第2話 いや、もう我慢ならん

地獄というものは。

今の状況を指すと思っている。

俺にとっての地獄は咲本人だ。

つまり俺にとっての地獄は家も、となる。

家に帰りたくない日が多く感じる。


「.....ハァ.....」


「どうしたの?」


「.....クソッタレだ。全てがな」


教室で盛大に溜息を吐いていると。

目の前に黒髪の美少女の恋人の鈴島凛が現れた。

成績優秀、容姿端麗の。


俺はその姿を見ながら苦笑を見せる。

すると凛は、また妹さんなんだね。問題、と言ってくる。

そうだな、と返事をしながら。


「.....俺にとってはあの家は地獄だ。マジに咲だけは許し難い」


「うん。.....よく分かる。.....でも人を恨むのが全てじゃないよ。絶対に何か解決策はあると思うから。私も協力する」


「.....有難うな。凛」


「うん。だって恋人の為だしね」


ニコッとしながら凛は俺を見る。

俺はその姿に笑みを浮かべながら.....居ると。

教室が、まーたイチャイチャしてぇ、とコーラスになった。

俺達は苦笑いで、良いじゃねぇか、と返事をする。


「でもまあ見ていて不愉快じゃないけどな」


「そうそう。仲が良いのは良いこった」


「じゃあ何で俺達の中に口出ししてんだお前らは.....」


「「「単純に妬ましいだけだ」」」


ひでぇなコイツら。

俺はまた溜息を吐きながらも。

顔を引き攣らせつつ次のチャイムの音を聞いてから。

凛と別れてから席に腰掛けた。

そして授業を受ける。


だが昼休みになって事件が発生した。

それもまた咲の手に.....よるものである。

どういう事件か。

教室からトイレに行った凛が居なくなった。



「.....どうしたんだ?凛は。田中見てないか?」


「俺も見てねぇな」


「俺もな」


クラスメイトの田中と佐藤はそう答える。

そんな会話をしながら俺達は昼休みが終わっても戻って来ない凛を心配した。

しかし何が起こっているのだ。


凛は何処に行ったのだ?、と思うが。

思いながらスマホを取り出して凛にメッセージ。

すると返事があった。


「.....な.....」


そこには監禁され.....ている様な凛が。

それもこれは高校の外の機械室か?

俺は!?と思いながら見ていると。


お兄ちゃん。彼女作るとか何様、と文章が送られてきた。

明らかに凛の文章では無い。

咲だ.....。

またコイツか!!!!!


「.....クソッタレ!」


いつの間に!、と思いながら。

そのまま教室を猛ダッシュで後にしてから。

駆け出してから先生にバレない様に中庭にあるボイラー室を目指した。

それからドアに手を掛けると。


普段は開かない錆びきったドアが簡単に開く。

クソッタレが!この学校の生徒だからと招き入れたんだな!?教師とかが!

その影響で.....凛が.....!

俺は思いながら蒸気が発せられている部屋を見渡すと。

そこに結束バンドで縛られた凛が。


「.....凛!!!!!」


俺は駆け寄ってから声を掛けると。

凛はゆっくり目を覚ました。

それから俺を見てくる。


え?何があったの?、という感じで。

俺はその様子を見ながら、説明は後だ、と言いながら立ち上がる。

無事でマジに良かった、と思いながら。

すると。


「お兄ちゃん」


「.....何だ。咲。もう許さんぞお前は」


「.....ふふん。そう言ってもお兄ちゃんは私のお兄ちゃんだから」


「いや。もう許さん」


そして俺は思いっきり咲をよろけるぐらいに平手打ちした。

咲は愕然としながら俺を見てくる。

今まで手出しをしなかったのに?、か?

それは甘いな。

俺は今までずっと我慢していたんだ。


「.....貴様という奴はもう妹じゃない」


「.....お、お兄ちゃん?え?私はただ単にお兄ちゃんが好きで.....やっているだけ.....」


「.....煩い。.....二度と顔を見せるな。俺の彼女にも手出しをしやがって。絶対に許さない」


「.....え?じょ、冗談だよね?ただ単に私は.....」


「.....冗談で言うか。家も閉め出す」


それから俺は結束バンドを外した凛を見ながら肩を貸しつつ。

そのままギロッと咲を睨んでからその場を後にした。

どうやって誘拐したのか知らないが。


俺のとってはこの女はもう家族じゃない。

考えながら俺は歩き出した。

父さんと母さんの脅威にもなっている女はもはや家族じゃない。

ただ単なる邪魔者だ。

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