第11話『畳の隙間』
私、小さい頃畳の隙間を爪楊枝でほじるのが好きだったんですけど、それするとおばあちゃんにやめなさいって怒られたんですよね。
まぁ、畳が痛むからっていうのもあるんでしょうけど、おばあちゃんがいうには良くないものが出てきてしまうんですって。
それで私、一回聞いてみたんです。良くないものってなぁに?って。
その時に聞いたお話です。
おばあちゃんもね、昔は私みたいに畳を爪楊枝でほじるのが好きだったらしいです。埃とか、細かい砂粒が出るとゾクゾクしたって聞いて、わかる〜ってなりましたね。
で、ある日おばあちゃんがいつものように畳をほじっていたら、変な感触がしたんですって。
なんていうか……にゅぷ、とか、ぴちゃ、みたいな。
おばあちゃん、最初は気味悪がって爪楊枝を抜いたんですが、だんだん好奇心が抑えられなくなっちゃって、結局またほじり始めたんです。
ほじくるたびにぬぷぷ、ちゅぷ、見たいな感触がして……少し弾力がある肉みたいな感じがしたって。
それで、いつのまにかその感触が癖になって、時間も忘れてほじっているうちに、夕方になってしまったらしいんです。
流石にもうやめようっておばあちゃんが爪楊枝を抜いた時です。爪楊枝に絡みついて、何か黒いヒモみたいなものが出てきた。
髪の毛でした。
ねばねばした粘液が絡み付いていて、まるでお風呂の排水口から取り出したようなそれは、少しピクピクと動くと、また引っ込んでいったそうです。
その話を聞いた時は、うそだぁって思いました。
でも……その数日後、懲りずに畳の隙間をほじくってる時に、音がしたんです。はい、ちゅぷ、って。
同時に肉みたいな感触もしました。
以来、畳の隙間はほじっていません。
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