第4話
「パシリ屋〜、ねぇ知ってる? 」
ミーシャンがなんだか悪人みたいな笑みを浮かべて俺を見た。
「えっなぁに? 」
「パシリ屋がこのチャトに一行書くごとに50円くらいかかっているの! 」
「ウソ、マジかよ? 俺、破産だぁ〜。」
ミーシャンの悪人みたい顔がイタズラ好きな小悪魔の顔に変わった。
「ハハハ、嘘嘘そんな事ないから大丈夫だよ。チョットだけパシリ屋の反応が見たかっただけだよ。」
俺が不安な時に俺をからかうなんて・・・
ホントに『空気読め』って思った。
「ねえ、とりあえずその服どうにかしようよ? 私、一緒に歩くの嫌なんだけど・・」
まぁこの格好では仕方ないな・・・
「分かったよ。知り合いのお店連れて行って! アッ、その前にさっき100連ガチャ券もらったから、ソレやっていい? 」
「いいよ! 戦闘シーン以外ならどこでもガチャは出来るから・・・」
俺は祈る様な気持ちでガチャをひいた。
だか・・・
ろくなモノ出てこなかった。
その中でも回復薬が5個出てくれた事は救いだった。
後は訳分からない水晶とか錆びた剣とかだ。
酷いモノではどこにでもスプリンクラーを設置出来る魔法のアイテムもあった。
こんなアイテムいったい何に使うんだろう?
俺にはどう見てもガラクタにしか見えない。
俺はさっき買った『迷宮婚活のアンチョコ』の上に無造作にアイテムを置いた。
するとアイテムの特徴や利用方法がポップアップ画面で浮かび上がった。
「おぉ〜、アンチョコ凄い。こんな使い方も出来るんだ! 」
「そうよ。高価なだけじゃないんだから! 」
ミーシャンは自慢げに言ったが、そのアバターの目はおよいでいる。
コレ絶対に今、初めて知ったんだと思う。
俺達は市場中央の古びた店で足を止める。
「さぁ、ここで残りの装備を一通り揃えましょう。」
ミーシャンは店の店主らしき人にいろいろ指図して必要なモノをテキパキと揃えていく。
「そうね〜、 パシリ屋のアバターコレに替えて! 」
それはなんとなくブラッドピットを意識した様な顔だった。
「えっ、リアルと違いすぎるよ! 」
「いいの、いいの! ゲームの中だけなんだから! 服はお揃いにしようね? 」
ミーシャンは男女お揃いの濃い蒼の衣装を持って来ると俺に着替えるようにと差し出した。
俺は服を着がえて鏡の前で自分の姿を眺め、『これからダンジョンを攻略するぞ』と自分自身を鼓舞した。
ふと気づくと隣りにミーシャンが服を着替えて立っていた。
その姿は華奢な愛らしい少女という様に写ってなんだか愛おしく感じてしまった。
「さぁ、会計を済ませたらダンジョンへ向けて出発よ。」
そう言ったと思ったらミーシャンは俺の背中を押して『早く会計を済ませろよ』と言わんばかりに会計の前に連れてきた。
また俺のウォレット画面が開き今度は0.5ETH持っていかれた。
なんだか俺、泣きたくなってきた。
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