第2話 サブリミナル試験作戦
まず一人目のターゲットは北島だ。
この北島という男、バスケ部でもエースを張るほどのスポーツ万能、顔もイケメン、コミュ力もありクラスの中心人物という完璧人間なのだが、ついでのように勉強もできるといういけ好かない奴だ。元学年順位は8位だった、俺は4位。
運動部特有の大人数での勉強会とかいう、実際は勉強なんかせずに時間だけが過ぎていくイベントを毎日のように開催していたが北島本人の成績は良いため地頭がいいのかもしれないが、よくわからん。
そう、とにかく未知数なのだ。
今回の試験戦争のダークホース。
俺はそんな未知の危険も軽視せずに刈り取る、さながら受験界の庭師のように・・・かっけえな受験界の庭師って、二つ名にしよう。
北島攻略の作戦はとてもシンプル。ありていに言ってしまえば嘘の試験範囲を教えるというものだ。
これは悪魔の必殺奥義、誰であろうと地獄へ送る最悪の作戦だ・・・フヘッ
・・・・・・だが、この作戦には一つの大きな危険がある。
それは・・・噓がばれたとき、北島達に何をされるかがわからないという点だ。
陽キャたちに恨まれて過ごす青春とか・・・怖すぎる。
まあ、そんなことこのほぼ天才の秋山様にかかれば楽勝、解決済みよ。
作戦はこうだ、北島達との会話の中で気づかれないように嘘の試験範囲を深層心理に刷り込む、名付けて「サブリミナル試験作戦」だッ!
現代文の授業で扱ったのは宮沢賢治の
「銀河鉄道の夜」「風の又三郎」「ガドルフの百合」
の三作品だがこのうち二つが試験に出る。
話の長さ的に「銀河鉄道の夜」は確定だろう。問題は残る二つのうちどちらが出るかだが、俺はもう答えを得ている。
この三か月の調査で分かったことだ、現国教師の桜リナはロマンチストなんか知らないが文章題で一題はかならず恋愛関連の話を出す。
そうつまり!出るのは「ガドルフの百合」なのだ。
その逆の「風の又三郎」を北島の深層心理に刷り込み、地獄に落とす。
――――さあ、作戦開始だ。
【サブリミナル試験作戦開始!自然な会話で北島を騙そう!】
『よう北島!ちょっといいか?』
「――ん?秋山じゃん、どした?何か用か?」
『いやっ、用って程でもないんだけど、現国の範囲忘れちゃってさ、「銀河鉄道の夜」と「ガドルフの百合」と・・・あとなんだっけ?』
「えっと・・・そうそう「風の又三郎」!俺も忘れてたわw でも委員長のお前が忘れるなんて珍しいな。秋山は今回の試験大丈夫か?」
『あー!そうそう!「風の又三郎」!!! イヤー助かった!これがもし試験に出たら人生終わるトコダッタ―!! で、試験?まあぼちぼちかな』
「おけおけw まあお互い頑張ろうぜ!じゃあ俺らそろそろ部活いってくる・・・」
ドッドド!ドドード!ドドードドー‼ドッドド!ドドード!ドドードドー‼
「・・・・・・・・・えーっと、今のは?」
『あ、悪い!俺の携帯の着信音だわ!かっこいいだろ?』
「お、おう。じゃ、じゃあまたな」
『おう!風の・・・またしゃべろー!!なんつって!!!wwww』
「・・・は、はは」
【作戦終了】
よし、適度に笑いをはさみながら、深層意識に刷り込むことができた・・・と思う!
計画はまだ始まったばかりだし、調子に乗らず次行ってみるか!
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