第19話 善悪どちらとも言えない者
今日もお不動様は健在だ。
いつものようにりおの周りで守護している。
中筒がお不動様を呼び、いつもと変わらぬ様子で、話し合いが始まる。
どうやら、りおを上げる話なようだ。
中筒「では、始めよう。」
住吉邸のいつもの一室にて毎日、毎日必ず話されるりおの、延命か、否か。
中筒をはじめ、須佐之男命、底筒、上筒。又、上の階層からは、アメ、創造神方々。勿論、俺達もその場に居ないながらの参加だ。
不動明王「未だ、一族、先祖を始めとする者はりおの延命を望んでおります。」
底筒「お不動様は?どう、お考えなんだい。」
お不動様は表情1つ変えず
「私は既に皆様にりおをお返ししたも同然。皆様の御判断に添うつもりです。」
中筒「ふむ。。。しかし、りおを上げると困るのではないか。」
不動明王「それは、よく存じておりますが、致し方ない事にて。」
お不動様からの表情や、言動からは、全く善悪どちらとも取れる、またわからないような雰囲気だった。
ジャン(お不動様は、りおを道連れにするのか、否かをこちら側に託すかのようだな。最後まで、いや、孫の代までをどうするつもりだ?)
ジャンからの印象は皆にひっそりと送られてきた。
言動と、行動か・・・
ゆうからは、多々書物からの情報やらをラインやら、他の手法にて、こちらへと投げかけられてくる。
それに関してもお不動様からは、
「ゆう様らしき、お考え。私は何も言う事などなくであります。」と、表向きには全くわからない。
りおと言えば、相変わらずいっぱい、いっぱいの生活を送っていた。
身体は働き過ぎな位で、行事事が一旦終われば寝たきりのようだった。
精神は、俺達と繋がった時期からは、見る見るうちに安定し、今でも、比較的安定してはいるものの、自分の身体の行く末やら、生活を考えれば、不安にもなるわけで。。。
りおは、今生、怪我やら、病やらが多く、特に骨にはいつも悩まされてきた。若い頃から始まった腰痛に悩まされ、それは、時に寝たきりになる程だった。それが、10年以上続き、それが和らげば、次は、幼い頃からあった気管支炎を悪化させ、喘息へ。何年もまたそれに悩まされ薬漬けになり。
そして、それが、和らげば脚に痛みが出るようになり、やがてそれは、手術が必要となる程だ。
案の定、身体を酷使したあげく、手術をし、半年程リハビリの為入院する事に。
ミナカヌシ「脚の手術は当たり前の事。時期的には寿命を迎えると言うものだったが、こちらの話し合いにより、もう少しだけ、時間を与えるとしたのだ。」
それについては、手術前夜に神々により、「もう少しだけ、時間を与える」とりお自身に告げていた。
りおは、自分は、あまり長くは生きれない事はこのお告げよりも前から、知っている。
夢等で、知らされてきたからだ。
自分が何処まで生きれるかはわからないものの、今まで、働ける身体を貰えた事に感謝してきたりお。
手術をした頃はまだ、生きる事に前向きだった。しかし、あれから3年が経つ。。。生きる事のりおの気力は底を尽きてきていた。
元々の肉体のつくりを考えれば、無理難題を、肉体には要求してきたわけだ。肉体の寿命は自ずと縮めてしまう。それは。当たり前なんだ。
これは、りおだけに言える事ではない。健康で肉体を保つ事をしなければ、肉体は悲鳴をあげる。その肉体の声を聞かず、無理難題すればいずれ、壊れるのは当たり前なんだ。
生まれつき貰っている肉体は、様々な個人差がある。
丈夫か、否か。体質やら。いろいろだ。
身体はどんどんと弱るばかりだった。
それでも、今の現状からは、抜ける事もできず。
相手に訴えるも、中々りおの言葉は届かないからだった。
りおはそれに対して諦めの気持ちを抱いている。
自分が動けないまでにならなければ。
その動けない姿を相手に見せなければ、変わらないのだと。
ならば、わかるまで走るしかない。
そんな気持ちだった。。。
そんな、りおの気持ちを知っているはずのお不動様。。。
なぜ、相手を止めないのか。。。
相手をお不動様がコントロールしないのか。
そこからは、真意はまだまだ見えなかった。なぜなら、完全な悪の同種族達が動いているからだ。
あれらを先に炙り出さなければ、先へは進めない。
中筒(このまま、りおを上げることは、悪を見過ごし、彼らは、何食わぬ善の顔をし、この光のグループ、チームに住み着くだろう。つまり、自分達の居場所をこのチームだと。安泰だとな。
なんとしても、切り離さねば。。。)
中筒は、内側にて、そんな事を考えていたのだった。。。
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