第4話

「ゴホン!あー、キース殿じゃったか?」

「はい、キースと言います」

「先ほどは驚いて魔法を使ってしまったが・・・すまんの~」

「いえいえ!当然だと思います」


キースはこれが当然の反応だとわかっていた


「うむ、そう言ってもらえると助かるのじゃ」

「も~おじいちゃん!気を付けてよね!」


シアに怒られて髭がしょんぼりする長


【やはりこの世界はゲームと同じ世界か】


キースは頭の中で考える


「ところで、なぜホルト族のキース殿がここに?」


ここはフィフォス王国の北のはずれ

ホルト族が暮らすのは遠く南の地

極稀に迷い込む者がいるくらいで

この地にホルト族はいないと言ってもいい


【さてどうするか・・・】


キースは正直に異世界から来たことを伝えるか迷う


【んー異世界の事は伏せて、記憶が無いことにするか?】


迷っていると


「何か事情がありそうじゃな?」

「・・・」

「キースお兄ちゃんはね、記憶が無いんだってー!」

「ほほう、記憶がの~」

「だから草原の丘の上で居眠りしてたんだよ?」


そう言ってシアが笑う


「それは危ないところじゃったの~」

「シアが見つけたんだー!」

「シアちゃんはえらいの~」

【はは・・・説明しなくても大丈夫そうだ】

「そうなんです記憶が無くて・・・」


キースはそう呟く


「覚えているのは名前と年齢くらいしか・・・あ!あとスキルですね」

「スキルじゃと?」

「はい。自分には収納というスキルがあります」

「ほほ~、便利なスキルをもっておるの~」

「はい、それでさっきは助かりました」


ここでキースは先ほどの出来事を説明する

収納を使って倒した事を

ただし収納の詳細は伏せておいた


「なんじゃと?!魔物が出たのか?!」

「なるほどの~、ミアの魔法も避けられる魔物をな・・・」

【ん?何か疑われてる?】

「まぁいいじゃろう。この村でゆっくりしていくといい」

「ありがとうございます!」

「ところで寝る場所なんじゃが、どうするかの?」


ミアとシアの家で寝るにはさすがに狭い


【うーん、木で家でも作るか・・・】

「あのー、少し離れた場所から木を持ってきて家を作ってもいいでしょうか?」

「構わんぞ。場所はミアとシアの家のそばがいいじゃろう」


こうしてキースはミアとシアの家のそばに自分の家を建てることになった


「では村のみんなにも紹介しておくかの」


1人と3匹は村の中心に向かう

この村はほぼ全員切株の中に住んでいる

例外は木の上に生活する者もいることぐらいだ

村の広場に着くと


「おーい村のみんな!ちと集まってほしいのじゃ」


遠目から恐ろしい物を見る目で覗いていた村のみんなが恐る恐る近寄ってくる


「心配はいらんのじゃ。このホルト族のキースは我らと話せる!」


それでも村のみんなの恐れは消えない


【そりゃそうだよなー】


キースはどうにかしたいと思っていた


「みんな~、キースお兄ちゃんはとっても強いんだよ!」


ここでシアが村の子供たちに話しかける


「「「え?」」」


「それにね、手の上に乗せてくれるの!」


シアがこちらを向いて乗せてくれと目で訴える


「あ、ああ。シアどうぞ」


キースは膝をつきシアを手のひらに乗せる


「見てー!とっても高いし暖かいし気持ちいいのよ!」

「「「うわー!」」」


子供たちはうらやましそうな目で見る


【これは、シアが作ってくれたチャンスかな?】


キースは村の子供たちに話しかける


「君達も乗ってみるかい?」


子供たちは躊躇している

手の上で下を見下ろすシア


【どうしたものか・・・】


すると1匹の子供が


「乗せてくれる?」

「もちろん!どうぞ」


恐る恐る手に乗る子供

右手にシア、左手にもう1匹の子供

左右の手を頭の上までもっていく


「たかーい!」

「うわー!すごーい!」


2匹は大興奮

それを見た子供たちは


「僕ものせてー!」

「私も乗りたい!」

「私もー!」


そして今、キースの頭には3匹、手の上には2匹づつ

合計7匹がいる


【ははは、シアに感謝かな】


これを見た村のみんなも安全だと思ったのか

キースのそばで円を描くように集まっている

しかし遠巻きに見ている家族もいる


【急に現れた恐ろしいと思っている種族だししょうがないか・・・】


ある程度村のみんなと挨拶も済ませ

