」


「宝などない。陸地に残された人間からしたら、我々海水人が宝なのかも」


と、そこにローワンたちが。

「こいつら、思っていたほど凶暴じゃないんだな」


と、海水人たちを取り囲む。

騙されたことに気づいたハルは困惑するが、海水人のひとりが、

「こっちだ。一緒に逃げよう」

とハルに呼び掛け、ハルは付いていく。


しかしハルは背中からモリを射たれ、瀕死の重症を負ってしまう。


・・・。


ハルが目を覚ますと、そこは海水人たちの秘密の研究所だ。


「こうするしか君を助ける方法がなかった」と海水人。

ハルは改造を施され、半海水人になっていた。


「泳ぐ体勢になると足と手の指が延び、水かきができるから我々と同じように早く走れる。それに小さなエラを付けたから、今までの10倍は潜水していられるよ。これで我々の半分程度の能力を手に入れられたことになる」


「ありがとう。ところで人間たちは?」


「我々の仲間が何人か連れ去られたが、とうやら去っていった」


「連れ去られた仲間は人間の研究材料になる。助けないと」


海水人たちは武器を取りだし、

「仲間を救うために反撃する。一緒にきて欲しい」とハルに言う。


海水人の泳ぐスピードはハルの3倍ほどだ。ハルは海水人のひとりに手をかりて付いていくと、海上にボートを発見。


「我々は海中なら奴らに負けないが、上は苦手なんだ。キミ、奴らを放り捨ててくれないか?」


ハルはボートに乗り込み、中国人を海中に放り投げる。ネッドもローワンも海に落ち、海水人に殺される。


無事誘拐された仲間を助け出した海水人たちは、ハルをいったん海中の施設に連れていき、

それからハルを、ある筏の集落に連れていく。


「ここは人間同士で殺しあって、無人になった筏島だ。日本に帰りたくなったらいつでも泳いで帰れる、好きにしたらいい。もちろんいつでも我々のところに遊びに来てくれてもいい」


「人間はまたやってくるよ。気をつけて」


「わかった。もっと深いところに引っ越すことにする」

そう言うと海水人たちは海底に帰っていった。


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