3話 多田義史<1>
私鉄二つに、新幹線、更に私鉄に乗ってようやく、友人と待ち合わせの駅に着く。
「はぁ、久々の都会やなぁ~。何年ぶりやろか?」
大きく伸びをしながら改札を出た
「あれ? 全然違うな」
自分の思っていた風景と違うことに戸惑い、待ち合わせで上手く出会えずすれ違ったらどうしようかと、取り敢えず一番目立ちそうな場所に腰掛けて待ってみる。
すると、野太く響くような声が聞こえてきた。
「おぉい! 良う来たなぁ」
その声に顔を上げれば、ゴリラのような上背で恰幅のいい男が、大きく手を降りながら走って近づいてきていた。
男は
「いや~、来てくれるとは思うとったけど、来たな」
容赦なく頭上から浴びせられる荒い息遣いと体に訪れる振動に、出会えた安心感よりも、いい加減にしろという思いのほうが湧き出て、少々にらみつけるように見上げた
「チケットまで手配してんねんから来い言うとるようなもんやろ」
「それでも嫌やったら、来ない選択肢をするのがお前やからな」
にやりと笑って言い返してくる男は
ガタイが大きく、緩慢そうに見えながらも俊敏で、脳筋に見えるが秀才型の頭脳を持つ。
学生時分から、見た目も性格も全てが正反対の二人は、凸凹コンビと言われ、どうして何もかもが違うのに、あんなに仲が良いんだろうかと周りに噂されていた。
「まぁ、前ならなそういう事もあったかもしれんが、
「心配してきてくれたんか」
「暇でもあったし、相談相手に事欠かん状況で俺に相談するんや、何かおもろいことでもあるんちゃうかとも思った」
「そうかぁ、そりゃ間が良かったなぁ」
長い付き合いの
自分を心配してくれたことが嬉しくなったが、それを突っ込まれるのを嫌がるということも知っているため、素知らぬふりしてを返事した。
広場の時計が十三時を知らせて、ふと、
「ところで、
「まかせろ、ちゃんと明日の分まで終わらせてきたで!」
「そうか、明日の分まで……、え? 明日の分まで?」
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