その後、村のみんなにお別れをしシアとミアの家にいったん帰ることになる

もちろん二人ともキースの手の上


■■■■

『ダメ・・・このままでは』

村の周囲に結界を張る者の声は誰にも聞こえない・・・

■■■■


「じゃあ木を切り出してくるよ」

「気を付けていってらっしゃい」

「キースお兄ちゃん!シアも行くー」

「シア!危ないからおとなしく待っていなさい!」

「え~、キースお兄ちゃんと一緒なら大丈夫だよ~」

「だめよ!いい子にしてなさい!」

「は~い・・・」

「シア、なにか食べられそうなものがあったら採ってくるからね」

「ほんと?!じゃあ木の実をお願い!赤いやつ~!」

「ああ、あったら採ってくるよ」

「やったー!いい子にして待ってる!」

【赤い木の実か】


キースはゲームの知識を思い出しながら考える


【おそらくレッドベリーだろう】


これはポーションを作る時に使う

ただし、へたの部分だ


【錬金術か・・・どうしたら発現するかは謎だな】

「では行ってきます」

「「いってらっしゃい」」


こうしてキースは森の中に進む

少し入ったところでキースは自分のパラメーターを見る


名前:キース

種族:ホルト

年齢:10

LV: 2

体力:30/30

魔力:20/20

攻力:07/07

防力:10/10

速力:12/12

知力:10/10

スキル 『収納』2:魔力×1箱 全てを収納 (1箱=99個)

   『転移』1:知力×1m

   『強化』1:魔力×1秒 攻力防力が倍


【やはりレベルが上がってステータスも上がっているか】


先ほど倒したモンスターの経験値によりキースはレベルが上がっていた


【収納の横に数字が出たな。これはスキルレベルだな】

【とりあえず全部のスキルを使ってみるか】


キースは収納以外のスキルを使ってみることにした


【まずは強化か】

「強化!」


名前:キース

種族:ホルト

年齢:10

LV: 2

体力:30/30

魔力:20/20

攻力:14/07+07

防力:20/10+10

速力:12/12

知力:10/10

スキル 『収納』2:魔力×1箱 全てを収納 (1箱=99個)

   『転移』1:知力×1m

   『強化』1:魔力×1秒 攻力防力が倍


【魔力は減らないのか】

【ふむ、時間は20秒ならいざというときだな】


強化の威力も試すために身近にあった木を蹴ってみる


「はっ!」


直径20cmの木が倒れる


【なるほど、このくらいか】

【ある程度の攻撃は出来るか】


スグに強化が切れる


【思ったよりも短いな】

【次は転移か】

【これは流石に魔力も減るだろうから、短めの距離で。。。】

【10mくらいにしておくか】

「転移!」


目印にした岩の上に立つ


名前:キース

種族:ホルト

年齢:10

LV: 2

体力:30/30

魔力:10/20

攻力:07/07

防力:10/10

速力:12/12

知力:10/10

スキル 『収納』2:魔力×1箱 全てを収納 (1箱=99個)

   『転移』1:知力×1m

   『強化』1:魔力×1秒 攻力防力が倍


【なるほど、1mにつき魔力1か】

【全力でしなくて良かった】


もしもキースが全力で転移していたら魔力が枯渇して動けなくなっていた


【これは敵の後ろを取るのに使えるな】


転移というと長距離と思いがちである

しかし、戦闘においてこそ転移は輝く

これは下手をすると敵に姿を見られずに倒すことも出来る

チートと言ってもいい


【これは使えるな】

【あとは魔力の回復速度か・・・】


テロン♪

世:周囲探索を一定数行ったためスキルが発現

スキル『感知』を習得


【感知か】


キースはスキルを試す傍ら、周囲の索敵も忘れなかった

それが感知の発現につながる


「感知!」


スキルが発動する


【なるほど、半径1キロといったところか】


先ほどまであった視界にあるミニマップが広域マップに変わる

そこには、シアとミアの家、村までも感知している


【魔力も自然回復で補っているな】

【これで敵を避けていけるな】


キースは感知を使いながら森の奥に行き

強化を使い木を伐採

その後収納に入れ転移で戻る


「転移!」

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