第13話 協定国②猫国ティコ

 何故かルンルンとスキップしながら楽しそうに謁見室に入ってきた獣人は、猫国ティコの国王、ガット・ティコ。


 獅子王アラガド・バローグのように白い毛並み、丸みのあるくさび形の顔、アーモンド型の青く美しい瞳、長い手足に尻尾とバランスのよいしなやかな体つきをしている。

 感受性豊かで好奇心旺盛な彼は、人間からも好かれていた。だが、ガットは、


「お前は、賛成したり反対したり、いつもどっちつかずだっただろう」


 マイペースなところもあり、その日の気分で意見を変えていた。


「ニャハハッ。だってさーアラガドー。その時はいい意見だなーと思って賛成するニャ? でも、次はなんか嫌だなーと思ったりしちゃうんだニャ。だから、仕方ないニャ、ニャハハッ」


 ガットはケラケラと笑った。


「ガットさん? アラガド様にはせめて、さんを付けなさいといつも言っていますよね?」


「そうだったかニャー? 忘れたニャー。ニャハハッ」


 犬国カーネロの国王、フェル・カーネロの言葉に、ガットはまた楽しそうに笑った。


「それに、前から気になっていたのですが、何故そんな喋り方をするのですか?」


「そんなとは、どんなニャ?」


「語尾に“ニャ”を付けることです。わざとやっていますよね?」


「もちろんニャ! だってその方が子供と女性受けがいいからニャ! ニャハハ!」


 フェルは「はぁー」と、ため息を吐き、アラガドは苦笑した。そんな中、ティオは、


(確かに! 語尾に“ニャ”は可愛い! ニャハハと笑うのはもっと可愛い!)


 と、心の中で大きく頷いていた。


 その時、


「うっせーぞ! 廊下まで聞こえていたし! お前の高い声は耳に残るんだよ! ニャー助!」


 低く荒っぽい声が聞こえてきた。

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