第3話 自身への放火
攻撃が止めば良いが。
俺はそう考えながら眉を顰めつつ前を見る。
当然だが妹の事は通報した。
先生達に、だ。
その後の事は知らないがざまぁないと思う。
「.....助けてくれて有難う。悠次郎」
「当たり前だろ。お前は俺の彼女なんだから」
「.....妹ちゃんは.....」
「.....あんなの妹ですらない」
それは確かにそうだよね.....でも。
と言ってくる凛。
甘過ぎるぞそれは.....凛。
思いながら、凛。あれはもう妹じゃない。化け物だ、と答える。
凛は、うん。でもきっとそれなりにきっかけはあったんだと思うから救えないかなって.....思ったんだ、と唇を噛む。
「優しいな。お前」
「.....優しいとかじゃないよ。ただ.....悠次郎の妹ちゃんだから.....」
「.....でもそれは優しいよ。.....有難うな。でももう我慢が出来ない。死んでほしい」
「.....そんな事を言っちゃ駄目だよ.....」
あの野郎のせいでどれだけ迷惑なのか。
俺は思いながら.....唇を強く噛む。
そうして次の時間の授業を待っていると。
その妹からメッセージが入った。
(お兄ちゃん。反省したから。お願い。私を見捨てないで)
(駄目だ。それはもう聞き飽きた。許さんぞお前)
(そうなんだ。.....私への愛は尽きたの?.....そんなの嫌。私だけを愛して)
(何時迄も子供じみた事で通ると思うな)
俺は呆れてからそのままブロックした。
メッセージアプリを、だ。
すると凛が聞いてくる。
妹ちゃん?、と、だ。
俺は頷きつつ、大丈夫。ブロックした。マジに許さん、と言う。
「.....悠次郎。それは流石に.....」
「.....」
「.....妹ちゃんが可哀想だから.....」
「.....凛。時には冷たく接する事も必要だぞ。こういうのはな」
そう話しつつ俺は目の前を見る。
すると次の授業の先生が.....入って来た。
そして、よし。授業始めるぞ、と言い出す。
凛は、あ。じゃあね、と言いながら戻って行く。
「ああ。.....また後でな」
それから俺は外を見る。
すると消防車が俺の家の方角に走って行っていたのが見えた。
よく見ると黒煙が上がっている。
俺は?を浮かべながらその光景を見つつ。
そのまま授業を受けた。
☆
「何してんだよ.....お前は.....!!!!!」
授業が終わってから。
家に静かに帰宅すると.....自宅が半分燃えていた。
しかも咲が火傷を負っている。
かなりの火傷だ。
自分の部屋に火を点けたらしい.....ってか嘘だろマジに。
本気で何やってんだ!
救急車に乗っている妹を見る。
すると霞む様な声で言葉を発した。
「お兄ちゃん.....に振り向いてほしかったから.....」
「馬鹿なのかお前は本当に.....!」
「.....お兄ちゃんに愛される為なら何でもするから.....ね」
「.....」
正気の沙汰じゃない。
馬鹿すぎる。
思いながら見ていると警察が来た。
それからチャリッと手錠を見せたりする。
どうやら自身に放火したのが判明した様である.....が。
「貴方ですか?放火したのは」
「.....え?」
「出火は2階からという話になっていますので。貴方の犯行が高いので」
「.....私は犯行してないです.....」
首を振る咲。
それにしてはお嬢ちゃんの部屋がかなり出火が激しいけど.....どうなっているのかね、と言う中年の警官。
俺はそんな警官に、すいません。捕まえてやってくれますか、と願う。
妹は涙を浮かべて唖然とした。
「お、お兄ちゃん.....?」
「良い加減に裁きや社会を学んで来い。お前の事は絶対に許さない」
「お兄ちゃんの馬鹿.....嘘でしょ。お母さんも無事だったし.....」
「お前が危ないんだよ!!!!!」
俺は涙声で絶叫する。
いつの間にか涙声になっていた。
そして妹の手を少しだけ握る。
それから、変わってくれ。咲、と呟く。
「.....このヤンデレは止められない。病気だ。.....お前はガチの病気なんだ。.....だから反省してこい」
「.....お兄ちゃん.....」
「お兄さん。話を割ってすいません。すいませんが保護者の方は何方に?」
俺は咲から手を離して案内する。
そしてこの後だが。
咲の部屋からヒーター用の灯油がベッドに撒かれた痕跡が見つかり。
何というか咲は放火未遂で逮捕された。
警察病院で治療を受けながら、だ。
そして家庭裁判所やら児童相談所などが出て来て.....その。
あっという間に時間が経つ。
それも5年近く経った。
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