エピローグ

「……さん? ……ザキさん?」


 少女の声に、ザキはハッと顔を上げる。

 そこには自分の顔を覗き込むナナの姿。

 よく知らない者には無表情に見えるが、つき合いの長いザキには彼女の顔に浮かぶ心配の色が容易に見てとれた。


「あ、ああ……すまない。なんでもないんだ」


 まだ不安そうにしながらも、とりあえずその返事に満足したのか、ナナは前に向き直り歩き始める。

 ザキはそれを見届けると、再び自分の右手へと視線を落とす。

 思い出すのは、つい先日訪れて冒険を繰り広げた街にいる、ひとりの少女。

「…………ぬくもりって、案外わかるもんだな……。」


 不思議そうにつぶやいた。それはきっと温度じゃなくて、人のやさしさに触れたから。


SW2.5リプレイ「汚れた街」 -END-

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SW2.5リプレイ「汚れた街」 しらは。 @badehori

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