第4話 とりあえず放置してみた
今回は自主性を育てるためにあえて放置してみた。
「アドミニスター! このテレビ面白いですよー!」
「今忙しいからあとにしてくれ」
「えー……わかりましたー」
また違う場面では。
「アドミニスター! アドミニスター! いっしょにゲームやりませんか⁉」
「忙しいんだ。ひとりで遊んでくれ」
「んー……」
少々心が痛んだがこれも彼女の自主性を育てるためだ。致し方ない。
ほどなくしてアイは俺に声をかけてこなくなり、一人で絵を描いたり楽器を練習し始めたりなにやらいろいろと活動を開始した。
そして、
「は? なにこっちみてんの? キモいんだけど。あっちいけよ」
グレた。
いったいどこで学んだのか目の周りを赤や黒で化粧して爪にも紫色のマニキュアを塗っている。
これまでフリフリしたレースの服を好んでいたのにいまじゃ鋲が打ち込まれた革のジャケットとやたら穴の多いベルトを大量に巻いている。
怖い。すっかりパンクでロックでアナーキーな感じになってしまった。
「あ、あの。アイさん……?」
「ああ? んだよクソミニスター」
クソミニスターってなんだよ。これは早々にリセットしたほうが良さそうだけど、念のため確認だけはしておこう。
「ごめん……あー、ところで君はこの世界の管理者になったらどんな世界にしたい?」
「はー? ……んなのきまってんじゃん。本能のままに生きる血と暴力に溢れた世界に――――」
アイがにたりと邪悪な笑みを浮かべた瞬間、俺はリセットボタンを押した。
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