第4話 今日も変なままか……そして。
昨日は散々原因を考えたが何故突然、夏樹の態度が軟化したのかは分からなかった。
人間は分からないものが1番怖いのである。
俺からしてみると昨日の夏樹の行動は恐怖そのものであった。
こうして考えてみると今日学校に行くのが憂鬱になっしまうが……まぁ、昨日の夏樹は変だったし今日は元に戻っている可能性の方が高いだろう。それに、家の前で待っているのなんて有り得ない。多分、大丈夫。
そう俺はたかをくくるとドアを開け学校へと歩き______。
「き、今日も一緒に行ってくれない?」
だそうとして足が動かなくなった。なんで今日もそのモードのままなんだよ!!
本当に昨日から夏樹はどうにかしている。
これはいよいよ原因を探らねばなるまい。
俺は隣で話しかけてくる夏樹を見つめ続けながらそんなことを考えるのだった。
*
夏樹
1年の夏樹
学校では知らない人はいないほど有名人である。……ちなみに俺はそんな夏樹に唯一嫌われていることから少し有名だったりする。
(俺のあだ名は天使と鬼スイッチ。これは俺が関わることで夏樹が鬼のようになることからつけられている)
そんな夏樹が急遽俺に対する態度が友達以上のものへと変わったのだ。当然、みんな疑問を持つし何故?と思うだろう。そんなわけで夏樹が変という噂は1日であっという間に広まっていったのだ。
なので、今日俺が夏樹と歩いていると、(俺が歩いていると夏樹がきて並列で歩いていたというだけ)
男子の大半からは親の仇でも見るかのような視線を。
女子の半分からは興味深々といった視線を。
女子の半分からは俺を憎むような視線を。
浴びさせられることになってしまった。
……どうでもいいけどさぁ、女子の半分が夏樹と付き合いたいと思ってるってどうなの?
この学校の男子達に彼女できないんじゃないの?と割と男子達にとっては深刻な問題が発生していたが…まぁいいだろう。
しかしこの噂が気になっているのは何も他人ばかりではない。俺と関わりがあるものほどこの噂に関心を持っていた。
俺が昼放課になんとか夏樹を撒いて図書室で昼食を食べていると、俺と中学2年の頃の同級生で俺の友達の
「なぁなぁ、夏樹ちゃんと付き合ってるってほんまかいな?」
「ブフホォォ」
「わっ! きっちゃない」
思わず弁当の具材を吹き出してしまった。食材達よ申し訳ない。
「ってなんでそんな話が?」
「あらら、ってことは嘘かいな。つまらん」
「その言い草、俺と夏樹が付き合ってるとなんかいいことでもあるのか?」
「いや、西田と夏樹ちゃんの関係性を見てきた身からすると、あんなに仲が悪〜かった2人が付き合うとか絶対おもろ______ええな、思おて」
「つまり面白そうだと」
「なんの弁明の余地もありまへん」
「せめて、弁明くらいしろよ」
俺はもう西田じゃないだけどなぁ。まぁ、どっちでもいいか。
しかし、そうかそんな噂が……。ちょっと面倒だな事実無根だし。俺にも夏樹にも迷惑がかかるな。どうやったらいいものか…。
俺は
*
色々あって今日も疲れたわけだが……夏樹は今日も俺と下校をしたかったらしく部活をやってきた俺を待っていたようだった。
「ま、待ってたよ。い、一緒に帰って……くれる?」
しかし、外で待ち続けたらからだろうか?
夏樹は明らかに体調が悪そうでフラフラしていた。さすがに苦手な奴といえどこれを無視することは出来なかった。
はぁ、と俺はため息をつく。こんなことをすればきっと噂は更に信憑性を持つことになるがしょうがない。今は夏樹の体の方が大事だ。俺は覚悟を決めると上半身を下げて後ろに手を回す。そして……。
「ほら乗っかれ。そんな体調の奴を歩かせるわけにはいかん」
フラフラしている夏樹に乗っかるように促すのだった。いわゆる「おんぶ」の体勢である。
「ふ、へぇぇぇぇ////!!!?」
今までの夏樹だったら、いくら体調が悪くても俺におんぶしてもらうなどという屈辱は耐えられなかっただろう。しかし…。
「ほ、本当にいいの? の、乗るよ?」
「あぁ、でも出来るだけ体は上げて乗ってくれじゃないとあれが当たっちまうし」
「そ、そうだよね。うん」
夏樹は俺の提案にのったのだった。夏樹の手が俺の肩に触れる。少しビクッとなってしまったが自分が言い出したことだやめるわけにはいかない。
次に俺の背中に寄って足を俺の手の上に乗せる夏樹。急に密着度が上がり心臓がバクバクとしてくる。ヤバい女子の匂いってこんななのか…? そして感触。柔らかくスベスベとした足が俺の手に触れているため脳内が柔らかいという思い一色である。
しかし恥ずかしいのは俺だけではないらしく、あれだけ話しかけてきた夏樹も黙り込んでしまっていた。
俺はなるべく揺らさないようにゆっくりと帰り道を歩むのだった。
*
家の付近まで来る俺はゆっくりと体を下げていき夏樹を下ろした。夏樹は夕日で真っ赤に染まった顔を何故か隠すように手で顔を隠してしまっていた。
そして、なんとか絞り出すように、
「あ、あ、ありがとう」
と言うと家へと駆け出していってしまった。
俺もあとは家に入るだけなので家の呼び鈴を鳴らし待つ。
数秒ほどするとガチャリという音とともにドアが開かれた。俺が家の中に入ると、ドアを開けた人物が立っていた。
「……お兄ちゃん。お帰り」
それは新田
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まさかの義妹ちゃん登場! 次回は義妹ちゃんが主人公からする女の匂いに勘付く……?
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