6話 義史の相談事<2>
「はじめは大丈夫しか言ってくれなかったんですが、何度も聞くうちにぽろりと実はねって話始めて」
家賃は少し上がってしまうが、想定内であった上、部屋が一つ増えて、何より通勤時間が短縮できるのでいい物件に出会えたと思っていたという。
ところが、住み始めて一ヶ月を過ぎた頃から家鳴りがするようになった。
ただ、そのうち天井裏までがうるさくなってきたという。
「アパート自体は下四部屋と上四部屋の八部屋で、
「あぁ、確かにそういうことは田舎ならありえるけどな」
実際、
「はじめこそ気にならなかったらしいんですけど、私に会った頃にはとても気になるんだと言ってたんです。天井や家鳴りが聞こえるのがどうも同じような時間帯で気になって仕方がないと。しかもその時間帯が夜寝る頃だから、寝不足にもなっているんだって言ってたんです。それに、最近では歌が聞こえてくるとも言ってて」
「歌?」
「えぇ、夕方頃に仕事が早く終わって帰ってくると、何処からともなく歌が聴こえてくるんだと。話をしている時もとても辛そうに見えたので、寝れないのは疲労が取れないし大変だから、ちゃんと管理会社に連絡するとかしたほうが良いよと、アドバイスして、
実際、
そして、その一ヶ月後に
「様子は相変わらずで、でもまだ元気が残っているような感じがしました。私はてっきりこの前の話の続きかと思ったんですけど、全然違って、恋人ができたという話題だったんです」
そんな彼女に恋人ができたという報告を受け、
「年下で今は研修している最中だけど、そのうち実家の医院を継ぐんだと、医者の卵だと言ってました。写真も見せてもらって、身長も高く、俳優のようにイケメンで、話を聞く限り優しい人のような印象で、非の打ち所のない人物のようでした。とにかく
少し伏せ目がちに言う
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