第6話 「……やっぱり、この夏樹ちゃん変」


「うん? 夏樹?」


 今、俺の目の前にはお菓子っぽい袋を携えて体をフルフルと震わせながら立っている夏樹がいた。とりあえず、家の中に入れることにした。すると、俺の元へとグイグイと袋を押し付けてくる。……大丈夫だよな?

 これ、毒とか入ってないよな? 少しビクつきながらも俺はそれを受け取った。その時だった。


「……夏樹ちゃん?」


 玄関に行ったきり帰ってこない俺を心配したのか翼まで玄関に来たのだった。

 そして、翼は夏樹を見るなり怪訝そうな顔をした。


「大丈夫だ。翼。俺も今同じ気持ちだから」

「な、何の話? 私も混ぜてよぉ」

「……お兄ちゃん、この人誰?」

「信じられないことに夏樹なんだなぁ」

「……夏樹ちゃんの影武者とかじゃなくて?」

「なんで夏樹に影武者がおるか分からんが最早それもありえるレベルだよなぁ」

「さっきから二人ともひどくない?」


 少し頰を膨らませて怒る夏樹。だから、夏樹はそんなに可愛らしく怒らないんだよ。怒鳴るんだよ?


「「異常だ(……異常だ)」」

「なんで!?」


 1年しか関わっていない翼でさえ、夏樹の様子を見て明らかに動揺している。うん。翼は夏樹も当然同年代で結構仲が良かったはずだけどその翼がここまで驚いてるんだから夏樹の異常具合が見てとれるよな。


 そして翼は俺が持っている物に気がつくと近寄ってきて覗き込んできた。


「……これは、クッキー?」

「うん、どうやらそうみたいだ」


 そう、夏樹から渡された袋に入っていたのはクッキーであった。可愛くラッピングまでされていてこれまた丁寧な仕様である。

 ……問題はその送り相手が俺という天文学的にありえない相手ということだろうか?

 しかし、翼はなにか気になるようでクッキーを眺めている。


「……この、クッキー。……絶対さっき作ったものじゃない」

「えっ!?」

「ギクッ」


 どういうことだろうか? 夏樹がさっき家に帰った後、作ったものだとばかり思っていたが……そういや、それにしちゃ早すぎるもんな。あの短時間じゃ出来ないか。


「……恐らく、このクッキーは朝に焼いた物? ……だとしたら、通学中に渡せばいいはず……なんで?」

「つ、つ、翼? そ、そこは特に気にしなくていいよ?」

「やっぱり、夏樹ちゃんがおかしい。お兄ちゃんにクッキーを持ってくるとか……そんなに、顔を赤くしてるとか。……今までの夏樹ちゃんじゃありえない」

「あぅぅ//」

「……加えてこの乙女のような反応。……なるほど、分かった」

「何が分かったんだ?」

「お兄ちゃんには絶対に内緒!」

「いや、そんな即答しなくても」


 普段の翼からは考えられないくらいの勢いで拒否られた。何故?


「……でも、夏樹ちゃんにこれだけは言っておく」

「つ、翼。どうしたの?」

「……絶対に_____ちゃんは渡さない」

「ッッ!!? 翼!?」

「……もう、言うことはない。じゃあ」


 そう言ってリンビングへと戻っていく翼。

 普段は仲良しのはずなのになんかおかしかったな。今日は翼もたまに変だ。そして俺は未だに呆然としている夏樹に声をかける。


「おーい、夏樹?」

「……まさか、翼。新田のことを」

「聞こえてるか?」

「……そうか、それで前を」

「聞こえてないな、こりゃ」


 大きな音でも鳴らして気がつかせるべきだろうか? そんなことを思った時であった。


 ガチャ 目の前のドアが開けられ家の中に入ってくる何者かがいた。夏樹は少しビクッとして後ろを振り向く。


「翼ちゃん、すいただいま〜。って、夏樹ちゃん!? 珍しいわね?」

「はいぃぃ。お邪魔させてもらってます」

「……すい、一体何があったの?」

「お帰り、お母さん。俺にも分からないよ」


 現れたのは新田 こと、俺と翼の母親であった……。



 →→→→→→→→→→→→→→→→→→→→



 お母さんまで乱入。自体は混沌と化していく……?

 次回 夏樹さんお母さんの質問責めに会う?


 もし、少しでも良かったら星をくだせぇ。(口調どうした?)m(_ _)m


 更新が少し早くなるかもです。

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