第16話 協定国⑤狼国ローボ
「よよよ」と崩れ落ちた、狐国の国王、ソロ・ハポーザを呆れたように見下ろしたのは、狼国ローボの国王、マクティ・ローボだった。
灰褐色の毛並みで、頭部は犬獣人より低い。頭から鼻にかけてのラインも犬獣人より滑らかで、顎の筋肉量が多く、頬骨の位置が高いため、吊り目になっている。その黒い吊り目がマクティのクールさとワイルドさを表していた。
「おお! マクティ殿! よい所に! 胃薬は!?」
「あん? ねぇよ、そんなもの」
「あぁあー! 不幸というのは! いつまでも続くのですねー!」
狐国ハポーザの国王、ソロ・ハポーザはまた「よよよ」泣きながら崩れ落ちた。
「胃痛なんざ、気合いで治せ、気合いで」
「マグティ殿じゃないんですから!」
「いや、気合いで治せるぞ」
獅子レアルトの国王アラガド・バローグの言葉に、
「僕もたまに、気合いで治せます」
犬国カーネロの国王フェル・カーネロと、
「ニャハハー、ニャーも気合いで治している時あるニャー」
猫国ティコの国王ガット・ティコと、
「あ? 気合い以外で治す方法あんのか?」
熊国ベールの国王ラパス・ベールが続き、
「皆様! 酷すぎますー!」
ソロは、四面楚歌となった。
「いいから早く始めようぜ」
マクティは、ソロを無視して定位置に着席した。
他にも、兎黒や鹿国、馬国に豚国など、あらゆる獣人国全てが協定を結んでいるが、それぞれの都合や、集まりすぎると意見がまとまらないために、会合は数回に分けて行なわれる。今日のメンバーは獅子国レアルトを含めたこの六国だ。
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