第18話 協定会合②

「だけど、そんな貴重な人、ご存知ですか?」


 犬国カーネロの国王フェル・カーネロの問いに、


「残念ながら、ニャーは知らないニャ、ニャハハッ」


 猫国ティコの国王ガット・ティコは何故か楽しそうに笑い、


「俺も詩らねぇなぁ。知っていたら牢獄に縛りつけ、監禁してやるぜ!」


 熊国ベールの国王ラパス・ベールは下品に笑い、


「ワタクシもー、知っていたら胃痛が少しは減るのですがー……」


 狐国ハポーザの国王ソロ・ハポーザはさらにお腹を押さえ、


「ま、そんな奴いねぇはな」


 この手段の言い出しっぺの狼国ローボの国王マクティ・ローボは淡々と言った。


 ティオは先日の獅子国レアルトの国王、アラガド・バローグの言葉を思い出し、アラガドも知らないはずだと彼を見ると、


「…………」


 何故か複雑な表情で思案していた。


「王?」


「あ、いや、すまない。そうだな、皆、知るわけもないな」


 アラガドは慌てたように取り繕い笑った。


「フェルよ、もしよければ、生存している者で不定期に発情期が来る者がいれば、会わせてくれないか」


「それは構いませんが……」


「その不定期にやってくる回数、期間などを調査し、抑制剤の増量を検討しよう」


「ありがとうございます」


 フェルは深々と頭を下げた。


「不定期に発情期がやってくる者がいる国に限らず、各国に抑制剤の増量を検討しよう」


「助かるニャー、ありがとニャー」


「ま、当然だよな」


「ついでに胃薬をー……」


「ありがとよ」


 それぞれが思いを伝える中、


「…………」


 アラガドはまた思案を巡らせていた。

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