第61話 魔素と死に戻り
そんなことを、話をして。
日本へ帰りたい5人を、連れて帰ってもらう。
「実は、ここで生活をするため。俺たちは、魔素に対して最適化を行っています。そのため、細胞レベルで変質しています」
メモを渡す。
「このメモに書かれた、男の方。2人は、ここに合わせた方です。魔素のない日本へ帰ったときに、何か影響が出ると、どうしても思えるのです。お手数をおかけして申し訳ありませんが、しばらく様子を、見ていていただきたいのです」
「わかったよ。この二人には、俺の連絡先を渡しておくとしよう」
「ありがとうございます」
「聞いていいかい? 最適化だったっけ? どうして必要だったんだ?」
「魔法を使うためと、子供を作るためです。精霊に聞くと、魔素が受精卵にとっては毒となっていて、死んでしまうと聞いたので」
「あらそれは、重要ね。でもまだ、子供が見当たらないわね」
「医療的な不安もあるし、生活が安定したのも。この1年くらいなんですよ」
「そうなのね」
「じゃあ。そろそろ、帰るよ」
「それじゃあ。また」
俺はにこやかに、手を振りながら、じっと魔力の流れを見る。
「じゃあ。行くよ」
空間に渦ができて、その中へ消えていく。
「ああそうか。座標が分かれば、其処同士を繋ぐんだな」
見える場所から、練習をしよう。
「彼。必死で見ていたわよ」
「ああ。あの場所では、村長よりも責任が重そうだね」
そんなことを、水希と話しながら、車の差配を行い。各人を目的地に送るように説明する。
当然、運転手には、説明を行って、家人が説明を求めた場合は、説明をするように言ってある。
突然死んだはずの人間が。若くなって帰って来ても。誰も信じられないしパニックは必至だろう。戸籍上は死んでいるし、うまく行ったなら。復活の手続きはすることにしよう。問題は、見た目だが。
それと、爺さんに。今日あったことを伝えて、協力を頼む。
「それは国として。特に。諸外国には、秘匿はしたいが、うれしい話じゃな」
「そう思います。問題がありますが。国土が星一つ分増えますからね。うちと違って手を差し出して来ていますから。握ればいいだけですよね」
「うちの星は家の物じゃ。他人は入ってこられると困る」
「さて、どうなりますか? 魔素の影響? ねえ、じいちゃん。魔素って何だろう?」
「魔素? 魔法のもとじゃろう」
「俺たちが使うときには、使っていないよね」
「地球には、無いからの。わし等は、精霊の力を介して、物理現象をいきなり起こしている。魔法じゃなくて、精霊力とも言うのかの」
ちょっと考えて、ああそうか。そうだよね。
精霊に、自分の力を与えて、お願いする。
そして。周りに、その影響を発現する。
「そうか。根本的に違うのか。興味が出たな。俺も魔素の最適化をしたいが、こっちで暮らせなくなるのは、不便だな」
その3日後。例の二人。その家族から、俺に電話があった。
熱を出して、寝込んだ。医者も原因が分からない。
言うとすれば、全身の細胞が、死にかかっている。
と、いうものだった。
魔素が必要なんだろう。細胞が生きるために。
「お迎えに伺います」
そう言って俺は、空間を繋いだ。
相手は驚いたが、その事で、普通じゃないと納得してくれたようだ。
話が早い。
「彼はもう。向こうの世界じゃないと、生きられないようです」
奥さんと、子供たちは聞いて来る。
「もう会えないのですか?」「お父さん。またどこかへ行っちゃうの」
「会いたくなれば、私に連絡をください。頻繁だと対応ができませんが、年に数回なら大丈夫ですから。向こうは田舎ですが、良さそうな所でしたよ」
「すまないな」
彼はそう言って、2度目の家族との別れをする。
もう一人も、同じ。子供が小さくて、気になり帰って来た。
佐藤君たちより後に、向こうへ転移させられた人だ。
同じように、説明をして別れを済ませる。
子供たちが泣いているのは本気だが、奥さん特に2人目は、やれやれと言う表情だったね。杞憂じゃなければいいが。
早速、村へ渡り。村長さんに2人を預ける。
一人は、すぐに調子を取り返してきたが、もう一人は様子がおかしい。
「神地さんの、言っていた通りかな?」
「まあ本人が帰ってきたら、保険金の返還とか色々ありそうじゃが。年が違うから、その辺り。どうなるんじゃろうなあ」
「一緒じゃないんですか? 子供が小さいのに、大きな子供が増えた。しかも旦那の記憶を持っている」
「そうか、それは悩みどころじゃな」
「と言うことで、浄化。毒なら、これで大丈夫でしょう」
「ほかの人たちも、大丈夫かのう?」
「神地さんに、頑張ってもらいましょう」
そんな予想通り、地球に帰った一人の女の子。家族に連れられて、警察へやって来た。そして告発。
「私を殺したのは、こいつです」
2年前の失踪事件は、殺人で。犯人はこいつらだと。死んだ本人が、宣言をした。
最初警察は、取り合わなかった。だが、運転手が出てきて、身分を明かす。
署長が呼ばれて、あっという間に、容疑者を任意で連れてきた。
知らねえ。何の話だと言っていたが、本人が登場した瞬間。
「なんでだ、埋めたはずだ」
ぽろっと叫んでしまった。
携帯電話や自宅のPCに、ご丁寧に日にち別に、ファイル分けされた証拠ビデオが保存されていた。速やかに、関係者を捕まえてくるよう。手配された。
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