第7話

俺は12時間の強制ログアウトを受けてリアルの世界に戻された。

ゲーム内ではいろいろあったが、明日も仕事なので俺はそのままふて寝してしまった。


次の日の昼休み俺は稲葉に声をかける。

「オイ稲葉、オレって名前でゲーム進めているんだけどさ・・・ 物凄い課金させられてるぜ!」


「ハハハ、パシリ屋ですか? 変な名前ですね。俺は無課金でやってますよ。俺のパートナーはほぼNPCって分かってますから。」


「そうなんだ? やっぱりNPCのパートナーって居るんだ。 そうだよな・・・」

昨日のゲーム、俺はただ金をまき上げられただけなんだろうか?

俺、ミーシャンがNPCだったら絶望しちまうかもな。


稲葉が去った後、事務所の宇月美穂がやって来た。

さっきの話しを立ち聞きしていたのか、ゲームの話しを聞いてきた。


「三条さん、迷宮婚活始めたんですか? どんな名前にしたんですか? 」


「えっそれ聞く? パシリ屋って名前にしたんだけど・・・」


宇月はそんな俺の事をきっと『バカにするんだろうな』と思ったが・・・


「ふふふっ、変な名前ですね。頑張ってくださいね。」

ニコッと微笑んで午後の仕事の予定表を俺に渡すと今日はアッサリ戻って行った。


仕事も終わり、さっさと帰宅した俺は今日のゲームへのログインをどうしようか悩んだ。

散々お金も使ったし、もしミーシャンがNPCだったら、俺ショックに耐えられないかも・・・

でも、勇気を振り絞って俺はログインした。



ログイン後、俺は迷宮の入り口に立っていた。


「遅かったわね、私は1時間も待ってたのよ。」


ミーシャンが俺のすぐ後ろで声をかけてきた。

まさか待っていてくれるなんて考えもしなかったので嬉しさがこみ上げてくる。


「装備もそのまま残ってるから、今日こそは迷宮を踏破するわよ。」

ミーシャンは俺の顔を見て目を細めて笑った。

俺は『よしヤッてやる』って気合を入れた。


「さっきアイテム確かめたら私達ログアウト前にガチャチケット受け取ってるみたいなの。先に回してみる? 」


俺はコクリと頷くとガチャのボタンを押した。

排出されたのはというメガネアイテムだった。

さっそく迷宮婚活のアンチョコに載せてみた。

<このメガネをかけると一時的に1分後の未来が見える>


「おお〜、すごい。これサイコロの目とか当てることできるよね? 私達、勝利したも同然じゃん。」

ミーシャンの目が輝いてる様に見える。


俺達は昨日と違って興奮しながら迷宮の中へと踏み込んで行った。

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