僕が王女になった日

―――気がつくと陽射しが降り注いでいた―――



朝になったのか。頭がボーっとする。真夜中の出来事は夢だったのか?疑問に思いながら身体を起こすと僕は信じられないものを見た。



『ウソでしょ…?』



なんと、僕が寝ていた部屋はレアハ王女の寝室だったのだ。この光景を誰かに見られたらどうなるだろうか。男が王女の部屋に忍び込み、1泊したということになる。いくら僕でも逮捕はされるし、下手したら抹消だ。



『は、早く出ないと…!!』



そう思い急いでベッドから出る。しかし、上手く身体が言うことを聞かずにフラフラする。なんだか胸の辺りが重くて動く度に揺れるような違和感を感じる。しかも視界には金色の線状の物体が飛び込んでくる。



『なんだこれ…髪の毛?』



でも僕の髪色は金髪では無い。きっとカツラか何かだろう。そうこうしていると隣で何かが動いた。バッと横を見ると驚いた顔をしているレアハ王女がいた。



『レアハちゃん!?こ、これは違うんだ!あの、その…』



事情を説明しようと焦るが、どうも様子がおかしい。困った表情をしているのはわかるが、僕と同じ仕草をしている。僕が髪の毛を触れば向こうも髪の毛を触るし、肩に手を当てれば同じことをする。こんなにもピッタリ真似できるものだろうか。



『ま…まさか…?』



視線を自分の身体へ誘導するとヒラヒラのピンクのドレスを着ていた。胸には見たことも無い立派なモノが2つある。



『え…?え…?』



鏡越しに映るレアハ王女の顔は泣き出しそうだった。綺麗な金髪を引っ張ってみると凄く痛かった。



『い…痛い!カツラじゃない!地毛??』



気が動転していて気づかなかったが自分の声をよく聞くとかなり高い。完全に女性の声帯だ。



『ぼ、僕の声が…』



思わず、うつ向く。立派な2つのモノ。胸の方も触ってみた。



『これがおっぱい?おっぱいがある…』



自分についているなんて不思議な感覚だったが、あまりにも痛いので今すぐ外したい。思いっきり引っ張ると、とんでもない激痛が走った。



『あああああああ…!!』



声にならない音を漏らす。これを引っこ抜くなんてできない。鏡のレアハ王女はあまりの痛さに顔を真っ赤にして泣いていた。



『うぅ…。』



お尻を触ると大きくてもっちりとした感触で、男の膨らみで無いことがわかる。手や脚を見ても白くて細い女のものだ。最後に下半身に手をやると絶望が僕を襲った。



『ない。ない…!ない!ついてない!!』



ストンと膝から崩れ落ちて手を突く。



『レアハ王女になっちゃった…』

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