第2話 タンク ゴルドン

「俺がぁ入れば百人力だぜ。」


ゴルドンは自慢気に力こぶを見せた。

おぉ!すごい!

ナイラの方を見ると、彼女の表情は無だった。


「えっと…」


ロイは、こそこそとナイラと話した。


「僕はオッケーなんだけど、ナイラはどう?」


「別に…。」


素っ気ない返事。


「…えっと、じゃあ、とりあえずよろしくお願いします。」


「あぁ、よろしくな!」


と握手を求められ、腕が外れそうになるくらい振られる。

ナイラも手を握られ激しめに振られた。

その時ナイラのフードがぱさりと外れた。

その顔を見て、ゴルドンは目を丸くした。

銀髪のショートヘアー、翡翠色の目をした可愛い女の子だったからだ。

そしてゴルドンはガシッと両手でナイラの手を掴んで膝をついた。


「俺と結婚して下さい。」


どうすんのよ?

とナイラがロイを一瞥した。


「お断りします。」


ゴルドンへ向き直り、淡々とナイラが答える。


「いや、俺本気っすよ。」


あぁ、ヤバイ。

手を許可無く握るゴルトンに、ナイラの殺気を感じたロイは、慌ててゴルドンに手を放させた。

ゴルドンの命を守る為だ。

引き離された手をゴルドンは不服そうに見た。


「なんだよ、恋愛は自由だろ?」


「え、あぁ、まぁ。そうだけど…」


ナイラはその隙にフードを目深に被り直した。


「なんならお前ら付き合ってんのか?」


ナイラがフードの中でボンッと赤くなった。


「え!?あ、いや、そそんなことは…」


ロイも真っ赤になって慌てた。


「じゃあ、お前に口出しする権利無いじゃねぇか。」


ロイはぐぬぬ…と何も言えなかった。

またナイラに触れようとする、ゴルドンとの間に入る。


「彼女が嫌がってる!」


「そんなの分かんねぇだろ?」


「ずっと一緒にやって来たから、それくらい分かるよ!」


ゴルドンも引き下がらない。


「お前がただナイラちゃんのこと好きなだけなんじゃないのかぁ?」


「な!」


ロイの顔が真っ赤になった。

キッとロイはゴルドンを見た。


「じゃあそれでいいよ。僕はナイラのことが好きってことで!ゴルドンさん、今回の話、無かったことにしてください!


行こう!ナイラ。」


そう言ってロイはナイラの手を引いて、ゴルドンから去った。


ロイは無性に腹が立っていた。

何にか分からないけど。


「あ、ごめん。手、ずっと握ってた。」


ロイは手を離そうとしたが、ナイラに手を握り返された。


「別に…」


ナイラはそっぽを向いていた。

ロイは手を離すことも出来ず、ドキドキしたままその手を握り返した。

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