第80話 事後処理と外務大臣公式採用(えっ!)
対外的には。しっかり死んだので。
自身の葬式をあげ、俺は受付で、必要な人間を捕まえる。
そして、顔を見て気がつき、驚く人たちに事情を説明する。
このことは、特別機関異世界対策室に了解を受け。
守秘の宣誓書付きだ。
おかげで、引継ぎまでが、非常に楽だった。
やはり高校生くらいが、役所の中を闊歩するわけにもいかず。
どうするか、悩んでいた所だ。
事情を理解した後。
泣いて喜んでくれたものや、うらやましすぎる。
俺も若返りたいと、俺に懇願するやつ。様々だ。
上司は、生きているのなら、戻ってこいと言ったが。
この姿では、さすがに無理があるでしょうと説得し。納得してもらった。
その時に、すでに向こうで、外務大臣の任を受けていると。説明したのを、異世界対策室の人間が、耳聡く聞いていたらしい。
一通り用事が済んで、ほっとしていると、携帯に着信があり。官邸に呼ばれた。
携帯は、解約せず。名義だけを親父にしてもらった。
異世界対策室の担当者と、緊張して官邸に行く。
あっさりと、通されて応接室へ入る。
まあ、どういう話になったのか、総理やらなんやらお偉方が並んでいる。
「元経産省の勝政君だね。どうぞ、こちらへおかけください」
そう言われて、椅子へ座る。
「君のことは、最近よく耳に入っていたが、まさか亡くなってからも、さらに重要な任につくとは。何かを持っているようだね」
そう言って、A4の綴りを、ぺらぺらとめくっている事務次官。
「さて。今回来ていただいたのは、君が就いた外務大臣というものを。大ぴらには出さないが、公式に認めようと言うことだ。いま、15歳くらいかな?」
「はい。今の体はそうですね」
「その年で、大臣を始めれば、長く勤められるし。官僚出身なら、色々なことも理解しているだろう。今は、神地家の方に頼らないと、行くすべもないが……。ああこれだな。転移ポートというものを、製作依頼を出してある。それが、実現すれば。君の仕事はもっと重要になる。資源調達の話も進んでいるし、例の発電機も。クリーンエネルギーと言うことで、設置に対し補助金も出す予定だ。そして、例の魔石は、新世代のエネルギーと言うことで、エネルギー結晶として世に出す。もちろん。製法は秘密だ。ばれる心配はないだろう」
「こちらからも、一つお願いしたい」
この人は、農水省の人だな。
「農林水産大臣政務官の米森守(よねもりまもる)だ。よろしく頼む。さて、向こうのことだが、きれいな環境で、漁業も盛んとのリポートが来ている。いかがかね」
「ええそうですね。最近は大型の船で、遠洋も行っているようです。マグロも、種類は分かりませんが、冷凍庫に山積みになっていました」
「ほう。それは良い。もう、言いたいことは分かると思うが、絶滅種に入っている。ある魚の稚魚を、そちらで放してもらいたいのだよ。もちろん、試しというレベルで、失敗しても何も言わない」
「うーん。ウナギだけですか?」
口元に指を立てる、米森さん。
「よそに、こちらの魚を持っていくと。向こうでは外来種だ。その辺りは、こちらの利益だけで、語っていい話ではないのでね」
「わかりました。向こうへ帰って、相談をしてみます。あれ? 向こうには在来種は居ないのでしょうか?」
「それは、そちらで、確認してくれ。居たら、サンプルが欲しい所だが」
「まとめて、リストを出すようにしましょう」
「我が国として、この降って湧いた幸運に。実はすごく期待しているのだよ。向こうの方にもよろしく頼む」
「ええこちらに来るのに、いろいろ制約があるようですが、早急に担当者を決めてもらいましょう」
「呼び出して悪かったね。長く。これからもよろしく頼む」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
そう言って、部屋を後にしようとすると。呼び止められる。
「忘れていた。色々な物を、発行するにしても、名前が異世界の国とかはじまりのむらでは困るので、国名を決めてほしいとのことだ」
「国名ですか?」
「君は、外務大臣なのだろう?」
「そうですね。それも、持ち帰って。相談をしてみます」
「よろしく頼む」
そう言って、にこやかに送り出された。
官邸の外へ出る。するとすぐに、声をかけられる。
「向こうへ帰る前にご連絡ください。例の物は。用意されているので、持ち帰っていただきたいとのことです」
そう言って、異世界担当 狭間紡(はざまつむぐ)と書かれた、名刺を渡された。
「承知しました。連絡します」
そう言って、別れる。
残りの数日は、マンションの売却や片付け。
慰謝料請求の前に死んだので、親に請求をお願いした。
慰謝料請求権を相続というのが可能らしい。
証拠は、すでに送ってあったし。弁護士も、こちらへ連絡が付かず。困っていたようだ。
「こんにちは、迎えに来たよ」
気の抜けた感じで、神地さんがやって来た。なぜか奥さん同伴で。
「初めまして、奥さん。水希さんですよね。旦那様には、お世話になっています。勝政です」
「いえいえ。こちらこそ。家でぼーっとしているよりは、良いので」
「今回は、一緒に行かれるのですか?」
「ええ。精霊が騒ぐので」
「そうですか。それじゃあすいません。発電機ともう一品。受け取って、向こうへと行きましょう」
なぜか発電機は、5基になっていた。
「いやあ、勝政さん小さくなちゃって。2度目ですが、笑えますね」
そう言うのは社長さん。葬式に来ていたので、暴露した。
「増産中なので、今回は、5基です。お願いします」
そう言われて、サクッと物が消えた。
「納期って、あります」
「早く。以上です」
ニコッと笑っても。それは。
そこから、電話をして場所を聞く。
転移すると、養殖場で籠を積んだ変な倉庫だった。上から籠へ水が流れているようだ。
「この、籠10個だそうです」
中には親が居た。
「10籠で中も10匹なので、100です。よろしくお願いします」
そう言われて、神地さんがおろおろしていた。
「どうしたのですか?」
「収納すると、死んじゃう」
「そうなんですか? じゃあこれ。担いでいかないと、だめですね」
「仕方ない。今度までに、特殊な亜空間庫を作るから。担いでいきましょう。今回ちょうど、手伝いもいるし」
「えー」
声を上げる水希さん。だが、水希さんにも2つもたせる。
残りは、4つずつ抱える。
「行こう」
そう言って、村へと帰った。
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