終話 メシア

「ああ、そうだ。あの赤毛の赤子はメシアと名付けられたのだ」


 ノアは漂う船の上で誰かが語る昔話を聞いた。

 パールサは滅び、多くの命が消えた。

 それでもノアは生きていた。


 パールサを脱出できたのは、ほんの僅かな人たちだった。

 混乱するなか、ノアはいつどうやって、この船に逃げ延びたのか覚えていない。

 誰かに担がれていたような気もするが、記憶がはっきりとはしない。


 幾日も波間を漂い、船はやがて新たな大地に辿り着いた。

 そこにはゴブリンはいなかったと伝承には残されている。


―― ノア・ベレスフォード伝より

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終活ゴブリン でもん @daemon

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