魔法工学少女と戦略家少女ゲットですわ!

 わたしは今日も休み時間に校内散策をしている。

 実験棟があると聞いてやってきた。


 ドォォォォン!


 急にある実験室から大きな爆発音がした!


 どうやら、実験に失敗して爆発させてしまったらしい。

 実験に失敗はつきものですからね。

 「失敗は成功の母」だったかしら?



「だ、大丈夫かしら? もの凄く大きな音がしたのだけど」


 黒髪ロングの眼鏡っ子、ダリアかな?

 呟きながら実験室に入っていくのが見えた。


 わたしもかけつけて、部屋の様子をうかがった。


 中ではカーナの髪形がブロッコリーみたいになって顔もススだらけになっていた。


「カーナ、またやらかしたのね。また先生に怒られてしまいますわ」


 カーナを心配しているのは、やはりダリアだった。二人はお友達なのね。


「あはは、またやってしまいました。てへ」


 ……ぷふっ。こちらの世界でもそのネタをやる子がいるのですね。


 声が漏れてしまったのか、二人に気づかれてしまった。


「失礼いたしました。通りかかったら凄い音がしましたもので。わたくし、メリア・アルストールと申します」


「これは、アルストール様、申し訳ございません。大変お騒がせいたしました。わたくし、ダリア・エルシュミットと申します。こちらのお見苦しい姿の子は、カーナ・ファルフォーゼンといいます」


「いいえ、大丈夫ですわ。ところで、どんな実験をしていましたの?」


「アルストール様、失礼いたしました。わたくしは、魔法工学の勉強をしております。新しい魔道具を完成させたのですが、失敗して爆発させてしまいました」


 ……魔法工学、魔道具……面白そうですわね。


「魔法工学、素敵ですわ。わたくしの屋敷には魔法工学の資料がたくさんございますわ。カーナ様、ダリア様、わたくしの屋敷にご招待いたしますわ」


 カーナは目を輝かせているが、ダリアは少し引いた顔をしていた。


「アルストール様、わたくしは魔法工学には興味がなく、指揮官系や戦略家を目指しておりますので……」


 ……指揮官、戦略家? 素晴らしい響きですわ!


 わたしは無意識にダリアの両手を掴む。


「指揮官、戦略家。素敵ではございませんか。兵法などお役に立ちそうな資料もございますよ」


 ダリアの眼鏡が少し曇った。脈ありかな?

 カーナはもの凄く行きたそうな顔をしている。


「アルストール様のご好意に感謝いたします。カーナ一人だと失礼があるかもしれませんので、わたくしもお伺いさせていただきます」


「では、次のお休みの日でも大丈夫かしら?」


「はい、伺わせていただきます」


「あと、『カーナ』、『ダリア』と呼んでも大丈夫かしら? わたくしも『メリア』と呼んでいただきたいわ」


「メリア様、でよろしいでしょうか? わたくしたちは構いません。」


「はい、ありがとうございます」


 ……また新しい人材……いや、お友達ができましたわ!


 カランカランと予鈴が鳴ったので、この場は解散となり教室へ戻っていった。


◇次の休日 


 次のお休みの日、カーナとダリアがわたしの屋敷に訪れる予定になっている。


 すでに、ノエルとミリーナとアリスが来ていてお着替えも終わっている。


 トントンとノックの音が聞こえた。


「どうぞ」

「失礼いたします。カーナ様とダリア様をお連れいたしました」


 使用人がカーナとダリアをわたしの部屋に連れてきた。


 カーナとダリアはわたしたちの姿を見て固まってしまった。


「メリア様、そのお姿はどのような……」


 ダリアは状況を理解できなくて混乱しているようだ。


「ミリーナ、かわいいドレスね。妖精さんみたい」

「ありがとう、カーナ」


 カーナは順応が早かった。


「これから、セシルをお迎えするの。お二人にも着替えていただきますわ」


 カーナとダリアは使用人たちに連れられ、お着替えが始まった。


 カーナは薄紫を基調としたドレスで、ダリアは黒を基調としたドレスに着替えさせられた。


 カーナは喜んでいたが、ダリアは慎重派なのか緊張しているようだ。


「ご紹介いたしますわ。新しくお友達になられた、カーナとダリアですわ」


 ノエルとアリスは初めて挨拶をする。

 ミリーナはAクラスの時によく話をする仲のようだ。


 一通り挨拶が終わる頃、使用人からセシルがもうすぐ到着すると連絡がきた。


「では、まいりますわよ」


 カーナとダリアは何が起こるのか理解できないままついてきて、みんなで玄関口で待機する。


 王宮の豪華な馬車が玄関口で止まる。

 

 フィーリア騎士団長にエスコートされ、セシルが降りてくる。


 ダリアは開いた口が塞がらなくなり両手で口元を隠している。


「みなさま、ごきげんよう」


 優雅にセシルがみんなに挨拶をする。


「ごきげんよう、セシル」


 セシルのエスコートをわたしが引き継ぎ、部屋までお連れした。


「セシル、新しいお友達を紹介いたしますわ」


「王女様、カーナ・ファルフォーゼンと申します。よろしくお願い申し上げます」


「王女様、わたくし、ダリア・エルシュミットと申します。以後お見知りおきを」


 さすがに、カーナもダリアも固まっている。


「カーナ、ダリア、そんなに固くならなくてもよろしいですわ。あと、わたくしを『セシル』って呼んでちょうだい」


『わかりました、セシル様』


 なぜか、二人の声がハモる。


 みんなでお茶会を楽しんでいたら、カーナとダリアの緊張もだいぶ和らいだみたいだ。


 お茶会の後、二人に屋敷の図書室を見せたら目を輝かせて喜んだ。

 その後も、お勉強や剣と魔法のお稽古をみてあげた。

  

 こうして、新たにカーナとダリアを取り込み……お友達になり、勉学、お稽古に励むのであった……。

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