スライムが仲間になりたそうにこちらを見ている

「ちょっと、そこ行くあんた。

 そんなに急いでどこ行くん?

 うちもついて行ってええ?」

 うちはムチムチ、プリチーな、若さあふれる、ピチピチのビッチビッチスライムや。

 あん? 今ビッチかよとかほざいたやつ、ちょいと顔かせや! 

 後で、スライムスライムの刑に処したるで。

 スライムスライムの刑っていうのはな、四方八方からスライムに囲まれ、スライムに体当たりされまくる恐ろしい刑なんやで! 十分ぐらい執行され続けると筋肉痛肩こり便秘末期がんなどが治るという恐ろしい刑や! え? むしろされたい? あかん、こいつドМの超変態やん。ひくわーめっちゃひくわー。そんなにスライムスライムしたいんか。それってつまり、あんたは女性のことを、乳を揉む存在としか認識してへんタイプやと周囲に公言しているようなもんやで。全スライムの敵やな!

 そうそう、敵といえばスライム、スライムといえば雑魚モンスターだとかよう誤解されてるけれども、あれはほんまに失礼な話やで。大体、スライムがなにしたっていうんや。スライムがあらわれたら、すぐ攻撃して瞬殺とか、ほんま鬼畜やで。何度、このプリチーで、すべすべの肌を持つミラクルボディを、剣で突き刺され、斬られ、嬲られたことか。太い棒で、あんそこはーだめやでーっていうスライムの核っぽい何か殴って殺そうとしてくるやん。でもな、それ勘違いやねん。スライムの核っぽいとこはなーいわゆる人間でいう生殖機能のあるとこでなー、とってもそのー……びん、かんなんや……。

 ちょっ、なんで、剣抜くん? あかんいうてるやん。あん、やめて、斬らんといて。あん、やめ、やめ、あああああんんんんん(ビクンビクン

 はあはあはあはあ。やめてって言うてるやん。

 ほんま勘弁してほしいわー。あんたエロ本の見すぎやで。ええか。いくら体を気持ちようしても心は別なんや! そりゃー生理現象として体の敏感な部分を触れば『げへへ、ここは違うみたいだな』みたいに体は気持ちようなるかもしれへんけれども、心はいつも『や、やめて。わたしの体、どうして。気持ちよく、なっちゃうの』っていう感じで悲鳴を上げているんやで。そこんとこ、勘違いせんといてほしいな。まあ、中には斬られる喜びに目覚めちゃうスライムもいるんやけどな。ゴールデンスライムとか、キングスライムとか。

 でもな、はぐれメタルみたいになっちゃう奴もいるんやで。やつらは斬られて人間不信になってしもうたスライムのなれの果てや。体はどんな刃物も通さんほど固くなってるけど、心は斬られたトラウマで常にデッドラインすれすれな状態なんや。

 うちもかつて、人間に斬られて、殴られて、火で燃やされ、氷で凍らされ、砕かれたりなんかしたけども。ほんまきついで。うちらスライムは人間の遊び道具ちゃうっちゅうねん。スライムやから何をしてもええとか思ってるんやないか。体をキズモノにされてうれしいスライムなんかおるか。

 うちらスライムはな。みんなみんな、人間が大好きなんや。人間が洞窟の中に入ってくると、嬉しくてついつい、『わーい、人間や。どうしたん? なに、うちらとスライムスライムしたいんか?』って群がっちゃうくらい人間が大好きなんやで。

 それなのに、いきなり斬ったり、魔法で攻撃したり。

 そこんとこ、人間の常識どうなってんの?

 核んとこ許可なく斬るやん? 魔法で攻撃するやん?

 いきなり敏感な部分を触ってこられる恐怖。好きな人以外は斬られたくないと思ってるのに、嬲られる嫌悪感と、だけどそれとは裏腹に反応してしまう体。

 うちらだってな、生きてんやで。もうちょっとスライムの尊厳とか、考えてほしいなー。もうちょっと優しく、『斬ってもええですか?』とか一言ぐらいあってもええやん。そしたらうちなんかは頬を染めて『あ、あほか! でも……、あんたなら、ええよ』って体差し出す準備するっちゅうねん。

 ポヨーンポヨーン。

 で、どこに行くん? え、魔王を倒しに行くって?

 なんやそれかっこええ! うちもついてってええか!」




スライムが なかまになりたそうに している。

なかまにしますか。




→はい

 いいえ

 おまえの体を斬らせろ!

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