第2話

「そうよ、あんな所で寝ていたらモンスターに食べられてしまっていたわね」

【モンスター・・・】

「モンスターって言うとあのモンスターですか?!」

「あのっていうのがわからないけど、多分同じだと思うわよ」

【そんなに危なかったのか・・・】

【これは助けてもらったお礼に出来ることは何でもしないとな】


彼は心に決める


「助けて頂いたお礼に困っていることや手伝えることは何でもします!」


彼は自分がまだ大人だと思っていた


「こう見えて力は結構あるので!はっはっは?」


彼は腕を見せて力こぶを作ろうとする


【あれ?なんか腕細くない?】

「でもあなた、ホルト族だとしてもまだ子供よね?」

「え?いや、もう46歳の・・・」

【まてまてまて!子供?!】

「えーと鏡・・・自分の姿が見たいときはどうすればいいですか?」

「すぐそこに湖があるわ。そこで見られると思うけど・・・」


彼は全力で走った

もちろん今も自分の姿を見られる

だが頭が追い付かない

手も足も体も小さい


【まてまてまて!?】


彼が走り始めて20秒程だろうか

湖に着いた

彼はそのまま湖面に映る自分を見る


【・・・・・・・・・・・・・・】


綺麗な湖だ

その湖面に映る自分を見て動悸が止まらない

銀の髪、整った目鼻立ち、そして額に不可思議な文様があった


【誰?】


彼は元の自分を思い浮かべていた

46歳、不摂生による肥満、伸びたままの髪


「これは・・・転生?転移?」


口に出して呟く

だが彼には見覚えがあった

銀の髪、整った目鼻立ち、そして額に不可思議な文様

毎日見ていた

オンラインゲームのキャラである


【まじか・・・よ】


テロン♪

世:視覚による思考認定が完了。さらに最適化を行います。


【まてまてまて?!なんだこれは?!】

「グッ!・・・」


テロン♪

世:最適化が完了。現世での最適化が全て完了した為スキルが発現。

世:スキル『収納』

  スキル『転移』

  スキル『強化』

世:以上を習得


【なんだと?!】


彼は2回目となる最適化を終えた

1回目とは違い意識が無くなるほどの苦痛ではない


「スキル・・・」

【まさかゲームと同じ世界なのか?】


彼は考える


【もしも同じ世界だとするなら・・・】

「パラメーター!」


ヴォン


彼の視界、左上にパラメーターが現れる


名前:キース

種族:ホルト

年齢:10

LV: 1

体力:25/25

魔力:15/15

攻力:05/05

防力:07/07

速力:10/10

知力:08/08

スキル『収納』:魔力×1箱 全てを収納 (1箱=99個)

   『転移』:知力×1m

   『強化』:魔力×1秒 攻力防力が倍


「これはゲームと同じパラメーター・・・」

【レベルは初期からか・・・】


彼のキャラクターではあるがレベルは最初からのようだ


【これは確認が必要だな・・・】


そんな彼を後ろから見守る2匹


「大丈夫?お兄ちゃん」

「大丈夫かしら?」

「あ、すいません。大丈夫です!」


2人に心配をかけまいと明るく返すキース


「それと、自己紹介が遅れました。僕は キース と言います」

「キースお兄ちゃん!!」

「あらあら、私はシアの母のミアよ」

「再度になりますが、助けて頂いてありがとうございます!」

「いいのよ~、無事でよかったわ」

「うんうん!」

「そうだわ!ついでだからお水を持ってきてくれないかしら?」

「シア、桶を持ってきて頂戴?」

「わかったー!」


走り去るシア

その後を目で追っていると・・・


「キースさん、少しいいかしら?」

「はい、なんでしょうか?」

「あのね、私たち獣者はホルトとあまり関係がよくないの・・・」

【やはりか・・・】


キースは知っていた

ホルト族は獣者を狩る

これは何故か


『普通のホルト族は獣者の言葉を理解できない』


本来、獣者と獣は似て非なるもの

しかし言葉の理解できないホルト族にとってはどちらも同じ獣

狩るものと狩られるもの

獣者にとってホルト族は忌諱すべきものであった


「はい。記憶はありませんが、そこはわかります」

「ホルト族であなたのように獣者の言葉を理解する者は聞いたことが無いの」

「だから村の中にはよく思ってない者もいるわ」

【そうだよな・・・】

「はい・・・すぐに出て行ったほうがいいでしょうか?」

「違うのよ。まずはあなたの事をみんなに紹介させてほしいの」

「大丈夫なんですか?」

「大丈夫よ!私に任せてね」


ニッコリと笑うミア


「ママー!持ってきたよー!」


そこへ桶を持って現れたシア

しかし桶はとても小さい


【あの桶じゃ何往復もしないとな・・・】

【ん?待てよ。収納で水が納められたはずだ】

「シア、少し待ってくれるかい?」


首をかしげて疑問の顔のシア

同じくミアも


「収納!」


キースの声と共に水が収納に入る

パラメーターを見る

魔力は減っていない


『収納』の中に水が入っている


【これはどのくらいの量が入っているんだ?】


現在、魔力は15

箱は15個ある

1箱に99個入る

再度『収納』により水を入れる


世:同一の物は一つにまとめられます。現在の10リットルにまとめますか?


【なるほど、1回の収納で水10リットルか】


心の中でまとめると考えると

箱の中に統合される


【いま水が20リットルだからあと8回ほどしておくか・・・】

「えーと、スキルで『収納』があるんだけど、そこに水が入れられたのでどこに運びましょうか?」

「「!?」」

「キースお兄ちゃん、すごいねー!」

「あらあら、凄いわねー」


キースは褒められて照れてしまう


「じゃあおうちの横の水溜にいれてもらえるかしら?」

「わかりました」


そう言って歩き出す1人と2匹

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