第24話 拠点の発展

 ナミヒメお気に入りの牛丼用のお肉は十分に確保した。

 鉱山や高原地帯にも拠点としてのログハウスを建てて、泉の拠点と行き来してたんだけど。移動手段が欲しい。それもロマンたっぷりな奴。


「リニアをつくろう!」


 現在ある拠点、泉の拠点に海岸の拠点、鉱石を集める鉱山の拠点、鉱山近くの高原の拠点。

 各拠点を繋ぐリニアモーターカーを走らせる事にする。


 リニアといえば大容量の電源必須だけど、核融合炉発電所があるので心配はいらない。

 まず、ロケーションだ。どこを通すか、どうやって通すか。


 マップアプリが良い仕事をしてくれる。ある程度の目途がたったら整地だ。

 無理しない範囲で魔法を使って整地をしていく。


 整地をする過程で邪魔な『まざりもの』が襲ってくるけど、もうオーガクラスでも相手にならないんだよね。

 グリフォンが強すぎた。


 適当に敵をあしらいながら、結界を張りつつ整地を続ける。地味に1カ月もかかったけど、魔法の無い現実世界だと年単位のお仕事だ。滅茶苦茶早いといっていいだろう。


 整地が済んだらいよいよレールの基礎を作っていく。といっても、クラフトアプリでポンッと作って配置していくだけだ。

 マップアプリでも確認出来るけど、打ち上げた衛星を使って宇宙視点で撮られた写真データを確認するのは感動ものだ。

 いつか俺も宇宙にいってみたいものだ。


 基礎が出来上がったら、レールを敷設していく。このリニアの線路は各拠点に電力供給するための電線でもある。


 結局、全ての作業が終わってリニアが走り出すまでに3カ月かかった。


 九州規模の島の開拓速度としては異常に早い。


 完成したリニアに乗って、神アプリのアーカイブ情報から過去のアニメや漫画を漁る、飲み物もクラフトアプリで飲み放題。高速移動するネカフェにいる気分だ。


 もちろん、俺一人でこんな大事業は出来るわけが無い。ほぼナミヒメの助言のおかげだ。


「もっと感謝してもいいんですよ」


 胸を張って、手を腰に当てる、お得意のエッヘンポーズはかわいい。


「次は何をしようかな」


「泉の西側を開拓して、果物類を収穫しましょう」


 確かに、果物類はほしい。お菓子のバリエーションが増えていくのもうれしいし。


 西側に道を伸ばして行く、途中の敵を蹴散らしながら、今回は最初からリニアを引くつもりで整地もしていく。

 こういう遠征作業は久々で、ちょっとワクワクしてしまう。


「拠点決めたら果樹園つくりましょう。今なら完全自動化できますよ」


 もうここまでくると何でもありだ。

 ロボット系のレシピを眺めながら、あきれ半分、期待半分って気持ちになる。


 拠点にする場所はマップアプリである程度候補を絞ってる。あとは実際に行ってみて、気に入った場所にするつもりだ。


 泉から道を作りながら1週間ほどかかったけど、広い湖にたどり着いた。

 第一候補の場所だけど、一発で気に入った。


 拠点整備を優先して、先にリニアを通す。正直あまり意味はない。ただのロマンだ。

 その気になれば、ヘリでも超音速機でも使えるのだから。だけど移動くらいはのんびりしてもいいじゃないか。リニアだから1時間もかからないんだけども。


 果樹類の採集をしながら、樹木ごと掘り返して収納する。

 整地した果樹園に植え替えるためだ。


 この不思議な箱庭だと、一年を通して過ごしやすい気候な上に、季節関係なしに各種果樹が手に入る。なんなら南国でしか育たない種類だってそだってしまう。


 この西地域でサトウキビも見つけたから、砂糖も軍系の補給物資に頼らず、現地調達できるようになってしまった。


 どんどん発展していく拠点を工場化していく。大した意味はない、ただやることなくてゲーム感覚で楽しんでるだけだ。


「これでフルーツケーキも食べ放題ですね!」


 太って元の体系に戻る心配はあまりしないでいい。グリフォン倒してからもトレーニングは続けている。

 軽くなったからだは思った以上に快適で、思い通りに動くからだは動かしていて気持ちいい。

 こうしてトレーニングにハマっていく人がボディビルディングとか沼にハマるんだろうなと少しだけ気持ちがわかった気がする。


 正直、軍のレーションだけじゃなく、補給物資類が倉庫アプリに放り込まれるようになって、食事系の心配はあまりなくなっている。それでも、現地のものを収穫した方がおいしいのは間違いない。


 補給物資類は多分、災害時の配給分も含まれているので膨大な量と種類の物資だ。正直何もしなくてもいい。


 こっちに来たばっかりの俺がこれだけの物資を貰ってたら、何にもしないで引きこもってただろうと思う。

 今、色々楽しんで出来てるのはナミヒメという先生が居ればこそだろう。


 現実世界の小学生くらいの頃に、こんな先生が居てくれたらなって思うくらい、ナミヒメは優秀な教師でもある。

 バカな俺にも分かりやすく、色々と教え、導いてくれている。

 そのうえ小っちゃくて可愛いのだ。最高だ。


 最高の先生と相談しながら、こうして島の拠点はどんどん発展していくのだった。

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