サイコロ

川野笹舟

サイコロ

 サイコロを買った。

 7つ入りだった。それぞれ面の数が異なる。

 一般的な6面のサイコロ以外に、4面や20面の物もある。

 パッケージにはTRPG用と書かれていたが、TRPGをする予定はない。


 手に7つのサイコロを握りしめて、とりあえず振ってみようかなと考えていると、バステット(私が飼っている猫)が「にゃあん」と鳴いた。

 鳴くだけで、こちらに近寄ってこようとしない。

 ただ私のことを見つめていた。


「どうしたの? ご飯はまだだよ」

「にゃあん」


 バステットは普段あまり鳴かないので少し気になった。


「そんなにお腹すいたの?」

「にゃあん」


 本当にお腹がすいているのかはわからないが、ご飯を用意してあげることにした。

 その前に、先ほどから握りしめていたサイコロを机の上に転がした。

 ガラガラとうるさい音がした。7つも転がせばうるさいのは当たり前だろう。

 バステットが、「出目はいくつだ?」と聞いてきた。

「え? えぇと、小さいほうから、1、4、4、8、11、11、70だけど」

「……そうか。それより腹が減ったから何かくれ」

「ははっ、やっぱりお腹空いてたんじゃん」


 バステットのお皿にキャットフードを入れてあげた。

 美味しそうに食べ始めたのを確認して、私も自分のお皿にキャットフードを入れた。キャットフードは初めて食べたけど、手を使わなくても食べられるから便利だなと思った。

 私が「美味しいね」と言うと、バステットはすごく嫌そうな顔で、「あぁ、そうだな」と言った。

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サイコロ 川野笹舟 @bamboo_l_boat

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