第2話 究極の音楽

生まれた時から、気が付けば音楽がいつもかかっていた。

流行歌・昔流行った曲・遠い国の民謡、あらゆる種類の、何万という数の曲をこれまでに聴いてきた。


だが、どの曲も私が本当に求めているものではなく、心は満たされなかった。


大人になったある日、自分が求める音楽など無いことを悟った私は、もはやCDプレーヤーの電源を入れる気も起きず、自分の部屋にこもったままじっとしていた。

すると聞こえてきた。

時を刻む時計の音、どこかの家族の話し声、台所で洗い物をする音、車のエンジン音、電車の走る時のガタゴトいう音と風を切る音。


まさにこれだ、私がずっと求めてきた音楽は。夜遅くまでその音にじっと聞き入っていた。

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